前期2025年2月25日(火)〜2025年4月13日(日)
後期2025年4月15日(火)〜2025年6月1日(日)
*掛軸・屏風は前期・後期で展示替えがございます。
人はどんなに偉くなっても、やがて忘れられる。
そこへいくと、古代の第一級の美術品はずっと後世に残る。
自分が集めたものを、未来の人々に鑑賞してもらう。これが私の夢ですよ。―松岡清次郎
当館は創設者 松岡清次郎が蒐集した美術品を公開するため、1975(昭和50)年 11月25日に東京港区新橋の自社ビル内に開館した私立美術館です。1917(大正6)年、貿易商から身を起こした松岡は、自らの眼にかなった「美しいもの」を追い求め、80歳を機にこれまで自分のためだけに蒐めてきた美術品を一般公開することを決意して松岡美術館を開設しました。その後も蒐集は続き、およそ2400点の一大コレクションが形成されました。松岡逝去後の2000年、美術館は自宅跡地である港区白金台へ移転し、松岡が生涯をかけて蒐集した美術品を公開しています。
開館50周年にあたる2025年は3会期にわたりさまざまなテーマで松岡コレクションをご紹介します。第一弾となる本展は、1975年11月25日から1976年4月24日まで新橋で開催された「開館記念展」を白金台で再現するものです。開館当時の松岡コレクション オールスターともいえる展示作品から選りすぐった東洋陶磁と日本画を中心に、常設展示作品も含めて当時を振り返ります。
本展の見どころ
1.開館の契機となった中国陶磁の世界的名品2点の同時展示
開館前年の1974年、80歳の松岡清次郎はロンドンのオークションにたびたび出向き、元・明時代を代表する青花磁器の世界的名品《青花双鳳草虫図八角瓶》、《青花龍唐草文天球瓶》を相次いで取得しました。とくに《青花龍唐草文天球瓶》は4月のオークションでライバルに競り落とされたもの、運命的な経緯を辿り11月にようやく手にすることができた、松岡にとって格別に思い入れの深い作品です。
名品2点を手中に収めた松岡は、1975年11月、夢であった自らのコレクションを公開する美術館を新橋の自社ビル内にオープンし、《青花龍唐草文天球瓶》、《青花双鳳草虫図八角瓶》はお披露目されました。松岡美術館開館50周年を記念した本展で、この2点が3年ぶりに展示室に並びます。
2.かつての展示ケースや手書きキャプションで昭和レトロな雰囲気を再現
本展では、開館時に使用した木製ケースに一部の作品を展示し、キャプションも手書きのものを添えて新橋時代の展示風景を再現します。開館に向けて製作された木製ケースは鉄製フレームの脚で支えられた堅牢な造りで、2000年に白金台へ移転した際にリフォームし、現在も常設展示などで大切に使用しています。当館の作品キャプションは、まだワープロもパソコンも普及していなかった1980年代半ばころまで、書道の心得のある館員が筆で手書きしておりました。こうした木製ケースと筆文字のキャプションで昭和レトロな雰囲気を演出します。
3.全館で開館記念展出品作品を紹介
本展では、展示室2を除く全館を使って開館記念展に展示された作品をご紹介します。新橋時代の展示室内は、間仕切りのない吹き抜け2フロアに古今東西の品々が並んでいました。現在は部門ごとに展示室がわかれており、あらゆるジャンルの美術作品を一望できたかつての雰囲気には及びませんが、館内をあちらこちら見回って開館当時の気分を味わっていただければ幸いです。
トピックス
昭和5年ローマ開催日本美術展覧会出品の3点を同時展示
1930(昭和5)年 ローマにおいて、大蔵財閥の二代目男爵 大倉喜七郎(1882–1963)が莫大な私財を投じ、イタリア政府が主催した「ローマ開催日本美術展覧会」が大々的に開催されました。この展覧会には、15点出品の横山大観をはじめとして、東西の画壇で活躍していた総勢80名による約200 点が出品されました。
