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トーキョーアーツアンドスペース レジデンス2023 成果発表展「誰かのシステムがめぐる時」

トーキョーアーツアンドスペース 本郷

2023/07/01(土) - 09/24(日)

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トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、さまざまな分野で活動するアーティストたちへ活動の機会を提供しています。

私たちの社会は、多様なシステムによって形成されています。生態系、あるいは政治、経済といったマクロの仕組みが、私たち個々の意識や言動、対人関係などのミクロな営みにどのように影響しているのか。そして、それらが、いかにしてマクロに還元されていくのか。

本展で紹介する11組のアーティストたちは、それぞれの視点から、複雑化していく社会構造と自身の関係性を探り、さまざまなシステムの存在や成り立ちを顕在化させることで、私たちに示唆を与えます。そして、大小無数の歯車が噛み合って、思わぬところにまで動きが伝わるように、彼らの作品は、一見無関係に見えるものたちで作用し合っているこの社会のシステムを浮かび上がらせます。


第1期:2023年7月1日 (土) - 8月6日 (日)

芦川瑞季 | ASHIKAWA Mizuki
国内クリエーター制作交流プログラム
滞在期間:2022.6–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
芦川は「祝祭の痕跡」というテーマのもと、オリンピック以降の風景を求めて、競技場跡地や選手村など東京湾周辺の埋立地を訪れ、都市の利用や所有のあり方、そこに広がる新たな生態系などを探究しました。隙間なく作り込まれた土地である一方、根本的な何かが欠けているような、圧倒的な不在を手掛かりに制作したリトグラフとドローイングを展示します。

タイラー・コバーン|Tyler COBURN
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
歴史と異なる道筋を想像して創作を行うコバーンは、16世紀に初めて日本に上陸したヨーロッパ人が当時どのように描写されたのか、そして歴史の文脈から、人の往来と疫病との関係に焦点を当ててリサーチをしました。胡粉で描いた壁面作品と織部南蛮人燭台を用い、史実とフィクションを織り交ぜたレクチャー・パフォーマンスを行います。

早崎真奈美|HAYASAKI Manami
二国間交流事業プログラム<バーゼル>
滞在期間:2022.4–6
滞在場所:アトリエ・モンディアル
三国国境の都市バーゼルで、早崎は生態系を介した国境について考察しました。本展では、西洋タンポポをスイスからドイツを経由し、フランスに植えるというプロジェクトを記録したビデオ作品や、その経路を記した国境のない地図の切絵、一連の活動を追体験できるボードゲームなどで構成したインスタレーションを発表します。

トレイシー・スネリング|Tracey SNELLING
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2022.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
特定の場所やそこでの人々の体験への関心から、ラブホテルとホストクラブをリサーチしました。ラブホテルでは、仮装をした協力者に愛や人間関係についてのインタビューを、ホストクラブでは、ホスト等へのインタビューや接客の様子を記録しました。本展では、そこで撮影した写真や映像、ラブホテルのミニチュア立体作品を発表し、ネオン街で生きる人々の経験を再現します。

渡邊拓也|WATANABE Takuya
二国間交流事業プログラム<ブリュッセル>
滞在期間:2022.7–12
滞在場所:ウィールズ
滞在先のブリュッセルで出会ったモロッコ系移民の青年とのやり取りを契機に、伝統的な価値観とグローバルな価値観との間に生きる彼が求める男らしさに着目しました。国境や文化圏をまたぎ、都市へ移動する人々が抱える複雑なアイデンティティの交差性を、各地から都市に集められる果物の存在に重ねて制作した一連の映像インスタレーションを発表します。

