2025年7月18日より、新宿・歌舞伎町のアートスペース「デカメロン」にて、Marko Kolomytskyi(マルコ・コロミツキー)による個展『Из Донбасса в Космос(ドンバスから宇宙へ)』を開催いたします。 コロミツキーはウクライナ・ドンバス出身のアーティスト、文筆家です。17歳でウクライナを離れ、以後韓国、中国、日本、カナダ、フランスと拠点を移しながら活動を続けてきました。 現在はパリ国立高等美術学校 DNSEP(国家高等造形表現ディプロム)課程に在籍。 言語、政治的記憶、形而上的コミュニケーションの関係を主題に、インスタレーション、サウンド、版画、パフォーマンス、文章など、多様な手法を横断しながら表現を行っています。
ドンバスの記憶とロシア宇宙主義の光──コロミツキーの芸術と生
豊かな地下資源と重工業の歴史を背負いながら、分断と闘争の最前線とされてきた土地であるドンバスは、コロミツキーにとって常に暴力や犯罪の危険と隣り合わせの場所でもありました。 集団的トラウマとその影響が色濃く残る土地と人々の意識は、マイノリティとして生きる彼自身の存在を脅かしてきましたが、ロシア宇宙主義やロシア・アヴァンギャルドといった思想や文化との出会いが、彼にとってひとつの救済となりました。 こうした経験と美学は、現在も彼の表現に強く影響を与え続けています。 日本を拠点としていた時期には、COVID-19パンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻の激化、そしてドンバスに残した唯一の肉親である母の死を経験しています。 ロシア宇宙主義の父ニコライ・フェードロフの言葉「Death is a mistake(死は誤りである)」は、コロミツキーにとってより一層確信的なものとなり、近年の制作の根幹を成しています。 現在主流とされる科学とは異なる視点から世界を捉えようとするコロミツキーの行為や目的は、マジョリティの論理的理解を超えたものであるかもしれません。 しかし、様々な制約の中で独自に築き上げられてきたビジュアルイメージからは、彼が思い描いている世界の深さを感じ取ることができます。 そして、そのパラレルワールド的な視点は、現代社会への批評性を帯びると同時に、新たな希望のあり方を提示するものでもあります。
コロミツキーが創造する「亜鉛の市民」──ロシア宇宙主義と現代社会への問い
コロミツキーは、不死や死人の物質的復活を目指したロシア宇宙主義を独自に発展させ、自身の制作を通じて“Citizen Zinc(亜鉛の市民)”をこの世に存在させようと試みています。
“Citizen Zinc”は「戦争、官僚制度、見捨てられることといった現代のシステムの重圧によって命を落とした存在」であると、コロミツキーは語ります。
本展では、“Citizen Zinc”を描いたリトグラフ、“Citizen Zinc”を作るためのマニュアル、“Citizen Zinc”の声を受け取るためのアンテナ、そして「死や惑星という限界を超えて生命を記録し、蘇らせ、延命させるため」のモニュメントを展示いたします。
コロミツキーが様々な場所と環境で発展させてきた自身の哲学と実践を一挙に紹介する、またとない機会となります。ぜひご高覧ください。(文責:磯村暖)
アーティストプロフィール
Marko Kolomytskyi(マルコ・コロミツキー)。 1999年、ウクライナ・ドンバス地方アルチェフスク生まれ。 現在はパリを拠点に活動するアーティスト、文筆家。IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)のプログラムを修了、パリ国立高等美術学校 DNSEP(国家高等造形表現ディプロム)課程在籍中。詩・言語を軸とする集団《MAYAK》主宰。 近年は、死の克服と生命の復活を技術的手段で達成しようとした思想−ロシア宇宙主義およびバイオコスミズムに関心を寄せ、ニコライ・フェードロフ、コンスタンチン・ツィオルコフスキー、アレクサンドル・チジェフスキーといった思想家の系譜を参照しつつ、現代の危機への応答としてそれらを再考している。彼は、現代社会は誤った方向へ進んでおり、新たなユートピア的モデルこそが未来への道を開くと考えている。