本展では、当館で所蔵する出品作品全3点、横山大観《梅花》、堂本印象《母子》、堅山南風《秋草》が前期展示期間 2025年2月25日(火)~4月13日(日)に並びます。2000年の白金台移転後初めて、この3作品を同時展示いたします。
50周年記念ロゴマーク
開館50周年にあたり、当館所蔵の《青花龍唐草文天球瓶》をデザインしたオリジナルの50周年記念ロゴマークをつくりました。
《青花龍唐草文天球瓶》は当館を象徴する特別な作品であり、台湾・故宮博物院、イラン・アルデビル寺院、オランダ・プリンセンホフ博物館のみに類品が伝わる明時代初期の景徳鎮青花磁器を代表する名品としてしられています。この独特な器形は西アジアの高級な金属器に由来するもので、ロゴマークには天球瓶のシルエットに四肢を振りかざした龍がダイナミックに巡る姿を配し、50周年を記念する意匠としました。今展より3会期にわたりポスターやウェブサイト、グッズなどで使用いたします。
展示構成
第1章 50年間いつも傍に
現在、1階に常設している76作品のうち石像彫刻26点は開館記念展に出品され、その多くが常設展示となりました。50年の間ずっと当館の歩みを見守ってきた常設作品のうち、古代ローマの神像彫刻《ミネルヴァ》やガンダーラの仏像彫刻《菩薩半跏思惟像》などにスポットを当ててご紹介します。
第2章 日本にないものを求めて
創設者 松岡清次郎は美術館開設にあたり、すでにコレクションしていた日本画や東洋陶磁のほか、「日本にないものをご覧いただきたい」という想いから、古代オリエントや古代ギリシア・ローマの遺物も精力的に蒐集しています。そのなかから、近年出品の機会がなかった作品を主にご紹介します。テラコッタの《アフロディテ像》は白金台で初めての展示となります。
第3章 選ばれた名品たち
当館のシンボルともいえる《青花龍唐草文天球瓶》と《青花双鳳草虫図八角瓶》をはじめとした東洋陶磁の精華とともに、中国文化の根源ともいえる古代青銅器や精緻な清朝玉器《翡翠白菜形花瓶》のほか、古代ギリシア陶器、ペルシア陶器もあわせてご紹介します。
先ずは、開館にあわせて刊行した『開館記念名品図録』(絶版)を展示し、表紙を飾った《青花飛鳳唐草文馬上杯》から《天球瓶》と《八角瓶》 、午年生まれの松岡が好んだ《三彩馬》、江戸時代初期色絵の名品《色絵芭蕉柳図輪花鉢》など巻頭カラーの15作品が掲載順に並びます。カラー印刷が貴重だった50年前、選ばれたのは清次郎が自ら名品として愛した品々、図録の見開きを楽しむようにご覧ください。
第4章 日本画展 ー室町から現代ー
重要文化財 伝周文《竹林閑居図》(前期展示)や雪舟の若描きである拙宗等揚《翡翠図》(後期展示)など室町時代の水墨画から、松岡のお気に入りであった横山大観《梅花》(前期展示)や上村松園《春宵》(後期展示)など近現代に至る日本の絵画約50点を展示いたします。当館は、いまでこそ印象派絵画でしられていますが、開館当時はまだモネもルノワールも所蔵しておらず、松岡が最初に蒐集したという日本画が絵画コレクションの中核でした。第4章の章立て名は、開館記念展の出品作品をあらわすとともに、1981~1990年に新橋で5回開催された同名の展覧会タイトルに由来します。
常設展示
古代オリエント美術 / 古代ギリシア・ローマ彫刻
ガンダーラ・インド彫刻
ヨーロッパ近代彫刻(ブールデル、ヘンリー・ムア、エミリオ・グレコ)
後期2025年4月15日(火)〜2025年6月1日(日)
*掛軸・屏風は前期・後期で展示替えがございます。
人はどんなに偉くなっても、やがて忘れられる。
そこへいくと、古代の第一級の美術品はずっと後世に残る。
自分が集めたものを、未来の人々に鑑賞してもらう。これが私の夢ですよ。―松岡清次郎
