トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、さまざまな分野で活動するアーティストたちへ活動の機会を提供しています。
私たちは、自然災害や環境破壊といった地球規模の問題から、経済格差、人種や文化、思想等の相違によって生まれる非対称な権力構造による社会的問題、またこのような複雑な状況が個人の生活や精神面に及ぼす影響など、急速な変動の中で日々さまざまな課題に直面しています。この不確実な日常を生きるには、その起因を問い直すとともに、物事を転換させるための主体的な活力や知性、そして既存の枠組みや価値観に捉われない、新たな方法論を編み出す想像力/創造力を共有することが、ひとつの糸口となりうるのではないでしょうか。
今回紹介する11名のアーティスト(第2期:5名)は、世界各国の都市でのレジデンス滞在をとおして、その鋭敏な感覚と多種多様なまなざしで、自身を取り巻く生態系を観察し、そこに潜むさまざまな生命の活動や創造的実践の息吹に耳を澄ませました。彼らの作品は、目の届かない場所で息づく小さなエネルギーの交換を掬い上げ、そこから形成される有機的な営みを手がかりとして、この多層的な世界の未来に向けた、共生の新たな様態を模索します。
本展の第2期では、日本から海外の提携機関に派遣された作家5名が、それぞれのレジデンスでの滞在制作の成果を発表します。
大野由美子|ONO Yumiko
二国間交流事業プログラム<エディンバラ>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:エディンバラ・スカルプチャー・ワークショップ
陶芸、紙など非建築的な素材を用いて架空の建築物をつくり、近年サイズ可変の作品の可能性を模索する大野は、滞在先のエディンバラでブルータリズム建築の調査をし、同一素材を用いて、レイアウトや構造の形状を変化させる実験を行いました。本展では、その発展形として新たにアメリカのブルータリズム建築を参考に制作した構造物を展開し、その構造体を展示室という建築物に接続させることを試みます。
谷崎桃子|TANIZAKI Momoko
二国間交流事業プログラム<ケベック>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:センター・クラーク
近年、不眠や精神的な不調の病理や共存について関心をもつ谷崎は、医療やメンタルヘルス・リテラシーの面で日本との差があるカナダで、精神的不調を抱える人のコミュニティを訪れ、不調との共存方法について考察しました。本展では、そのような一見ネガティブな事象や非効率的な時間を肯定的に捉えながら、カナダ滞在中に経験した不便な状況や、その時の感情をもとに制作した絵画を中心としたインスタレーションを立ち上げます。
辻󠄀梨絵子|TSUJI Rieko
二国間交流事業プログラム<バーゼル>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:アトリエ・モンディアル
他者とのコミュニケーションや、公と私の境界について、横断的な表現手法を用いて活動している辻󠄀は、スイスのキリスト教文化圏に存在する「ゴッドペアレント」制度や、「ルームシェア」や「名付け」を通じた人々のコミュニティの築き方についてリサーチを行いました。本展では、思考・対話の場としてのインスタレーションをとおして、血のつながりのない家族関係や、友人同士の特別な結びつきについて問いかけます。
仲本拡史|NAKAMOTO Hirofumi
二国間交流事業プログラム<台北>
滞在期間:2023.10–12
滞在場所:トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ
土地へのリサーチにもとづいて映画・映像の制作を行い、撮影者と世界が相互に影響し合う、カメラを中心としたネットワークを構築してきた仲本は、台湾の動植物の生態や、民話、歴史、またビデオ・アートなど現代美術の動向をリサーチしました。本展では、滞在先のトレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジに生息するカタツムリをとおして、自身が幼少期を過ごしたミャンマーでの思い出と、台湾のカタツムリの歴史を繋ぐ映像作品を発表します。
西 毅徳|NISHI Takatoku
二国間交流事業プログラム<ヘルシンキ>
滞在期間:2023.8–11
滞在場所:HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]
常に移り変わる自然の生み出す光景に惹かれ、そこに秘められた光学現象を、素材と構造によって再構築することで、新たな光の空間を創造する西は、フィンランドで自然光を巧みに取り入れて設計された特徴的な建築と、その自然環境との関係を調査しました。本展では、フィンランドの日常的な風景に存在する白樺に着目し、その葉がみせる多様な表情をインスタレーションによって表現します。
私たちは、自然災害や環境破壊といった地球規模の問題から、経済格差、人種や文化、思想等の相違によって生まれる非対称な権力構造による社会的問題、またこのような複雑な状況が個人の生活や精神面に及ぼす影響など、急速な変動の中で日々さまざまな課題に直面しています。この不確実な日常を生きるには、その起因を問い直すとともに、物事を転換させるための主体的な活力や知性、そして既存の枠組みや価値観に捉われない、新たな方法論を編み出す想像力/創造力を共有することが、ひとつの糸口となりうるのではないでしょうか。