Zakkubalan(アルバート・トーレン&空 音央)| Zakkubalan (Albert THOLEN & SORA Neo)
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2022.9–12
滞在場所:TOKASレジデンシー
1923年の関東大震災から100年を迎える現在、鯰絵と防災訓練から着想を得たZakkubalanは、地震のイメージと対峙し制作を進めました。本展では、関東大震災から経過した日数と同じ枚数の1円玉を用いて会期中も拡大する想像都市の彫刻や、避難所運営を模擬体験できるカードゲームで遊ぶ様子を記録した映像作品を展示します。


第2期:2023年8月19日 (土) - 9月24日 (日)

新井 卓|ARAI Takashi
二国間交流事業プログラム<ヘルシンキ>
滞在期間:2022.9–12
滞在場所:HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]
写真黎明期の技法であるダゲレオタイプ(銀板写真)を独自に習得した新井は、近年は核実験や原発事故など核をテーマに取り組んでいます。渡航先のフィンランドでは、原発周辺地域や高レベル放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」を研究対象とし、核廃棄物が無害化する十万年後の世界と現在を架橋する新しい言語を写真と映像で探索します。

ベルトラン・フラネ|Bertrand FLANET
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2022.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
主に3Dアニメーションを用いて、社会に潜在する疎外感をフィクションで映し出すフラネは、巣鴨プリズンと植物ハマユウの分布限界を示すハマオモト線について調査を実施しました。制限された状況や環境という類似点のもと、一見かけ離れた両者を抽象的に繋ぐインスタレーションを試みます。

ラービッツシスターズ(ベネディクト・ジャコブ&ロール=アンヌ・ジャコブ)|LarbitsSisters (Bénédicte Jacobs & Laure-Anne Jacobs)
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
ラービッツシスターズは、微生物の生態や草花などの宿主との共生関係など、さまざまな生物の関係を探究。東京での滞在期時には、住宅地を彩るストリート・ガーデン(都市緑地や路上庭)に焦点を当て、リサーチを行いました。本展では、光合成をテーマに、写真集やサウンドワーク、立体作品などでインスタレーションを構成します。

太田 遼|OHTA Haruka
二国間交流事業プログラム<台湾>
滞在期間:2022.10–12
滞在場所:トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ
建築物の内部と外部を反転または共存させるなど、境界の両義性を追究して作品を制作する太田は、台湾で多く見られる「鉄窓花」という窓の外側に設ける鉄柵に着目。本展では、室内の延長として使われているその窓の外の空間を介したインスタレーションによって、鑑賞者に屋内と屋外の隔たりや概念を問いかけます。

グシェゴシュ・ステファンスキ|Grzegorz STEFAŃSKI
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
人間関係における自身の行動パターンの観察と、心理療法による分析から制作をするステファンスキは、社会環境、および建築空間としての「家」に着目し、滞在時に日本の伝統的な家を舞台にパフォーマンスを撮影しました。本展では、人間関係におけるケアと暴力の力学、そして家という概念を探求する三部作の第一部を発表します。

出典

作家・出演者第1期:芦川瑞季, タイラー・コバーン, 早崎真奈美, トレイシー・スネリング, 渡邊拓也, Zakkubalan(アルバート・トーレン&空音央) 第2期:新井 卓, ベルトラン・フラネ, ラービッツシスターズ(ベネディクト・ジャコブ&ロール=アンヌ・ジャコブ), 太田遼, グシェゴシュ・ステファンスキ
会場トーキョーアーツアンドスペース 本郷とーきょー あーつ あんど すぺーす ほんごう (Tokyo Arts and Space Hongo)
住所
113-0033
東京都文京区本郷2-4-16
アクセス
御茶ノ水駅(JR中央線・総武線)御茶ノ水橋口
御茶ノ水駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口
水道橋駅(都営地下鉄三田線)A1出口
水道橋駅(JR総武線)東口
本郷三丁目駅(都営地下鉄大江戸線)3番出口
本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口
各駅より徒歩7分
会期2023/07/01(土) - 09/24(日)
時間11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)
休み月曜日(7/17、9/18は開館)、7/18、8/7-8/18、9/19
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