当館は創設者 松岡清次郎が蒐集した美術品を公開するため、1975(昭和50)年 11月25日に東京港区新橋の自社ビル内に開館した私立美術館です。1917(大正6)年、貿易商から身を起こした松岡は、自らの眼にかなった「美しいもの」を追い求め、80歳を機にこれまで自分のためだけに蒐めてきた美術品を一般公開することを決意して松岡美術館を開設しました。その後も蒐集は続き、およそ2400点の一大コレクションが形成されました。松岡逝去後の2000年、美術館は自宅跡地である港区白金台へ移転し、松岡が生涯をかけて蒐集した美術品を公開しています。
開館50周年にあたる2025年は3会期にわたりさまざまなテーマで松岡コレクションをご紹介します。第一弾となる本展は、1975年11月25日から1976年4月24日まで新橋で開催された「開館記念展」を白金台で再現するものです。開館当時の松岡コレクション オールスターともいえる展示作品から選りすぐった東洋陶磁と日本画を中心に、常設展示作品も含めて当時を振り返ります。
本展の見どころ
1.開館の契機となった中国陶磁の世界的名品2点の同時展示
開館前年の1974年、80歳の松岡清次郎はロンドンのオークションにたびたび出向き、元・明時代を代表する青花磁器の世界的名品《青花双鳳草虫図八角瓶》、《青花龍唐草文天球瓶》を相次いで取得しました。とくに《青花龍唐草文天球瓶》は4月のオークションでライバルに競り落とされたもの、運命的な経緯を辿り11月にようやく手にすることができた、松岡にとって格別に思い入れの深い作品です。
名品2点を手中に収めた松岡は、1975年11月、夢であった自らのコレクションを公開する美術館を新橋の自社ビル内にオープンし、《青花龍唐草文天球瓶》、《青花双鳳草虫図八角瓶》はお披露目されました。松岡美術館開館50周年を記念した本展で、この2点が3年ぶりに展示室に並びます。
2.かつての展示ケースや手書きキャプションで昭和レトロな雰囲気を再現
本展では、開館時に使用した木製ケースに一部の作品を展示し、キャプションも手書きのものを添えて新橋時代の展示風景を再現します。開館に向けて製作された木製ケースは鉄製フレームの脚で支えられた堅牢な造りで、2000年に白金台へ移転した際にリフォームし、現在も常設展示などで大切に使用しています。当館の作品キャプションは、まだワープロもパソコンも普及していなかった1980年代半ばころまで、書道の心得のある館員が筆で手書きしておりました。こうした木製ケースと筆文字のキャプションで昭和レトロな雰囲気を演出します。
3.全館で開館記念展出品作品を紹介
本展では、展示室2を除く全館を使って開館記念展に展示された作品をご紹介します。新橋時代の展示室内は、間仕切りのない吹き抜け2フロアに古今東西の品々が並んでいました。現在は部門ごとに展示室がわかれており、あらゆるジャンルの美術作品を一望できたかつての雰囲気には及びませんが、館内をあちらこちら見回って開館当時の気分を味わっていただければ幸いです。
トピックス
昭和5年ローマ開催日本美術展覧会出品の3点を同時展示
1930(昭和5)年 ローマにおいて、大蔵財閥の二代目男爵 大倉喜七郎(1882–1963)が莫大な私財を投じ、イタリア政府が主催した「ローマ開催日本美術展覧会」が大々的に開催されました。この展覧会には、15点出品の横山大観をはじめとして、東西の画壇で活躍していた総勢80名による約200 点が出品されました。
本展では、当館で所蔵する出品作品全3点、横山大観《梅花》、堂本印象《母子》、堅山南風《秋草》が前期展示期間 2025年2月25日(火)~4月13日(日)に並びます。2000年の白金台移転後初めて、この3作品を同時展示いたします。
50周年記念ロゴマーク
開館50周年にあたり、当館所蔵の《青花龍唐草文天球瓶》をデザインしたオリジナルの50周年記念ロゴマークをつくりました。
