ミヅマアートギャラリーでは、インドネシアのジョグジャカルタを拠点に活動するアーティスト、イワン・エフェンディ(b.1979)の日本初個展を開催いたします。
エフェンディは、バンドゥンのインドネシア教育大学(Universitas Pendidikan Indonesia, UPI)で視覚芸術を学んだ後、インドネシア芸術大学のジョグジャカルタ校(Institut Seni Indonesia Yogyakarta, ISI)へ編入、のちに妻となるマリア・トリ・スリスチャニに出会い、2006年共同で人形劇カンパニー、ペーパームーン・パペット・シアターを創立します。彼らの人形劇は、言葉を介さず、可愛くて不気味でグロテスクと形容される張り子人形を使って、アイデンティティと社会問題を問いかけるストーリー展開で人々を魅了してきました。
主に人形デザイナーとしての役割を務めるエフェンディは、まずラフスケッチを描き、そこからキャラクターとなる人物の年齢、性別、サイズ、容姿などの細部を設定し、ドローイングを練り上げていきます。その後、紙と粘土を使って人形の立体的な土台を造形します。作家にとって、人形にふさわしい表情を見つけ出していくこの過程は最も重要で、常に困難を伴う作業でもあります。
人形劇では、静止した表情であっても、ジェスチャー、音響、照明によって多くの感情を繊細に表すことができますが、それを二次元でいかに雄弁に、動態を含み、その複雑な感情を伝えることができるか、エフェンディは探求し続けています。
本展では、ペーパームーンで上演してきた人形劇に登場するキャラクターをモチーフにした絵画、ドローイングをパペット、仮面とともにインスタレーションとして展示します。長年、人形の表情に魅了され続けてきたイワン・エフェンディがたどり着いた「表情」を、会場にて体感いただけますと幸いです。
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articulate−雄弁なものたち
ペーパームーン・パペットシアターの共同芸術監督兼パペットデザイナーとして、私は、観客にとって人形の表情がいかに感情移入の入口になっているか、その重要性を深く理解してきた。私が「白昼夢を見ているような顔」と名付けた表情は、人形に命を吹き込み、彼らの物語を語る鍵となる。それは単に静止した表情ではなく、見る人それぞれに幾多の意味を伝えることができる変幻自在の道具なのだ。
2010年、ペーパームーンで『ムワティリカ(Mwathirika)』を上演した際の芸術的可能性の探求は、個人的な冒険だった。それは、60年代のインドネシアの政治的混乱(インドネシア全土で政変を機に起きた大虐殺)を発端に、喪失と恐怖というテーマを掘り下げた人形劇だった。このとき、人形の微動だにしない顔の中にあるさまざまな感情を明確にする必要性を感じ、「白昼夢を見ている顔」というコンセプトの誕生につながった。
歴史的な出来事に遭遇した人々に取材し、彼らの物語をリサーチしたことで、私はキャラクターにどのような表情を持たせなければならないかに気が付いた。
彼らが物語の中で悲しみを表現する前に、ある特定の文脈で悲しい出来事を思い出さなければならないことを理解し、その思い出す瞬間の表情というのは、神秘的で、表情として現れる前の瞬間、すなわち白昼夢を見ているような表情が現れる瞬間だと感じた。
その平坦で、空虚で、白昼夢を見ているような顔は、受動的な表情のように見えるが、その一方で、それらの表情は多くの感情を表現することができ、観客を映し出す鏡のような役割を果たすのだ。
イワン・エフェンディ 2024年5月
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〈イベント〉
オープニングレセプション
2024年7月6日(土)18〜20時
2024年7月6日(土)19時〜
イワン・エフェンディとマリア・トリ・スリスチャニによるパペットパフォーマンスを行います。
Supported by Directorate General of Culture MoECRT, Indonesia
