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超・不定期訪問/滞在制作 project《Nami Ita に、いた?いる!》Vol.06 仁禮洋志『もうれんやっさ』

オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』

2023/02/10(金) - 03/27(月)

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"私は千葉県銚子市へ、10年前映画のカメラマンとして訪れたことをきっかけに、仕事や滞在制作などの目的で度々通っている。一昨年、銚子に住んでいる友人のアトリエでひっそり展覧会を開いた。その時、来場した人からガリ版刷りの本を借りて読ませてもらった。
それは、昭和53年に郷土史学習用の資料として手づくりされた民話集だった。銚子の沖は親潮と黒潮と利根川の流入が交錯し、その影響で漁獲高に恵まれている。一方で見えない岩礁も存在し、かつては事故がとても多かった場所である。民話集にはこうした海の恵みと恐ろしさにまつわる多くの話が収録されていた。本展示は、そんな銚子の民話集から着想を得たインスタレーション作品を主軸に構成する。
「もうれんやっさ」は、盆の時期に現れたとされる妖怪の名前を冠した民話である。この妖怪は、靄の中、温かい灯りで漁船をおびき寄せ、柄杓を奪い海水をかけて沈めたと伝えられている。また、「五人灯」 という民話では、 沖で座礁した客船から金品や遭難者が漁村に流れ着いた話が語られている。漁村近くにある岬「長崎ノ鼻」には今も変わらず船の部品や漁具、流木などの多くの 漂流物 が打ち上がる。高波にさらわれる物もあるが、長い間ずっと取り残されている物もある。
私は漂着物たちを拾い集め、それらを素材に、「骨休め」の場所としてのベンチをこしらえる。そして、同じように集めた流木を薪として焚べてみる。
こうして作られた場所から、煙はどこまで漂っていくのだろう。
(作家:仁禮洋志)

6回目を迎える超・不定期訪問/滞在制作project《Nami Ita に、いた?いる!》は、これまで企画の決まった作家が会期の前から終わりまで不定期にトリゴヤ/ナミイタを訪れ、小屋の内外に自らの作品を持ち込み、或いは新たに公開制作、インストールし、都市と自然の境目という特異な周辺環境を活かした複合的な展示/インスタレーションを発表してきました。
『もうれんやっさ』と題した今回の企画展示/公開制作を行う仁禮洋志は、東京造形大学を卒業後、寿命や骨格など自他の身体に関わるさまざまな制限に着目し、世界を、身体(輪郭)→空間(輪郭の輪郭)→さらに外側の空間(輪郭の輪郭の輪郭)と重なる入れ子状に捉え、社会はそのせめぎ合いや摩擦で成立しているという感覚を表象した絵画や写真の作品を発表してきました。
市川浩『身の構造』に影響された上記の認識は、近年、作家の私生活に生じた【生活が脅かされたり、萎縮させられたりする出来事】の続発もあり、安心して暮らせる「居心地の良い場所」という、より具体的なテーマに変化したといいます。撮影の仕事をきっかけに生じた銚子市での縁は、それらをより強く作品化するさまざまな出来事や出会いを生じさせ、ナミイタでの制作、発表の構想につながりました。
『もうれんやっさ』は、かつて海難事故が多発した銚子の地域に伝わる船幽霊の名を冠した民話として知られ、本企画も銚子の海にまつわる複数の民話をモチーフにしますが、仁禮が物心つく前に亡くなった祖父も、生前は商船に勤務し一年の大半を海上で過ごした人物だったそうです。
作家は、銚子の海がそうした自身の肉親を介したルーツと、入れ子状になった身体や世界のフレームとをつなぐものだという感覚を基に制作の計画を組み立てました。海岸に流れ着き、行き場を失った漂着物=流木を拾い集め、ナミイタで観者と団らんするための場を形成する新たな造形物(ベンチ)や暖をとる焚火(の煙)、ドネーションの返礼品としてそれらを再度新たな「航路」「逗留先」に送り出すこと。それはコロナ禍もあり、停滞してしまった「ひとときの骨休め」から作家が新たな方向へ踏み出すことも意味します。
是非、真冬の丘陵地帯に出現する銚子の海という奇妙で不思議な空間を味わい=「骨休め」しに来て頂ければと存じます。
(運営、ディレクター:東間嶺)