《青花龍唐草文天球瓶》は当館を象徴する特別な作品であり、台湾・故宮博物院、イラン・アルデビル寺院、オランダ・プリンセンホフ博物館のみに類品が伝わる明時代初期の景徳鎮青花磁器を代表する名品としてしられています。この独特な器形は西アジアの高級な金属器に由来するもので、ロゴマークには天球瓶のシルエットに四肢を振りかざした龍がダイナミックに巡る姿を配し、50周年を記念する意匠としました。今展より3会期にわたりポスターやウェブサイト、グッズなどで使用いたします。
展示構成
第1章 50年間いつも傍に
現在、1階に常設している76作品のうち石像彫刻26点は開館記念展に出品され、その多くが常設展示となりました。50年の間ずっと当館の歩みを見守ってきた常設作品のうち、古代ローマの神像彫刻《ミネルヴァ》やガンダーラの仏像彫刻《菩薩半跏思惟像》などにスポットを当ててご紹介します。
第2章 日本にないものを求めて
創設者 松岡清次郎は美術館開設にあたり、すでにコレクションしていた日本画や東洋陶磁のほか、「日本にないものをご覧いただきたい」という想いから、古代オリエントや古代ギリシア・ローマの遺物も精力的に蒐集しています。そのなかから、近年出品の機会がなかった作品を主にご紹介します。テラコッタの《アフロディテ像》は白金台で初めての展示となります。
第3章 選ばれた名品たち
当館のシンボルともいえる《青花龍唐草文天球瓶》と《青花双鳳草虫図八角瓶》をはじめとした東洋陶磁の精華とともに、中国文化の根源ともいえる古代青銅器や精緻な清朝玉器《翡翠白菜形花瓶》のほか、古代ギリシア陶器、ペルシア陶器もあわせてご紹介します。
先ずは、開館にあわせて刊行した『開館記念名品図録』(絶版)を展示し、表紙を飾った《青花飛鳳唐草文馬上杯》から《天球瓶》と《八角瓶》 、午年生まれの松岡が好んだ《三彩馬》、江戸時代初期色絵の名品《色絵芭蕉柳図輪花鉢》など巻頭カラーの15作品が掲載順に並びます。カラー印刷が貴重だった50年前、選ばれたのは清次郎が自ら名品として愛した品々、図録の見開きを楽しむようにご覧ください。
第4章 日本画展 ー室町から現代ー
重要文化財 伝周文《竹林閑居図》(前期展示)や雪舟の若描きである拙宗等揚《翡翠図》(後期展示)など室町時代の水墨画から、松岡のお気に入りであった横山大観《梅花》(前期展示)や上村松園《春宵》(後期展示)など近現代に至る日本の絵画約50点を展示いたします。当館は、いまでこそ印象派絵画でしられていますが、開館当時はまだモネもルノワールも所蔵しておらず、松岡が最初に蒐集したという日本画が絵画コレクションの中核でした。第4章の章立て名は、開館記念展の出品作品をあらわすとともに、1981~1990年に新橋で5回開催された同名の展覧会タイトルに由来します。
常設展示
古代オリエント美術 / 古代ギリシア・ローマ彫刻
ガンダーラ・インド彫刻
ヨーロッパ近代彫刻(ブールデル、ヘンリー・ムア、エミリオ・グレコ)
作家・出演者 | 横山大観, 拙宗等揚, 上村松園, 堂本印象, 堅山南風, 伝周文 |
会場 | 松岡美術館 (Matsuoka Museum of Art, 마츠오카 미술관, 松冈美术馆) |
住所 | 108-0071 東京都港区白金台5-12-6 |
アクセス | 白金台駅(東京メトロ南北線, 都営地下鉄三田線)1番出口 徒歩7分 目黒駅(JR, 東急電鉄)東口 徒歩15分 |
会期 | 2025/02/25(火) - 06/01(日) |
時間 | 10:00-17:00 ※入館は閉館の30分前まで |
休み | 月曜日 ※ただし、5/5(月)は開館 |
観覧料 | 一般 1,400円 25歳以下 700円 高校生以下 無料 ※障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名まで半額 |
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