パナソニック汐留美術館は、近現代の陶芸をテーマとした企画展を継続して開催しています。本展覧会では、陶芸と絵画的表現の交差に焦点を当て、アートとしての魅力を探ります。
多くの場合、陶芸作品は豊かな色調や質感で構成されています。釉薬や顔料を重ねることで表れる光沢や発色は、やきもの特有の物質的な美しさといえるでしょう。一方で、筆致や彩色、主題の選択に着目すると、油彩や素描など異分野の表現との響き合いを見いだすこともできます。ここでは、各々の作品の色やかたちやモチーフから、時にジャンルを横断して創作に挑む作者の思考や芸術観をつむぎ出すことを試みます。
タイトルにある「ピクチャレスク」とは、「絵画的な」「絵画のように美しい」といった意味を表す美術用語です。18世紀イギリスでは庭園や景観の美を示す言葉として用いられ、建築や造形の分野において、新時代の美意識を導いた概念ともされています。そうした言葉の拡がりに重ね合わせ、本展覧会では、絵付けされた陶器にとどまらず、平面と立体がダイナミックに融合した形態や、メディアを越境して表現を更新していくような造形のあり方にも注目します。
個人作家による創作陶芸の礎を築いたとされる富本憲吉やバーナード・リーチ、民藝運動を推進したことでも知られる河井寬次郎や濱田庄司に始まり、伝統的な技術を革新した陶芸家、前衛陶芸の旗手、茶陶の名手、イギリスやデンマークの作家、1960年代から80年代生まれのアーティストまで、約50名の作家が並びます。総計約120作品による新たな共演をお楽しみください。
展覧会の見どころ
1.
モダンアートから21世紀の表現まで… 陶芸と絵画の新たな共演
本展は、近代から現代まで、ユニークな陶芸の作家たちを横断的に注目する実験的な企画です。色彩やかたちやマチエールなどの視点から、それぞれの作品のみどころをひもといていきます。この機会に陶芸との新たな出会いをお楽しみください。
2.
何度でも味わいたい名作から、知られざる名品の発見まで
バーナード・リーチ、河井寬次郎、アクセル・サルトなど、近代の重要な作家の代表的作品から、現役作家たちの新作を含む最近の活動に焦点を当てます。陶芸愛好家から、夏休みを楽しみたいご家族まで、多様な層に鑑賞いただけるような展示構成です。
3.
同時開催「ジョルジュ・ルオーの手仕事」
本展にあわせ、特集展示として「ジョルジュ・ルオーの手仕事」を併催します。陶磁器と関わりのあるルオー作品などに注目した企画です。当館のルオーコレクションを中心に約20点で展示構成します。
序章 絵画と交差する陶芸
はじめに、日本で陶芸を始めたイギリス人、バーナード・リーチ(1887~1979)の手がけた陶器とドローイングを手がかりに、陶芸と絵画的表現が交差するとはどういうことかを見つめます。
第1章 陶に描くこと
近代における個人陶芸の礎を築いた富本憲吉(1886~1963)、北大路魯山人(1883~1959)、石黒宗麿(1893~1968)、近藤悠三(1902~1985)らが絵付けした陶器やその筆致に着目します。
第2章 色彩のめざめ
近代の陶芸家たちにおける色彩表現のあり方を見つめます。河井寬次郎(1890~1966)や濱田庄司(1894~1978)の作品について、アンリ・マティス(1869~1954)やジョルジュ・ルオーの絵画とともにお楽しみいただきます。
第3章 マチエールのちから
土を焼成する手法には、薪窯だけではなく電気窯やガス窯が存在します。従来よりも焼成の仕方に創意工夫する作家が現れる中で、焼成の効果としての表面の質感の表現に注目します。北大路魯山人、加守田章二(1933~1983)、内田鋼一(1969~)らの作品により検証します。
第4章 かたちの模索
