トーキョーアーツアンドスペースでは、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、さまざまな分野で活動するアーティストたちへ滞在制作の機会を提供しています。
本展では2期にわたって、東京や世界各国のレジデンスに滞在した総勢14名の国内外のアーティストたちがその成果を発表します。
第2期では2024年度に提携機関に派遣、あるいはTOKASへ招聘された作家たち7名が発表します。
AKONITO
二国間交流事業プログラム<ブリュッセル>
滞在期間:2024.1-4/9-12
滞在場所:ウィールズ
AKONITOは、時間や霊といった、広く共有された概念を分解、組み換え、再構成することで、人類のもつ深層の共通性を見出し、作品化を試みています。女性たちのみで集団生活を行っていた歴史的建物群「ベギンホフ」について調査を行い、伝統的なカトリックとも異なり彼女たち自身の信仰を大切していた「ベギン」たちの、創造的かつ匿名性の高い手仕事や、時に魔女として迫害を受けた歴史を辿りました。そこから見える現代のフェミニズム運動との共通点や、作家自身とのオーバーラップに光を当てます。
綾野文麿 | AYANO Fumimaro
二都市間交流事業プログラム<ブリュッセル>
滞在期間:2024.9–12
滞在場所:ウィールズ
綾野の作品は日常的なイメージや物体に焦点を当て、特定の言葉やフレーズの意味・語源を言葉遊び的に駆使しながら、文化的な習慣、伝統、信念の表現に疑問を投げかけています。滞在中には、ドイツ語で「紙皿」、英語では「物語るもの」を意味する《Teller》と名付けた作品/プロジェクトに取り組みました。ベルギーの国民食であるフリット(フライドポテト)の紙皿というイメージを通して、移民を含めた現地の人々の個人的・集団的な経験や記憶を、作者個人というフィルターを通して作り直し「翻訳された経験」を展開します。
金 サジ | KIM Sajik
二都市間交流事業プログラム<ソウル>
滞在期間:2024.9–11
滞在場所:SeMAナンジ・レジデンシー
家族から引き継いできたコリアン・ディアスポラとしての心の傷や、言語の壁を自覚しながら、金は作品表現を通じアイデンティティ・トラウマからの解放、人間の回復力の可能性を探究しています。韓国の日常生活に根強く浸透しているシャーマンや巫俗芸能の儀式を取材しながら、柔軟に他文化を吸収し根付く占いや儀礼が、どのように人々の心を解いているのかを調査しました。言葉がもつ所属を縛る呪術的な力や、舞踊がもつ言葉を介さないコミュニケーションに注目をしながら、傷を負った魂とその回復について考察します。
小宮知久 | KOMIYA Chiku
二都市間交流事業プログラム<ヘルシンキ>
滞在期間:2024.8–11
滞在場所:HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]
小宮は音楽のさまざまな規範を問い直しながら、現在のメディア環境と身体における新しい音楽形式を領域横断的に模索しています。日本語とフィンランド語には類似する単語(発音)や似ている文法構造が多い点に着眼し、両国の合成言語「Koe語」を作成しました。フィンランド民謡についての調査や現地アーティストとの協働を通じて、自動生成されるメロディとともに、この作成した言語による架空の民謡を取り扱ったメディアインスタレーション/パフォーマンスを発展させ、従来の作詞作曲の方法に縛られないプロジェクトを展開させます。
陳哲(チェン・ズ) | CHEN Zhe
海外クリエーター招聘プログラム (個別プロジェクト)
滞在期間:2025.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
チェン・ズは近年の作品制作にあたり、人類("the below")が、天上の存在("the above")と交流を図る際の様々な方法について探究しています。多くのスピリチュアルな方法の中でも、お香を焚くことは神聖な存在への捧げる行為というだけでなく、アロマセラピーや瞑想、宗教儀式の一環としても行われます。レジデンス滞在中には、仏教と神道における焚香の歴史的変遷や、非常に複雑な熟練の技について、また人体を模したパーツを奉納する伝統について考察しました。本展ではそうして得た知見を、彫刻的なインスタレーション作品として発表する予定です。
