WAITINGROOM(東京)では、2024年12月14日(土)から2025年1月19日(日)(冬季休廊期間:2024年12月29日(日)- 2025年1月7日(火))まで、木藤遼太の当ギャラリーで初めて、そして木藤自身のキャリアの中でも初めての個展『ある絵の続き / re-reconstruct』を開催いたします。木藤は、「彫刻」という最も物質性の強いメディアを自身の制作手法の中心としつつも、「形のないかたちで作られた彫刻」を模索しながら作品を制作しているアーティストです。近年では、『東京藝術大学修了作品展』(2024年)で発表した《82番目のポートレイト》や、『ICCアニュアル 2024 とても近い遠さ』(2024年)で発表した《M.81の骨格——82番目のポートレイト》など、「音」を素材の中心に制作と発表をしてきました。木藤自身にとって初めての個展となる本展でも、近年の実践と地続きになった「音」を素材の中心とした新作を制作しました。瞬間芸術ともいわれる音楽を、どうやって空間内に留めるのか。この問いと共に「永遠性」についても考えながら、何度でも組み直せるように設計された格子状の彫刻、そこを行き来するように流れる音源、物理的な記録媒体=彫刻としてのレコード作品が、インスタレーション作品としてギャラリー空間内に展開されます。ぜひご高覧ください。
作家・ 木藤遼太について
1993年埼玉県生まれ。2024年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。日常の一環として元来の表現形式での「彫刻」を行なう傍ら、脱構築的な思考を介し、時間や音などの形而上的な素材を要素に用いた作品を制作しています。自分自身を、唯一性のある個人であると同時に匿名のひとりの人間とも捉え、そのような自身を基点として、コピーとオリジナルといった普遍的な領域の事象や話題を研究しています。
近年の展覧会に、2024年グループ展『ICCアニュアル 2024 とても近い遠さ』(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)、グループ展『Sound&City -environ-』(HANEDA INNOVATION CITY、東京)、『第72回東京藝術大学 卒業・修了作品展』(東京藝術大学、東京)、2023年グループ展『Rebuilding』(染めの里おちあい二葉苑 / BaBaBa、東京)、2022年グループ展『新宿の染×SDGs by 東京富士大学 – Shinjuku Re”和”style project』(新宿マルイ本館、東京)など。
アーティスト・ステートメント
ある絵の続き
一枚の絵がある。そこには門が描かれている。この絵は,或る都市に計画された或る門のアイデアとしてデッサンされたものだ。その後作者は病に伏し、提案が実現することはなく,描かれた門は幻の建築となった。
この絵はやがて或る作曲家にインスピレーションを与え、或る曲が生まれた。150年後の今、電車に乗りながら僕はその曲に出会った。曲の進行と共に,頭の中に構築されていく壮大な建築は、ようやく建ち上がったかと思えば,儚く崩れた。
僕は,彼らの夢の続きについて考える。
木藤遼太(2024年11月)
幻となった建築とそれを思う音楽、その永遠性と儚さについて
木藤遼太は、自分自身を「あくまでも無数の中の或る個人」と捉え、自身を取り巻く環境や日常の中からすくいあげたテーマをもとに、そのふとした気づきや感覚を普遍的なスケールの問いにのせて作品を制作してきました。
本展でテーマとなっているのは、「永遠性と儚さ」について。モチーフとして選ばれたのは、1874年にロシアの作曲家・モデスト=ムソルグスキーが作曲したピアノ曲《展覧会の絵》。ムソルグスキーの親友であったサンクトペテルブルク出身のロシアの建築家で画家のヴィクトル=ハルトマンが、キエフの門の再建のために案として提出したデッサンがあり、しかしその後ハルトマンは若くして世を去り、門の再建計画は頓挫し、デッサンの建築は幻となってしまいました。親友が叶えられなかった建築という大きな夢を、ムソルグスキーが音楽を通じて実現しようとした作品が、この《展覧会の絵》だと言われています。この曲に出会った木藤は、「曲が進むにつれて、頭の中で壮大な建築が組み上がりクライマックスに感極まるが、何回も聴くうちにフィナーレが訪れるころにどこか悲しさを感じるようになった。」と言います。それは、瞬間芸術とも言われる音楽によって構築された虚構の建築は、決して具現化されることはなく、曲の終了とともに儚く消えてしまうように感じるからだと。