陶磁器制作の核心である形態の追求に、作家たちがどう向き合っているかを見つめます。イサム・ノグチ(1904~1988)に始まり、山田光(1923~2001)、加守田章二、深見陶治(1947~)らの仕事を紹介します。
第5章 うつわの表象
イギリスやデンマークの作家を中心に、陶芸において重要な位置を占めるうつわの表現を紹介します。
第6章 モチーフを表す
陶磁器の技法や特性をいかし、意匠としてモチーフのある作品を追求した作家を紹介します。パブロ・ピカソ(1881~1973)、ルディ・オーティオ(1926~2007)らの人物表現や、中村錦平(1935~)や松田百合子(1943~)の具象的な表現に注目します。
第7章 往還する平面と立体
近年、ジャンル横断的な作風が増えています。ここでは、1960年代から80年代生まれの現代アーティストに注目し、二次元と三次元がどのように融合しているか、表現のあり方をみつめます。
第8章 焼成と形象
最後に、陶芸における焼成について問いかける現代作家の作品を紹介します。鯉江良二(1938~2020)や桑田卓郎(1981~)らの作品を展覧します。
同時開催 ジョルジュ・ルオーの手仕事
フランスの画家、ジョルジュ・ルオー(1871~1958)は、陶磁器を支持体に人物や静物を描いた作品や、同一主題を平面と立体の異素材に展開した作品を手がけています。本企画では、陶磁器への絵付けとともに、平面作品にみる筆触や彩色、画材や制作プロセスに改めて注目することで、ルオーにおける手の仕事のあり方や工芸性の表れを捉えます。当館のルオーコレクションを中心に約20 点で展示構成します。
多くの場合、陶芸作品は豊かな色調や質感で構成されています。釉薬や顔料を重ねることで表れる光沢や発色は、やきもの特有の物質的な美しさといえるでしょう。一方で、筆致や彩色、主題の選択に着目すると、油彩や素描など異分野の表現との響き合いを見いだすこともできます。ここでは、各々の作品の色やかたちやモチーフから、時にジャンルを横断して創作に挑む作者の思考や芸術観をつむぎ出すことを試みます。
タイトルにある「ピクチャレスク」とは、「絵画的な」「絵画のように美しい」といった意味を表す美術用語です。18世紀イギリスでは庭園や景観の美を示す言葉として用いられ、建築や造形の分野において、新時代の美意識を導いた概念ともされています。そうした言葉の拡がりに重ね合わせ、本展覧会では、絵付けされた陶器にとどまらず、平面と立体がダイナミックに融合した形態や、メディアを越境して表現を更新していくような造形のあり方にも注目します。
個人作家による創作陶芸の礎を築いたとされる富本憲吉やバーナード・リーチ、民藝運動を推進したことでも知られる河井寬次郎や濱田庄司に始まり、伝統的な技術を革新した陶芸家、前衛陶芸の旗手、茶陶の名手、イギリスやデンマークの作家、1960年代から80年代生まれのアーティストまで、約50名の作家が並びます。総計約120作品による新たな共演をお楽しみください。
展覧会の見どころ
1.
モダンアートから21世紀の表現まで… 陶芸と絵画の新たな共演
本展は、近代から現代まで、ユニークな陶芸の作家たちを横断的に注目する実験的な企画です。色彩やかたちやマチエールなどの視点から、それぞれの作品のみどころをひもといていきます。この機会に陶芸との新たな出会いをお楽しみください。
2.
何度でも味わいたい名作から、知られざる名品の発見まで
バーナード・リーチ、河井寬次郎、アクセル・サルトなど、近代の重要な作家の代表的作品から、現役作家たちの新作を含む最近の活動に焦点を当てます。陶芸愛好家から、夏休みを楽しみたいご家族まで、多様な層に鑑賞いただけるような展示構成です。
3.
