故郷でもあるこの街を長い期間をわたって撮影していた。この街は油田があり、かつては石油産業とともに栄えていたが、今は産業シフトができず、若年層が漸次に転出し、ほのぼの荒涼とした気配が漂っている。一昔前、この街の建設は、国が国有資源を誇示し、国民の意気を奮い立たせる背景から出発した。大きな物語りが崩れ始め、その空白は何で補填するか。彷徨う街の住人たちがその探しあぐねた姿を見せた。今と昔、古里と他郷の間には空白があり、この空白が写真の解像度を上げ、自分と故郷であるあの場所との連結を超えた自然感情が写っている。
今回は、この街で青年時代を費やした方の回想録を展示する。回憶の語り口は時代の鼓舞を想起させながら、今日の不安な気分を正確に対応している。ワンパタンのイデオロギが解け離されて、粉々にわれて自己の意識に溶け込ませようとして、知覚と感受の土台となっていた。崇高さの遺失に目の当たりにした衰退過程を重ね合わせて、信念のイリュージョンへの亀裂を生じさせた。現在の荒廃がそうした理想全てを押し流してしまい、あの時代の鮮烈な生を複雑に屈折させた。過去を参照して現在と行き来し、いつの間に失っていた感受性を奪還して、再び自己の実在と対峙する。
写真は2012~2013年に撮影。
今回は、この街で青年時代を費やした方の回想録を展示する。回憶の語り口は時代の鼓舞を想起させながら、今日の不安な気分を正確に対応している。ワンパタンのイデオロギが解け離されて、粉々にわれて自己の意識に溶け込ませようとして、知覚と感受の土台となっていた。崇高さの遺失に目の当たりにした衰退過程を重ね合わせて、信念のイリュージョンへの亀裂を生じさせた。現在の荒廃がそうした理想全てを押し流してしまい、あの時代の鮮烈な生を複雑に屈折させた。過去を参照して現在と行き来し、いつの間に失っていた感受性を奪還して、再び自己の実在と対峙する。
写真は2012~2013年に撮影。
作家・出演者 | 田凱 |
会場 | TOTEM POLE PHOTO GALLERY (トーテムポールフォトギャラリー) |
住所 | 160-0004 東京都新宿区四谷4-22 第二富士川ビル 1F |
アクセス | 新宿御苑前駅(東京メトロ丸ノ内線)2出口 徒歩7分 曙橋駅(都営新宿線)A1出口 徒歩7分 新宿駅(JR)中央東口 徒歩19分 |
会期 | 2023/09/05(火) - 17(日) |
時間 | 12:00–19:00 |
休み | 月曜日 |
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