s+arts (スプラスアーツ)より、加藤富也個展「おどる心、たゆたう心」の開催をお知らせいたします。
緻密な描写とも見える加藤富也の点描画は、事物の再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出して再構成されています。全ての色彩を混合すると無彩色のグレーとなる中で、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる加藤の作品はどれも、一見落ち着いた色味で統一されているように見えます。しかしながら、目の前に広がる無数の点は、近くで見ればみるほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩で溢れています。近年では、モチーフや色彩の幅を広げることにより、点描の可能性と絵画作品としての豊かさを更に追求しています。
本展「おどる心、たゆたう心」は、2年前より継続している、架空の女性、森羅美歩乃(しんら みほの)と、その化身である人形(シャンソン人形)を主人公に繰り広げられるストーリーの最終章として発表いたします。加藤が考えた物語を軸に制作される作品シリーズの第一弾として始まった本試みは、独自の制作理論に従って自身の個性や感受性を長年制限してきた加藤が、それらを開放するという方法で、作品の印象を大胆に変化させた注目すべきシリーズだと言えるでしょう。
「続きをどうすればよいのだろうか。
答えは意外なところからやって来た。ハートである。
気が付けば美歩乃さんとシャンソン人形を通してハートの形を描いていた。
彼女たちの心のイメージであるハートを前に押し出すと何かが動きそうだ。
ハートの形は通俗的なものだが、それを避けず絵画のイメージとして積極的に扱おう。
小さいハート型を連続すればハート型自体を点描の要素として扱うこともできる。
自分の好きな身近な植物であるカタバミの葉が三つのハート型であることも思い出した。
と言うわけでシャンソン人形の周りをハートが飛び交う絵を描き出した。
ハート型の小さいキャンバスも用意し、そちらには身近な花や植物を描いてみよう。」--- 加藤富也
これまで加藤は、作品を描く上で何がモチーフかは重要ではなく、そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配を捉えることに重きを置いてきましたが、物語を加えることで、点の解釈自体は当初の表現より解釈の幅を広げていると話します。
また、今回より、本格的にペンと紙による点描画の追及を始めたと言います。アクリル絵具とキャンバスやボードによる点描画とは異なるメディアを使うことによって、今までとは違う表現の可能性が生まれると加藤は考えます。盛岡市郊外にあるサブスタジオに定期的に通うようになり、北東北の自然と風土が日常に近くなったことをきっかけに、そこで感じたものを描き切る、というこれまでにない試みもいたしました。
点描画への追求心を自身の日常の変化に上手く乗せて、より自身の想いに素直に、ポジティブに作品制作を進める加藤の作品からは、鑑賞者が心穏やかになるようなエネルギーを感じるように見受けられます。これを機に加藤富也の新作群を是非ご高覧ください。
緻密な描写とも見える加藤富也の点描画は、事物の再現ではなく、空間に浮遊する素粒子のような「存在の気配」を抽出して再構成されています。全ての色彩を混合すると無彩色のグレーとなる中で、様々な色を感じさせるグレーを描くという、自身の基本表現から生まれる加藤の作品はどれも、一見落ち着いた色味で統一されているように見えます。しかしながら、目の前に広がる無数の点は、近くで見ればみるほどその鮮やかさが増し、気配を醸し出すための様々な色彩で溢れています。近年では、モチーフや色彩の幅を広げることにより、点描の可能性と絵画作品としての豊かさを更に追求しています。
本展「おどる心、たゆたう心」は、2年前より継続している、架空の女性、森羅美歩乃(しんら みほの)と、その化身である人形(シャンソン人形)を主人公に繰り広げられるストーリーの最終章として発表いたします。加藤が考えた物語を軸に制作される作品シリーズの第一弾として始まった本試みは、独自の制作理論に従って自身の個性や感受性を長年制限してきた加藤が、それらを開放するという方法で、作品の印象を大胆に変化させた注目すべきシリーズだと言えるでしょう。
「続きをどうすればよいのだろうか。
答えは意外なところからやって来た。ハートである。
気が付けば美歩乃さんとシャンソン人形を通してハートの形を描いていた。
彼女たちの心のイメージであるハートを前に押し出すと何かが動きそうだ。
ハートの形は通俗的なものだが、それを避けず絵画のイメージとして積極的に扱おう。
小さいハート型を連続すればハート型自体を点描の要素として扱うこともできる。
自分の好きな身近な植物であるカタバミの葉が三つのハート型であることも思い出した。
と言うわけでシャンソン人形の周りをハートが飛び交う絵を描き出した。
ハート型の小さいキャンバスも用意し、そちらには身近な花や植物を描いてみよう。」--- 加藤富也
これまで加藤は、作品を描く上で何がモチーフかは重要ではなく、そこに確かに存在することで感じられるエネルギーのような気配を捉えることに重きを置いてきましたが、物語を加えることで、点の解釈自体は当初の表現より解釈の幅を広げていると話します。
また、今回より、本格的にペンと紙による点描画の追及を始めたと言います。アクリル絵具とキャンバスやボードによる点描画とは異なるメディアを使うことによって、今までとは違う表現の可能性が生まれると加藤は考えます。盛岡市郊外にあるサブスタジオに定期的に通うようになり、北東北の自然と風土が日常に近くなったことをきっかけに、そこで感じたものを描き切る、というこれまでにない試みもいたしました。
点描画への追求心を自身の日常の変化に上手く乗せて、より自身の想いに素直に、ポジティブに作品制作を進める加藤の作品からは、鑑賞者が心穏やかになるようなエネルギーを感じるように見受けられます。これを機に加藤富也の新作群を是非ご高覧ください。
作家・出演者 | 加藤富也 |
会場 | s+arts (スプラスアーツ) |
住所 | 106-0032 東京都港区六本木7-6-5 六本木栄ビル 3F |
アクセス | 六本木駅(東京メトロ日比谷線)2番口 徒歩8分 六本木駅(都営大江戸線)7番口 徒歩9分 乃木坂駅(東京メトロ千代田線, 小田急小田原線)6番口 徒歩9分 |
会期 | 2024/07/26(金) - 08/10(土) |
時間 | 12:00-19:00(最終日17:00まで) |
休み | 日曜日、月曜日、火曜日 |
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