この度CASHIでは、3月1日(土)から4月5日(土)まで、梅沢和木(1985年埼玉県生まれ)の個展「画像幻想」を開催いたします。梅沢は2008年に武蔵野美術大学造形学部映像学科を卒業後、インターネット上に散在するイメージを再構築した作品を精力的に発表してきました。
彼の作品は、膨大な情報量に圧倒される“カオス”そのものを、あえて平面に落とし込むことで、ディスプレイの中の“存在しないはずのイメージ”をあたかも現実のもののように提示します。その行為は、デジタル社会における“画像”への信仰心にも通じる偶像崇拝的な実践といえるでしょう。
本展「画像幻想」では、梅沢が長年魅了され続けてきた「画像」という概念を軸に、新たな作品群を発表いたします。デジタル上では確固たる実体を持たない“画像”を再度現実空間で絵画化することにより、幻想を信じ続けるという作家の姿勢が浮かび上がるでしょう。
CASHIでの梅沢の個展開催は、2020年「黒の夢」以来5年ぶりとなります。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、心よりご案内申し上げます。
関連企画
〔関連企画-1〕
Coming soon
〔関連企画-2〕
梅沢和木ミニチュア個展「メタ・ミュージアム」
会場:コ本や honkobooks(書架内)
https://honkbooks.com
会期:2月27日(木) – 3月31日(月)
12:00-20:00(火曜定休)
※貸し切りイベントなどの予定がありますので、営業時間は事前にSNS等でご確認下さい。
作家ステートメント
「画像」という単語がずっと気になっている。「エターナルフォース画像コア」という初個展をした時、「画像」と付くタイトルにするのは必須だった。ひたすら画像を集めてコラージュしながら、この単語が重要だととにかく思っていて、当時サービス開始して間もないツイッターでも「画像」に関連したつぶやきをよくしていた。
「画像」は”image”と翻訳できるが、これはカタカナの「イメージ」と微妙にニュアンスが異なる。「画像はイメージです」の意味を考えれば、その違いは明白だろう。「画像」という単語に凝縮された形容しがたい、「画像感」としか言いようのない感じはいったい何なのか。
以前参加したあるトークイベント(*注1)で、写真家の小林健太が「画像の中にはピクセルが含まれている」と言った。どういう意味なのかというと、「画」の字の中心の「田」は四つの四角形の組み合わせで成り立っており、これ自体がピクセルを表していると言うのだ。
「画像」にはピクセルが含まれている!
正にそうだ!と驚き、その着眼点に敬意を払いつつ、ますます「画像」に惹かれる自分がいた。冷静に考えればこれはとんちのようなもので、何か学術的に正当性があるかと言えば正直な所わからない(*注2)。しかし、とにかくこの「画像」にピクセルが含まれていると発見させられた瞬間の驚きや胸の高鳴りは、確実に自分の中に存在していた。とんちというかまやかし、もしくは魔法のような類に近い。そして思い込みのようなこの驚きやわくわく自体が、重要なのだと思う。
一方、「画像」は実在していない。ディスプレイに何かのキャラクターが表示されていたとして、ディスプレイ自体は実在しているが、画像は電気信号や配線などの集合がそうさせているだけで、そこに実体を持って存在しているわけではない。それを、存在しているかのように思ってしまうことのほうが重要なのだ。それはつまり、「アート」や「美術」で行われてきた様々なこと、例えば神や幽霊や死者があたかもいるかのように描かれてきたことと近い。存在していない(かもしれない)ものを何かしらの表象で表現することで、まるで実在しているかのように感じさせることができる。それは手品のようでもあり、魔法のようでもある。
「画像」に実体を与えるかのように平面作品として提示することは、それが幻想であることをごまかす行為にすぎないと批判することもできる。「画像」自体をNFTとして発表するほうがスマートな回答だとも言えるだろう。ではなぜ現実の展示空間に「画像」を出力して貼り付け、絵画化したような作品を作り続けるのかというと、私がこの幻想を信じ続けたいからに他ならない。
「画」の中心にはピクセルが含まれているし、「画像」も存在している。
注1:mograg galleryにて2016年に開催された「卍エターナル・ポータル卍 輪廻MIX」展の会期中に行われたトークイベント「画像という骨董を巡って」(登壇者:小林健太×山内祥太×梅沢和木×たかくらかずき)
注2:「画」という漢字が成り立った経緯には「筆を手にして、交差する図を描く」、「耕地の仕切りを図形上に描く」などが関係しており、「書く」ことや「描く」こと自体と深い縁がある。
