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藤田嗣治 絵画と写真

東京ステーションギャラリー

2025/07/05(土) - 08/31(日)

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ドラ・カルムス《藤田》1927年 東京藝術大学所蔵
ドラ・カルムス《藤田》1927年 東京藝術大学所蔵
藤田嗣治(1886-1968)は、乳白色の下地に描いた絵画で世界的に知られた、エコール・ド・パリを代表する画家です。そんなフジタの芸術を「写真」をキーワードに再考する展覧会です。
本展では、画家と写真の関係を次の3つの視点から紐解きます。

1)絵画と写真につくられた画家
フジタは時代の寵児として多くのメディアを賑わせましたが、そのアイコニックな風貌を世に知らしめたのは、何度となく描かれた自画像や繰り返し複製され流通した自身の肖像写真でした。それらは、極東からパリへやってきた無名の画家が世界の第一線に躍り出るために講じた、巧みな「メディア戦略」だったといえるでしょう。フジタが自分自身を描写した絵画と写真を通して、「見られたい自分」をつくり出し、セルフブランディングしていくプロセスを跡付けます。

2)写真がつくる絵画
多くの画家がそうであったように、フジタもまた写真を絵画制作に活用しました。フジタは旅先でスケッチの代わりに写真を使い、世界のあらゆる風景や人々の姿を記録しました。そして写り込んださまざまな細部は、必要に応じて写真から切り出され、数多の絵画作品へと転用されていきました。本展では絵画に現れた写真の断片を探り当て、フジタの写真活用のプロセスを検証します。

3)画家がつくる写真
いくつかのカメラを所有していたフジタは、生涯にわたって数千点におよぶ写真を残しました。華やかなパリ、情緒ただようラテンアメリカ、活気あふれる北京、そして日本。世界中を旅したフジタの写真は、彼の絵画に勝るとも劣らない魅力を備えています。本展では、日本とフランスに所蔵されているフジタの写真の中から珠玉のスナップショットを厳選。フジタの感性を知る“もうひとつの入り口”として、彼が手がけた写真を紹介します。

描くこと、そして撮ること。ふたつの行為を行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない角度から藤田嗣治の魅力を紹介します。


みどころ

絵画と写真でセルフブランディング 画家フジタのメディア戦略
オカッパ頭に丸メガネ、口元の髭と奇抜なファッション、そして傍らには猫――。知らず知らずのうちに、私たちはフジタの「イメージ戦略」にハマっていたのかもしれません。画家・フジタを知る人にとってお馴染みのいでたちは、絵画と写真によって、繰り返し再生産されてきました。アイコニックなキャラクターを世に知らしめた自画像とポートレート写真を一挙に展示。映像が氾濫する時代に先駆けた「画家のメディア戦略」の跡を追います。

私としても私程又肖像を写された人も多くあるまいと思ふ程カメラを向けられた。
――藤田嗣治(「私のカメラ」『明朗』第1巻第4号、p.190)


過去最大級! フジタが撮影した珠玉の写真が一堂に
日本とフランスに遺された数千枚の写真資料の中から、フジタが撮影した優品を厳選して紹介します。愛機・ライカを手にしたフジタは、ひとりのアマチュア写真家として、好奇心の赴くままにシャッターを切りました。1930年代に世界を旅する中で撮られたモノクロ写真と、1950年代のヨーロッパを撮った彩り豊かなカラー写真。いずれも観る者の心を惹きつける必見のスナップショットです。本展はそんなフジタの写真を過去最大級のボリュームで展示する、またとない機会です。東京ステーションギャラリーの赤レンガ壁を背景に、プロの写真家をも唸らせたフジタの写真を存分に味わいます。

原色のまま写す方が、新しい感覚の画ができると思います。丁度近代絵画のように。
――藤田嗣治(自作解説『アサヒカメラ』第41巻第3号)


徹底比較、絵画と写真 傑作に隠された秘密に迫る
鉛筆や木炭をカメラに替えて、フジタは絵画の素材として写真を活用していました。一期一会の出会いを逃さないように、フジタは旅先のあらゆる景色や人々にレンズを向け、その姿を記録しています。そして、メモのごとく無造作に撮られた写真の一部――人の相貌、衣服の模様、建築、動物など――を切り出しては、キャンバスの上に構成していきました。作品然とした見事な写真を手がける一方で、フジタは画家として、こうした実用的な写真の使い方も実践していたのです。本展では、代表作とその素材となった写真を併せて展示します。絵画それ自体を味わうのは勿論、写真と比較した分析も面白い“一度で二度おいしい”鑑賞が楽しめます。


本展で紹介するおもなトピック
・ アジェ、マン・レイ、ケルテス――シュルレアリストとの写真を通じた交友
・ 木村伊兵衛、土門拳、中山岩太――日本人写真家たちが捉えた「画家・フジタ」
・ フジタが撮った世界のすがた――ブラジル、ボリビア、メキシコ、アメリカ、中国ほか
・ 写真界から称賛されたフジタ・珠玉のカラー写真
・ 故国日本の原風景を求めて――映画「現代日本」を撮ったフジタのまなざし
・ 阿部徹雄、清川泰次、フランク・シャーマン――戦後のフジタを追った人々
・ 私と妻と、そして父と――家族の肖像と写真の関係
・ パリ発、ヨーロッパ旅行のカラー写真と絵画
・ 愛すべき妻、小さな子どもたち――写し、描かれた、フジタが愛した人々


章立て
プロローグ:眼の時代
1:絵画と写真につくられた画家
2:写真がつくる絵画
3:画家がつくる写真
エピローグ:眼の記憶/眼の追憶

出典

作家・出演者藤田嗣治
会場東京ステーションギャラリーとうきょう すてーしょん ぎゃらりー
住所
100-0005
東京都千代田区丸の内1-9-1
アクセス
東京駅(JR)丸の内北口 徒歩0分
東京駅(東京メトロ丸の内線) 徒歩3分
大手町駅(東京メトロ東西線) 徒歩5分
二重橋前駅(東京メトロ千代田線) 徒歩7分
会期2025/07/05(土) - 08/31(日)
時間10:00-18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休み月曜日、7/22(火)、8/12(火)
※ただし7/21(月)、8/11(月)、8/25(月)は開館
観覧料一般 1,500円
大高生 1,300円
中学生以下 無料
※障がい者手帳等持参の方は200円引き(介添者1名は無料)
※オンライン www.e-tix.jp/ejrcf_gallery/ (前売券・当日券)または当館1階入口(当日券)でチケット販売
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