露木春那 | TSUYUKI Haruna
二国間交流事業プログラム<台北>
滞在期間:2024.10-12
滞在場所:トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ
漢字や文字が持つ歴史文化に深い関心をもつ露木は、自身の祖母の体験から着想し、沖縄から台湾への疎開というテーマで文献調査や聞き取りを行いました。残された資料から読み取れる歴史だけでなく、「今ここにいる人とつながることの重要性」を強く感じた結果、自身に深く刺さったエピソードや理解に苦しんだ経験を作品に込めています。本展では、露木の特徴である文字の収集・模写の反復といった技法を使い、疎開した人々やそれを受け入れた(あるいは受け入れ切れなかった)人々が残した文字を通じて、文字と人間の心が共鳴する空間を表現します。
クリストファー=ジョシュア・ベントン | Christopher Joshua BENTON
海外クリエーター招聘プログラム (個別プロジェクト)
滞在期間:2025.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
ベントンは11年間生活しているアラブ首長国連邦(UAE)での経験を出発点にしながら、アイデンティティや労働、故郷といったテーマに取り組んでいます。ストーリー性のある彼の作品は彫刻や映像として具現化され、いずれもコミュニティの協働と労働者階級の連帯への信念から導き出された緻密な実践により生み出されています。本展では、中東が拠点のアフリカ系アメリカ人という自身のアイデンティティに通じる、ペルシャ湾と日本とアフリカをつなぐ海洋真珠取引の歴史に関してのリサーチ結果を反映した作品制作を構想しています。
本展では2期にわたって、東京や世界各国のレジデンスに滞在した総勢14名の国内外のアーティストたちがその成果を発表します。
第2期では2024年度に提携機関に派遣、あるいはTOKASへ招聘された作家たち7名が発表します。
AKONITO
二国間交流事業プログラム<ブリュッセル>
滞在期間:2024.1-4/9-12
滞在場所:ウィールズ
AKONITOは、時間や霊といった、広く共有された概念を分解、組み換え、再構成することで、人類のもつ深層の共通性を見出し、作品化を試みています。女性たちのみで集団生活を行っていた歴史的建物群「ベギンホフ」について調査を行い、伝統的なカトリックとも異なり彼女たち自身の信仰を大切していた「ベギン」たちの、創造的かつ匿名性の高い手仕事や、時に魔女として迫害を受けた歴史を辿りました。そこから見える現代のフェミニズム運動との共通点や、作家自身とのオーバーラップに光を当てます。
綾野文麿 | AYANO Fumimaro
二都市間交流事業プログラム<ブリュッセル>
滞在期間:2024.9–12
滞在場所:ウィールズ
綾野の作品は日常的なイメージや物体に焦点を当て、特定の言葉やフレーズの意味・語源を言葉遊び的に駆使しながら、文化的な習慣、伝統、信念の表現に疑問を投げかけています。滞在中には、ドイツ語で「紙皿」、英語では「物語るもの」を意味する《Teller》と名付けた作品/プロジェクトに取り組みました。ベルギーの国民食であるフリット(フライドポテト)の紙皿というイメージを通して、移民を含めた現地の人々の個人的・集団的な経験や記憶を、作者個人というフィルターを通して作り直し「翻訳された経験」を展開します。
金 サジ | KIM Sajik
二都市間交流事業プログラム<ソウル>
滞在期間:2024.9–11
滞在場所:SeMAナンジ・レジデンシー
家族から引き継いできたコリアン・ディアスポラとしての心の傷や、言語の壁を自覚しながら、金は作品表現を通じアイデンティティ・トラウマからの解放、人間の回復力の可能性を探究しています。韓国の日常生活に根強く浸透しているシャーマンや巫俗芸能の儀式を取材しながら、柔軟に他文化を吸収し根付く占いや儀礼が、どのように人々の心を解いているのかを調査しました。言葉がもつ所属を縛る呪術的な力や、舞踊がもつ言葉を介さないコミュニケーションに注目をしながら、傷を負った魂とその回復について考察します。
小宮知久 | KOMIYA Chiku