ドンバスの記憶とロシア宇宙主義の光──コロミツキーの芸術と生
豊かな地下資源と重工業の歴史を背負いながら、分断と闘争の最前線とされてきた土地であるドンバスは、コロミツキーにとって常に暴力や犯罪の危険と隣り合わせの場所でもありました。 集団的トラウマとその影響が色濃く残る土地と人々の意識は、マイノリティとして生きる彼自身の存在を脅かしてきましたが、ロシア宇宙主義やロシア・アヴァンギャルドといった思想や文化との出会いが、彼にとってひとつの救済となりました。 こうした経験と美学は、現在も彼の表現に強く影響を与え続けています。 日本を拠点としていた時期には、COVID-19パンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻の激化、そしてドンバスに残した唯一の肉親である母の死を経験しています。 ロシア宇宙主義の父ニコライ・フェードロフの言葉「Death is a mistake(死は誤りである)」は、コロミツキーにとってより一層確信的なものとなり、近年の制作の根幹を成しています。 現在主流とされる科学とは異なる視点から世界を捉えようとするコロミツキーの行為や目的は、マジョリティの論理的理解を超えたものであるかもしれません。 しかし、様々な制約の中で独自に築き上げられてきたビジュアルイメージからは、彼が思い描いている世界の深さを感じ取ることができます。 そして、そのパラレルワールド的な視点は、現代社会への批評性を帯びると同時に、新たな希望のあり方を提示するものでもあります。
コロミツキーが創造する「亜鉛の市民」──ロシア宇宙主義と現代社会への問い
コロミツキーは、不死や死人の物質的復活を目指したロシア宇宙主義を独自に発展させ、自身の制作を通じて“Citizen Zinc(亜鉛の市民)”をこの世に存在させようと試みています。
“Citizen Zinc”は「戦争、官僚制度、見捨てられることといった現代のシステムの重圧によって命を落とした存在」であると、コロミツキーは語ります。
本展では、“Citizen Zinc”を描いたリトグラフ、“Citizen Zinc”を作るためのマニュアル、“Citizen Zinc”の声を受け取るためのアンテナ、そして「死や惑星という限界を超えて生命を記録し、蘇らせ、延命させるため」のモニュメントを展示いたします。
コロミツキーが様々な場所と環境で発展させてきた自身の哲学と実践を一挙に紹介する、またとない機会となります。ぜひご高覧ください。(文責:磯村暖)
アーティストプロフィール
Marko Kolomytskyi(マルコ・コロミツキー)。 1999年、ウクライナ・ドンバス地方アルチェフスク生まれ。 現在はパリを拠点に活動するアーティスト、文筆家。IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)のプログラムを修了、パリ国立高等美術学校 DNSEP(国家高等造形表現ディプロム)課程在籍中。詩・言語を軸とする集団《MAYAK》主宰。 近年は、死の克服と生命の復活を技術的手段で達成しようとした思想−ロシア宇宙主義およびバイオコスミズムに関心を寄せ、ニコライ・フェードロフ、コンスタンチン・ツィオルコフスキー、アレクサンドル・チジェフスキーといった思想家の系譜を参照しつつ、現代の危機への応答としてそれらを再考している。彼は、現代社会は誤った方向へ進んでおり、新たなユートピア的モデルこそが未来への道を開くと考えている。
| 作家・出演者 | Marko Kolomytskyi |
| 会場 | デカメロン (Decameron) |
| 住所 | 160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-12-4 2F |
| アクセス | 西武新宿駅(西武新宿線) 徒歩3分 新宿駅(JR) 徒歩5分 新宿3丁目駅(東京メトロ丸ノ内線, 副都心線, 都営新宿線) 徒歩6分 |
| 会期 | 2025/07/18(金) - 08/03(日) |
| 時間 | 20:00-27:00 |
| 休み | 月曜日 |
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