同時開催「ジョルジュ・ルオーの手仕事」
本展にあわせ、特集展示として「ジョルジュ・ルオーの手仕事」を併催します。陶磁器と関わりのあるルオー作品などに注目した企画です。当館のルオーコレクションを中心に約20点で展示構成します。
序章 絵画と交差する陶芸
はじめに、日本で陶芸を始めたイギリス人、バーナード・リーチ(1887~1979)の手がけた陶器とドローイングを手がかりに、陶芸と絵画的表現が交差するとはどういうことかを見つめます。
第1章 陶に描くこと
近代における個人陶芸の礎を築いた富本憲吉(1886~1963)、北大路魯山人(1883~1959)、石黒宗麿(1893~1968)、近藤悠三(1902~1985)らが絵付けした陶器やその筆致に着目します。
第2章 色彩のめざめ
近代の陶芸家たちにおける色彩表現のあり方を見つめます。河井寬次郎(1890~1966)や濱田庄司(1894~1978)の作品について、アンリ・マティス(1869~1954)やジョルジュ・ルオーの絵画とともにお楽しみいただきます。
第3章 マチエールのちから
土を焼成する手法には、薪窯だけではなく電気窯やガス窯が存在します。従来よりも焼成の仕方に創意工夫する作家が現れる中で、焼成の効果としての表面の質感の表現に注目します。北大路魯山人、加守田章二(1933~1983)、内田鋼一(1969~)らの作品により検証します。
第4章 かたちの模索
陶磁器制作の核心である形態の追求に、作家たちがどう向き合っているかを見つめます。イサム・ノグチ(1904~1988)に始まり、山田光(1923~2001)、加守田章二、深見陶治(1947~)らの仕事を紹介します。
第5章 うつわの表象
イギリスやデンマークの作家を中心に、陶芸において重要な位置を占めるうつわの表現を紹介します。
第6章 モチーフを表す
陶磁器の技法や特性をいかし、意匠としてモチーフのある作品を追求した作家を紹介します。パブロ・ピカソ(1881~1973)、ルディ・オーティオ(1926~2007)らの人物表現や、中村錦平(1935~)や松田百合子(1943~)の具象的な表現に注目します。
第7章 往還する平面と立体
近年、ジャンル横断的な作風が増えています。ここでは、1960年代から80年代生まれの現代アーティストに注目し、二次元と三次元がどのように融合しているか、表現のあり方をみつめます。
第8章 焼成と形象
最後に、陶芸における焼成について問いかける現代作家の作品を紹介します。鯉江良二(1938~2020)や桑田卓郎(1981~)らの作品を展覧します。
同時開催 ジョルジュ・ルオーの手仕事
フランスの画家、ジョルジュ・ルオー(1871~1958)は、陶磁器を支持体に人物や静物を描いた作品や、同一主題を平面と立体の異素材に展開した作品を手がけています。本企画では、陶磁器への絵付けとともに、平面作品にみる筆触や彩色、画材や制作プロセスに改めて注目することで、ルオーにおける手の仕事のあり方や工芸性の表れを捉えます。当館のルオーコレクションを中心に約20 点で展示構成します。
| 作家・出演者 | バーナード・リーチ, 富本憲吉, 北大路魯山人, 石黒宗麿, 近藤悠三, 河井寬次郎, 濱田庄司, アンリ・マティス, ジョルジュ・ルオー, 加藤唐九郎, 松井康成, 三代德田八十吉, ルーチョ・フォンタナ, イサム・ノグチ, 山田光, 加守田章二, 森陶岳, 栗木達介, 深見陶治, 鯉江良二, 川口淳, 田嶋悦子, 中村錦平, 松田百合子, 三輪龍氣生, パブロ・ピカソ, ルディ・オーティオ, グレイソン・ペリー, デイヴィッド・ホックニー, ルーシー・リー, ハンス・コパー, グイン・ハンセン・ピゴット, エリザベス・フリッチ, クリス・キーナン, エドモンド・ドゥ・ヴァール, アクセル・サルト, ボディル・マンツ, 内田鋼一, 岡本尚子, 上出惠悟, 加守田次郎, 川井雄仁, 桑田卓郎, さかぎしよしおう, 田淵太郎, 津守愛香, 西田潤, 星野友幸, 増子博子, 尹煕倉 |
| 会場 | パナソニック汐留美術館 (Panasonic Shiodome Museum of Art, 松下汐留美术馆) |
| 住所 | 105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル 4F |
| アクセス | 汐留駅(都営大江戸線)3・4番出口 徒歩5分 新橋駅(東京メトロ銀座線)2番出口 徒歩6分 新橋駅(都営浅草線)JR新橋駅・汐留方面改札 徒歩6分 新橋駅(ゆりかもめ) 徒歩6分 新橋駅(JR)汐留口, 銀座口, 汐留地下改札 徒歩8分 |
| 会期 | 2025/07/12(土) - 09/15(月) |
| 時間 | 10:00-18:00 ※入館は17:30まで ※8月1日(金)、29日(金)、9月12日(金)、13日(土)は夜間開館 20:00まで開館(ご入館は19:30まで) |
| 休み | 水曜日、8月12日(火)~15日(金) ※ただし、9月10日(水)は開館 |
| 観覧料 | 一般 1,200円 65歳以上 1,100円 大学生・高校生 700円 中学生以下 無料 障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで 無料 ※土曜日・日曜日・祝日は日時指定予約(平日は予約不要) |
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