エフェンディは、バンドゥンのインドネシア教育大学(Universitas Pendidikan Indonesia, UPI)で視覚芸術を学んだ後、インドネシア芸術大学のジョグジャカルタ校(Institut Seni Indonesia Yogyakarta, ISI)へ編入、のちに妻となるマリア・トリ・スリスチャニに出会い、2006年共同で人形劇カンパニー、ペーパームーン・パペット・シアターを創立します。彼らの人形劇は、言葉を介さず、可愛くて不気味でグロテスクと形容される張り子人形を使って、アイデンティティと社会問題を問いかけるストーリー展開で人々を魅了してきました。
主に人形デザイナーとしての役割を務めるエフェンディは、まずラフスケッチを描き、そこからキャラクターとなる人物の年齢、性別、サイズ、容姿などの細部を設定し、ドローイングを練り上げていきます。その後、紙と粘土を使って人形の立体的な土台を造形します。作家にとって、人形にふさわしい表情を見つけ出していくこの過程は最も重要で、常に困難を伴う作業でもあります。
人形劇では、静止した表情であっても、ジェスチャー、音響、照明によって多くの感情を繊細に表すことができますが、それを二次元でいかに雄弁に、動態を含み、その複雑な感情を伝えることができるか、エフェンディは探求し続けています。
本展では、ペーパームーンで上演してきた人形劇に登場するキャラクターをモチーフにした絵画、ドローイングをパペット、仮面とともにインスタレーションとして展示します。長年、人形の表情に魅了され続けてきたイワン・エフェンディがたどり着いた「表情」を、会場にて体感いただけますと幸いです。
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articulate−雄弁なものたち
ペーパームーン・パペットシアターの共同芸術監督兼パペットデザイナーとして、私は、観客にとって人形の表情がいかに感情移入の入口になっているか、その重要性を深く理解してきた。私が「白昼夢を見ているような顔」と名付けた表情は、人形に命を吹き込み、彼らの物語を語る鍵となる。それは単に静止した表情ではなく、見る人それぞれに幾多の意味を伝えることができる変幻自在の道具なのだ。
2010年、ペーパームーンで『ムワティリカ(Mwathirika)』を上演した際の芸術的可能性の探求は、個人的な冒険だった。それは、60年代のインドネシアの政治的混乱(インドネシア全土で政変を機に起きた大虐殺)を発端に、喪失と恐怖というテーマを掘り下げた人形劇だった。このとき、人形の微動だにしない顔の中にあるさまざまな感情を明確にする必要性を感じ、「白昼夢を見ている顔」というコンセプトの誕生につながった。
歴史的な出来事に遭遇した人々に取材し、彼らの物語をリサーチしたことで、私はキャラクターにどのような表情を持たせなければならないかに気が付いた。
彼らが物語の中で悲しみを表現する前に、ある特定の文脈で悲しい出来事を思い出さなければならないことを理解し、その思い出す瞬間の表情というのは、神秘的で、表情として現れる前の瞬間、すなわち白昼夢を見ているような表情が現れる瞬間だと感じた。
その平坦で、空虚で、白昼夢を見ているような顔は、受動的な表情のように見えるが、その一方で、それらの表情は多くの感情を表現することができ、観客を映し出す鏡のような役割を果たすのだ。
イワン・エフェンディ 2024年5月
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〈イベント〉
オープニングレセプション
2024年7月6日(土)18〜20時
2024年7月6日(土)19時〜
イワン・エフェンディとマリア・トリ・スリスチャニによるパペットパフォーマンスを行います。
Supported by Directorate General of Culture MoECRT, Indonesia
作家・出演者 | イワン・エフェンディ |
会場 | ミヅマアートギャラリー (Mizuma Art Gallery) |
住所 | 162-0843 東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル 2F |
アクセス | 市ヶ谷駅(東京メトロ有楽町線, 南北線)5番出口 徒歩5分 飯田橋駅(東京メトロ有楽町線, 南北線, 東西線)B3出口 徒歩7分 飯田橋駅(JR中央線, 総武線)西口 徒歩9分 |
会期 | 2024/07/06(土) - 08/10(土) |
時間 | 12:00-19:00 |
休み | 日曜日、月曜日 |
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