16歳の時に天津の高校に転校した。その当時は2週間に1回の頻度で実家に帰り、服を洗濯し、食べ物を調達していた。18歳の時に気候も食事も言葉も全く異なる重慶の西南大学に入学した。実家に帰るのは半年に1度になり、久しぶりに合う家族とお酒を飲んで、食卓を囲むのが楽しみになった。22歳の時に留学の為に日本にやって来た。実家に帰るのは1年に2週間ほどになってしまった。その後、コロナ禍の影響で帰省が叶わず、2023年に4年ぶりに実家に戻った。新しい市街地に立った時、その様子は著しく変化していて、私には全く道筋がわからなかった。
2008年から、故郷の様子が徐々に変わり始めた。高層住宅が多く建てられ、郊外の荒れ地には新しい工業地帯が作られた。しかし、私の故郷に対する印象は、主道路が3本しかなく、5階建ての団地が立ち並ぶ小さな町のままだ。私は故郷の変化のスピードに全くついていけていない。
期待に満ち溢れ、楽しい気持ちで故郷に戻ったとき、私はただ写真をたくさん撮りたかった。カメラを握って故郷の街を歩くと、ファインダー越しに見た風景は、全く知らない風景というか、ほかの中国北方の小さな町と変わらない風景というか、どこにも帰属感の持てない風景だった。故郷は変わってしまったが、幸いなことにそこに暮らす人々は変わっていない。人と人とのつながりだけが、私とこの街とのつながりとなった。そこで小さな町の風景を撮るのではなく、人を撮ってみようと思った。なぜかというと、私のよく知る身近な人たちだから。
宛超凡
1991年中国河北省固安県生まれ、2013年西南大学卒業、2017年明治大学政治経済学研究科修士課程修了、2021年東京藝術大学美術研究科博士課程修了。TOTEM POLE PHOTO GALLERYメンバー。STAIRS PRESS共同創設者。Place M「夜の写真学校」26期生。写真集に『水辺にて』(2016)、『河はすべて知っている——荒川』(2022)がある。また、第44回写真新世紀・優秀賞(2021)や第24回三木淳賞(2023)、さがみはら写真新人奨励賞(2023)などを受賞。宛超凡は「人と風景」というテーマで写真作品を作っている。
2008年から、故郷の様子が徐々に変わり始めた。高層住宅が多く建てられ、郊外の荒れ地には新しい工業地帯が作られた。しかし、私の故郷に対する印象は、主道路が3本しかなく、5階建ての団地が立ち並ぶ小さな町のままだ。私は故郷の変化のスピードに全くついていけていない。
期待に満ち溢れ、楽しい気持ちで故郷に戻ったとき、私はただ写真をたくさん撮りたかった。カメラを握って故郷の街を歩くと、ファインダー越しに見た風景は、全く知らない風景というか、ほかの中国北方の小さな町と変わらない風景というか、どこにも帰属感の持てない風景だった。故郷は変わってしまったが、幸いなことにそこに暮らす人々は変わっていない。人と人とのつながりだけが、私とこの街とのつながりとなった。そこで小さな町の風景を撮るのではなく、人を撮ってみようと思った。なぜかというと、私のよく知る身近な人たちだから。
宛超凡
1991年中国河北省固安県生まれ、2013年西南大学卒業、2017年明治大学政治経済学研究科修士課程修了、2021年東京藝術大学美術研究科博士課程修了。TOTEM POLE PHOTO GALLERYメンバー。STAIRS PRESS共同創設者。Place M「夜の写真学校」26期生。写真集に『水辺にて』(2016)、『河はすべて知っている——荒川』(2022)がある。また、第44回写真新世紀・優秀賞(2021)や第24回三木淳賞(2023)、さがみはら写真新人奨励賞(2023)などを受賞。宛超凡は「人と風景」というテーマで写真作品を作っている。
作家・出演者 | 宛超凡 |
会場 | TOTEM POLE PHOTO GALLERY (トーテムポールフォトギャラリー) |
住所 | 160-0004 東京都新宿区四谷4-22 第二富士川ビル 1F |
アクセス | 新宿御苑前駅(東京メトロ丸ノ内線)2出口 徒歩7分 曙橋駅(都営新宿線)A1出口 徒歩7分 新宿駅(JR)中央東口 徒歩19分 |
会期 | 2024/03/05(火) - 17(日) |
時間 | 12:00–19:00 |
休み | 月曜日 |
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