「形のないかたちで作られた彫刻」を模索しながら音を素材として制作する木藤にとって、瞬間芸術である音楽のジレンマであるこの儚さをどのように永遠のものにできるのか、《展覧会の絵》との出会いをきっかけに探り始めました。本展覧会会場には、建ち上がっては壊れていくこの音の建築を、何度でも組み直せるように設計された格子状の彫刻に置き換えて設置し、そこを行き来するように流れる音源が、終わりの見えない音楽として空間に留められます。展覧会会期中、相反するふたつの方向を目指す音が会場内でぶつかり合い続け、それは日々記録され、21枚(展覧会会期の日数と同じ)のレコード作品として残されます。果たして、“待合室” の意味を持つこのギャラリー空間で、木藤のいう「限りなく留まりつづける行為としての彫刻」はある種の永遠性を獲得するのか、ぜひともご注目ください。
作家略歴
1993 埼玉県生まれ
2021 東京藝術大学 美術学部 彫刻科 卒業
2024 東京藝術大学 大学院美術研究科彫刻専攻 修了
現在東京を拠点に活動中
個展
2024
「ある絵の続き / re-reconstruct」WAITINGROOM(東京)
グループ展
2024
「ICCアニュアル 2024 とても近い遠さ」NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東京)
私水亮太 x 木藤遼太 二人展「ボレロ(Boléro)-最後の和音に海がある。」Gallery zaroff(東京)
「第72回東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京藝術大学(東京)
「Sound & City ~environ~」HANEDA INNOVATION CITY(東京)
2023
「Rebuilding」染めの里おちあい二葉苑 / BaBaBa(東京)
2022
新宿の染×SDGs By 東京富士大学「Shinjuku Re”和”style project」新宿マルイ本館(東京)
2021
「SDGs×ARTs展」東京藝術大学大学美術館(東京)
「未来の大芸術家たち」平成記念美術館ギャラリー(東京)
「東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京藝術大学(東京)
2020
「Raw Objects」カミサカアートギャラリー(東京)
アワード
2024 東京藝術大学 大学院美術研究科彫刻専攻修了 同大学院買い上げ作品選出
2021 サロンドプランタン賞
平成芸術賞
2020 久米桂一郎賞
作家・ 木藤遼太について
1993年埼玉県生まれ。2024年に東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。日常の一環として元来の表現形式での「彫刻」を行なう傍ら、脱構築的な思考を介し、時間や音などの形而上的な素材を要素に用いた作品を制作しています。自分自身を、唯一性のある個人であると同時に匿名のひとりの人間とも捉え、そのような自身を基点として、コピーとオリジナルといった普遍的な領域の事象や話題を研究しています。
近年の展覧会に、2024年グループ展『ICCアニュアル 2024 とても近い遠さ』(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)、グループ展『Sound&City -environ-』(HANEDA INNOVATION CITY、東京)、『第72回東京藝術大学 卒業・修了作品展』(東京藝術大学、東京)、2023年グループ展『Rebuilding』(染めの里おちあい二葉苑 / BaBaBa、東京)、2022年グループ展『新宿の染×SDGs by 東京富士大学 – Shinjuku Re”和”style project』(新宿マルイ本館、東京)など。
アーティスト・ステートメント
ある絵の続き
一枚の絵がある。そこには門が描かれている。この絵は,或る都市に計画された或る門のアイデアとしてデッサンされたものだ。その後作者は病に伏し、提案が実現することはなく,描かれた門は幻の建築となった。
この絵はやがて或る作曲家にインスピレーションを与え、或る曲が生まれた。150年後の今、電車に乗りながら僕はその曲に出会った。曲の進行と共に,頭の中に構築されていく壮大な建築は、ようやく建ち上がったかと思えば,儚く崩れた。
僕は,彼らの夢の続きについて考える。