【プレスリリースPDF】
https://drive.google.com/file/d/1RYEcg5FDEGq570n57N2PmITgPVmlnR2K/view?fbclid=IwAR30--QPRiyXT3lrRdHC01WV39pubWi3zxLzhzU-nkeFtWY0ffYIS-qtYNk

ーー 開催情報 ーー
■ 会期:2023年2月10日(金)→3月27日(月)
前期:2月10日→2月26日(日)
後期:3月17日→3月27日(月)
※ 金土日月オープン。火水木休み。
※一部展示の追加を含む前・後期開催となります。
■ 時間:12時30分→20時
■ 会場:オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』
東京都町田市三輪町2036(アトリエ・トリゴヤ裏手)
徒歩=小田急線鶴川駅より徒歩約15分。バス=鶴川駅前3番乗り場より「奈良北団地」or「三菱ケミカル前」行き。
それぞれ『三輪入口』下車。バスを降り、目の前の坂を下りたすぐ右手の広場に建つ赤い掘っ立て小屋の奥。
トタン屋根の上に被さる古木が目印。所在場所の地図は下部QRコードをご参照下さい。
■ 入場:ドネーション500円(他企画とも共通)
(インスタレーションに使用した焚き木、炭をナミイタ特製の版画&ポストカードとまとめた返礼パック付き)
* 新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用をお願い致します。
* 駐車スペースが極めて限られます。事前にご確認下さい。
■ 企画:東間嶺(TEL:090-1823-7330)
■ 協力:アトリエ・トリゴヤ、作庭工房
■ MAIL: [email protected]
URL: https://tinshacknamiita.org/
■ SNS: Twitter&FB→@Namiita2036 Instagram→@tinshacknamiita
ーー ーー

訪問/滞在作家| 仁禮洋志 HIROSHI NIREI
2016年東京造形大学絵画専攻卒業。骨格や寿命といった身体に課せられている制限を起点に、居住や社会といった枠組みを入れ子状に捉え、最適な「形」について考えて作品を制作している。また自身の作品制作にとどまらず、撮影監督として映画制作に携わっている。
主な個展
2022: 「ティーブレイク」 カフェガレスピー(東京)
2021: 「伸縮する輪郭」 ロクの家(千葉)
グループ展
2019: 「終わらない始まり」 akibatamabi21(東京)
2018: 「作品を『飾る』♯1」 相模スタジオ(神奈川)
2017: 「プラセボソワカ」 あざみ野市民ギャラリー(神奈川)
2016: 「Experimental field」 Chang yu contemporary Art Center(北京)
2015: 「Studio Exhibition 2015 summer」 大野智史スタジオ (山梨)
撮影監督 CINEMATOGRAPHY
『隠り沼』(2021、大木一史監督)、『紙の上のロバ』(2018、有馬尚史監督)
公募、アワード
TURNER AWARD 2013 大賞

出典

作家・出演者仁禮洋志
会場オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』おるたなてぃぶ ほったてごや なみいた
住所
195-0054
東京都町田市三輪町2036
アクセス鶴川駅(小田急小田原線)南口 徒歩15分
鶴川駅より路線バスあり。3番乗り場より「奈良北団地」または「三菱ケミカル前」行きに乗車し、「三輪入口」下車。
会期2023/02/10(金) - 03/27(月)
時間18:00-20:00
休み火・水・木、2/27-3/16
観覧料ドネーション500円(他企画とも共通)
(インスタレーションに使用した焚き木、炭をナミイタ特製の版画&ポストカードとまとめた返礼パック付き)
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