今回紹介する11名のアーティスト(第2期:5名)は、世界各国の都市でのレジデンス滞在をとおして、その鋭敏な感覚と多種多様なまなざしで、自身を取り巻く生態系を観察し、そこに潜むさまざまな生命の活動や創造的実践の息吹に耳を澄ませました。彼らの作品は、目の届かない場所で息づく小さなエネルギーの交換を掬い上げ、そこから形成される有機的な営みを手がかりとして、この多層的な世界の未来に向けた、共生の新たな様態を模索します。
本展の第2期では、日本から海外の提携機関に派遣された作家5名が、それぞれのレジデンスでの滞在制作の成果を発表します。
大野由美子|ONO Yumiko
二国間交流事業プログラム<エディンバラ>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:エディンバラ・スカルプチャー・ワークショップ
陶芸、紙など非建築的な素材を用いて架空の建築物をつくり、近年サイズ可変の作品の可能性を模索する大野は、滞在先のエディンバラでブルータリズム建築の調査をし、同一素材を用いて、レイアウトや構造の形状を変化させる実験を行いました。本展では、その発展形として新たにアメリカのブルータリズム建築を参考に制作した構造物を展開し、その構造体を展示室という建築物に接続させることを試みます。
谷崎桃子|TANIZAKI Momoko
二国間交流事業プログラム<ケベック>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:センター・クラーク
近年、不眠や精神的な不調の病理や共存について関心をもつ谷崎は、医療やメンタルヘルス・リテラシーの面で日本との差があるカナダで、精神的不調を抱える人のコミュニティを訪れ、不調との共存方法について考察しました。本展では、そのような一見ネガティブな事象や非効率的な時間を肯定的に捉えながら、カナダ滞在中に経験した不便な状況や、その時の感情をもとに制作した絵画を中心としたインスタレーションを立ち上げます。
辻󠄀梨絵子|TSUJI Rieko
二国間交流事業プログラム<バーゼル>
滞在期間:2023.4–6
滞在場所:アトリエ・モンディアル
他者とのコミュニケーションや、公と私の境界について、横断的な表現手法を用いて活動している辻󠄀は、スイスのキリスト教文化圏に存在する「ゴッドペアレント」制度や、「ルームシェア」や「名付け」を通じた人々のコミュニティの築き方についてリサーチを行いました。本展では、思考・対話の場としてのインスタレーションをとおして、血のつながりのない家族関係や、友人同士の特別な結びつきについて問いかけます。
仲本拡史|NAKAMOTO Hirofumi
二国間交流事業プログラム<台北>
滞在期間:2023.10–12
滞在場所:トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ
土地へのリサーチにもとづいて映画・映像の制作を行い、撮影者と世界が相互に影響し合う、カメラを中心としたネットワークを構築してきた仲本は、台湾の動植物の生態や、民話、歴史、またビデオ・アートなど現代美術の動向をリサーチしました。本展では、滞在先のトレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジに生息するカタツムリをとおして、自身が幼少期を過ごしたミャンマーでの思い出と、台湾のカタツムリの歴史を繋ぐ映像作品を発表します。
西 毅徳|NISHI Takatoku
二国間交流事業プログラム<ヘルシンキ>
滞在期間:2023.8–11
滞在場所:HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]
常に移り変わる自然の生み出す光景に惹かれ、そこに秘められた光学現象を、素材と構造によって再構築することで、新たな光の空間を創造する西は、フィンランドで自然光を巧みに取り入れて設計された特徴的な建築と、その自然環境との関係を調査しました。本展では、フィンランドの日常的な風景に存在する白樺に着目し、その葉がみせる多様な表情をインスタレーションによって表現します。
作家・出演者 | 大野由美子, 谷崎桃子, 辻󠄀梨絵子, 仲本拡史, 西毅徳 |
会場 | トーキョーアーツアンドスペース 本郷 (Tokyo Arts and Space Hongo) |
住所 | 113-0033 東京都文京区本郷2-4-16 |
アクセス | 御茶ノ水駅(JR中央線・総武線)御茶ノ水橋口 御茶ノ水駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 水道橋駅(都営地下鉄三田線)A1出口 水道橋駅(JR総武線)東口 本郷三丁目駅(都営地下鉄大江戸線)3番出口 本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 各駅より徒歩7分 |
会期 | 2024/08/17(土) - 09/22(日) |
時間 | 11:00-19:00(入場は閉館30分前まで) |
休み | 月曜日、9/17(火) ※ただし、9/16(月)は開館 |
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