木藤遼太(2024年11月)
幻となった建築とそれを思う音楽、その永遠性と儚さについて
木藤遼太は、自分自身を「あくまでも無数の中の或る個人」と捉え、自身を取り巻く環境や日常の中からすくいあげたテーマをもとに、そのふとした気づきや感覚を普遍的なスケールの問いにのせて作品を制作してきました。
本展でテーマとなっているのは、「永遠性と儚さ」について。モチーフとして選ばれたのは、1874年にロシアの作曲家・モデスト=ムソルグスキーが作曲したピアノ曲《展覧会の絵》。ムソルグスキーの親友であったサンクトペテルブルク出身のロシアの建築家で画家のヴィクトル=ハルトマンが、キエフの門の再建のために案として提出したデッサンがあり、しかしその後ハルトマンは若くして世を去り、門の再建計画は頓挫し、デッサンの建築は幻となってしまいました。親友が叶えられなかった建築という大きな夢を、ムソルグスキーが音楽を通じて実現しようとした作品が、この《展覧会の絵》だと言われています。この曲に出会った木藤は、「曲が進むにつれて、頭の中で壮大な建築が組み上がりクライマックスに感極まるが、何回も聴くうちにフィナーレが訪れるころにどこか悲しさを感じるようになった。」と言います。それは、瞬間芸術とも言われる音楽によって構築された虚構の建築は、決して具現化されることはなく、曲の終了とともに儚く消えてしまうように感じるからだと。「形のないかたちで作られた彫刻」を模索しながら音を素材として制作する木藤にとって、瞬間芸術である音楽のジレンマであるこの儚さをどのように永遠のものにできるのか、《展覧会の絵》との出会いをきっかけに探り始めました。本展覧会会場には、建ち上がっては壊れていくこの音の建築を、何度でも組み直せるように設計された格子状の彫刻に置き換えて設置し、そこを行き来するように流れる音源が、終わりの見えない音楽として空間に留められます。展覧会会期中、相反するふたつの方向を目指す音が会場内でぶつかり合い続け、それは日々記録され、21枚(展覧会会期の日数と同じ)のレコード作品として残されます。果たして、“待合室” の意味を持つこのギャラリー空間で、木藤のいう「限りなく留まりつづける行為としての彫刻」はある種の永遠性を獲得するのか、ぜひともご注目ください。
作家略歴
1993 埼玉県生まれ
2021 東京藝術大学 美術学部 彫刻科 卒業
2024 東京藝術大学 大学院美術研究科彫刻専攻 修了
現在東京を拠点に活動中
個展
2024
「ある絵の続き / re-reconstruct」WAITINGROOM(東京)
グループ展
2024
「ICCアニュアル 2024 とても近い遠さ」NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東京)
私水亮太 x 木藤遼太 二人展「ボレロ(Boléro)-最後の和音に海がある。」Gallery zaroff(東京)
「第72回東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京藝術大学(東京)
「Sound & City ~environ~」HANEDA INNOVATION CITY(東京)
2023
「Rebuilding」染めの里おちあい二葉苑 / BaBaBa(東京)
2022
新宿の染×SDGs By 東京富士大学「Shinjuku Re”和”style project」新宿マルイ本館(東京)
2021
「SDGs×ARTs展」東京藝術大学大学美術館(東京)
「未来の大芸術家たち」平成記念美術館ギャラリー(東京)
「東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京藝術大学(東京)
2020
「Raw Objects」カミサカアートギャラリー(東京)
アワード
2024 東京藝術大学 大学院美術研究科彫刻専攻修了 同大学院買い上げ作品選出
2021 サロンドプランタン賞
平成芸術賞
2020 久米桂一郎賞
作家・出演者 | 木藤遼太 |
会場 | WAITINGROOM |
住所 | 112-0005 東京都文京区水道2-14-2 長島ビル 1F |
アクセス | 江戸川橋駅(東京メトロ有楽町線)4番出口 徒歩3分 神楽坂駅(東京メトロ東西線)1番出口 徒歩10分 |
会期 | 2024/12/14(土) - 2025/01/19(日) |
時間 | 12:00-19:00 ※日曜日は17:00まで開廊 |
休み | 月曜日、火曜日 |
SNS | |
ウェブサイト |