彼の作品は、膨大な情報量に圧倒される“カオス”そのものを、あえて平面に落とし込むことで、ディスプレイの中の“存在しないはずのイメージ”をあたかも現実のもののように提示します。その行為は、デジタル社会における“画像”への信仰心にも通じる偶像崇拝的な実践といえるでしょう。
本展「画像幻想」では、梅沢が長年魅了され続けてきた「画像」という概念を軸に、新たな作品群を発表いたします。デジタル上では確固たる実体を持たない“画像”を再度現実空間で絵画化することにより、幻想を信じ続けるという作家の姿勢が浮かび上がるでしょう。
CASHIでの梅沢の個展開催は、2020年「黒の夢」以来5年ぶりとなります。ぜひこの機会にご高覧賜りますよう、心よりご案内申し上げます。
関連企画
〔関連企画-1〕
Coming soon
〔関連企画-2〕
梅沢和木ミニチュア個展「メタ・ミュージアム」
会場:コ本や honkobooks(書架内)
https://honkbooks.com
会期:2月27日(木) – 3月31日(月)
12:00-20:00(火曜定休)
※貸し切りイベントなどの予定がありますので、営業時間は事前にSNS等でご確認下さい。
作家ステートメント
「画像」という単語がずっと気になっている。「エターナルフォース画像コア」という初個展をした時、「画像」と付くタイトルにするのは必須だった。ひたすら画像を集めてコラージュしながら、この単語が重要だととにかく思っていて、当時サービス開始して間もないツイッターでも「画像」に関連したつぶやきをよくしていた。
「画像」は”image”と翻訳できるが、これはカタカナの「イメージ」と微妙にニュアンスが異なる。「画像はイメージです」の意味を考えれば、その違いは明白だろう。「画像」という単語に凝縮された形容しがたい、「画像感」としか言いようのない感じはいったい何なのか。
以前参加したあるトークイベント(*注1)で、写真家の小林健太が「画像の中にはピクセルが含まれている」と言った。どういう意味なのかというと、「画」の字の中心の「田」は四つの四角形の組み合わせで成り立っており、これ自体がピクセルを表していると言うのだ。
「画像」にはピクセルが含まれている!
正にそうだ!と驚き、その着眼点に敬意を払いつつ、ますます「画像」に惹かれる自分がいた。冷静に考えればこれはとんちのようなもので、何か学術的に正当性があるかと言えば正直な所わからない(*注2)。しかし、とにかくこの「画像」にピクセルが含まれていると発見させられた瞬間の驚きや胸の高鳴りは、確実に自分の中に存在していた。とんちというかまやかし、もしくは魔法のような類に近い。そして思い込みのようなこの驚きやわくわく自体が、重要なのだと思う。
一方、「画像」は実在していない。ディスプレイに何かのキャラクターが表示されていたとして、ディスプレイ自体は実在しているが、画像は電気信号や配線などの集合がそうさせているだけで、そこに実体を持って存在しているわけではない。それを、存在しているかのように思ってしまうことのほうが重要なのだ。それはつまり、「アート」や「美術」で行われてきた様々なこと、例えば神や幽霊や死者があたかもいるかのように描かれてきたことと近い。存在していない(かもしれない)ものを何かしらの表象で表現することで、まるで実在しているかのように感じさせることができる。それは手品のようでもあり、魔法のようでもある。
「画像」に実体を与えるかのように平面作品として提示することは、それが幻想であることをごまかす行為にすぎないと批判することもできる。「画像」自体をNFTとして発表するほうがスマートな回答だとも言えるだろう。ではなぜ現実の展示空間に「画像」を出力して貼り付け、絵画化したような作品を作り続けるのかというと、私がこの幻想を信じ続けたいからに他ならない。
「画」の中心にはピクセルが含まれているし、「画像」も存在している。
注1:mograg galleryにて2016年に開催された「卍エターナル・ポータル卍 輪廻MIX」展の会期中に行われたトークイベント「画像という骨董を巡って」(登壇者:小林健太×山内祥太×梅沢和木×たかくらかずき)
注2:「画」という漢字が成り立った経緯には「筆を手にして、交差する図を描く」、「耕地の仕切りを図形上に描く」などが関係しており、「書く」ことや「描く」こと自体と深い縁がある。
作家・出演者 | 梅沢和木 |
会場 | CASHI |
住所 | 111-0053 東京都台東区浅草橋5-6-12 1F |
アクセス | 浅草橋駅(JR)西口 徒歩5分 浅草橋駅(都営浅草線)A2出口 徒歩10分 秋葉原駅(JR)昭和通り口 徒歩10分 秋葉原駅(東京メトロ日比谷線)1番出口 徒歩10分 |
会期 | 2025/03/01(土) - 04/05(土) |
時間 | 12:00-18:00 |
休み | 日曜日、月曜日、火曜日 |
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