二都市間交流事業プログラム<ヘルシンキ>
滞在期間:2024.8–11
滞在場所:HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]
小宮は音楽のさまざまな規範を問い直しながら、現在のメディア環境と身体における新しい音楽形式を領域横断的に模索しています。日本語とフィンランド語には類似する単語(発音)や似ている文法構造が多い点に着眼し、両国の合成言語「Koe語」を作成しました。フィンランド民謡についての調査や現地アーティストとの協働を通じて、自動生成されるメロディとともに、この作成した言語による架空の民謡を取り扱ったメディアインスタレーション/パフォーマンスを発展させ、従来の作詞作曲の方法に縛られないプロジェクトを展開させます。
陳哲(チェン・ズ) | CHEN Zhe
海外クリエーター招聘プログラム (個別プロジェクト)
滞在期間:2025.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
チェン・ズは近年の作品制作にあたり、人類("the below")が、天上の存在("the above")と交流を図る際の様々な方法について探究しています。多くのスピリチュアルな方法の中でも、お香を焚くことは神聖な存在への捧げる行為というだけでなく、アロマセラピーや瞑想、宗教儀式の一環としても行われます。レジデンス滞在中には、仏教と神道における焚香の歴史的変遷や、非常に複雑な熟練の技について、また人体を模したパーツを奉納する伝統について考察しました。本展ではそうして得た知見を、彫刻的なインスタレーション作品として発表する予定です。
露木春那 | TSUYUKI Haruna
二国間交流事業プログラム<台北>
滞在期間:2024.10-12
滞在場所:トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ
漢字や文字が持つ歴史文化に深い関心をもつ露木は、自身の祖母の体験から着想し、沖縄から台湾への疎開というテーマで文献調査や聞き取りを行いました。残された資料から読み取れる歴史だけでなく、「今ここにいる人とつながることの重要性」を強く感じた結果、自身に深く刺さったエピソードや理解に苦しんだ経験を作品に込めています。本展では、露木の特徴である文字の収集・模写の反復といった技法を使い、疎開した人々やそれを受け入れた(あるいは受け入れ切れなかった)人々が残した文字を通じて、文字と人間の心が共鳴する空間を表現します。
クリストファー=ジョシュア・ベントン | Christopher Joshua BENTON
海外クリエーター招聘プログラム (個別プロジェクト)
滞在期間:2025.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
ベントンは11年間生活しているアラブ首長国連邦(UAE)での経験を出発点にしながら、アイデンティティや労働、故郷といったテーマに取り組んでいます。ストーリー性のある彼の作品は彫刻や映像として具現化され、いずれもコミュニティの協働と労働者階級の連帯への信念から導き出された緻密な実践により生み出されています。本展では、中東が拠点のアフリカ系アメリカ人という自身のアイデンティティに通じる、ペルシャ湾と日本とアフリカをつなぐ海洋真珠取引の歴史に関してのリサーチ結果を反映した作品制作を構想しています。
| 作家・出演者 | AKONITO, 綾野文麿, 金サジ, 小宮知久, 陳哲, 露木春那, クリストファー=ジョシュア・ベントン |
| 会場 | トーキョーアーツアンドスペース 本郷 (Tokyo Arts and Space Hongo) |
| 住所 | 113-0033 東京都文京区本郷2-4-16 |
| アクセス | 御茶ノ水駅(JR中央線・総武線)お茶の水橋口 御茶ノ水駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 水道橋駅(都営地下鉄三田線)A1出口 水道橋駅(JR総武線)東口 本郷三丁目駅(都営地下鉄大江戸線)3番出口 本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 各駅より徒歩7分 |
| 会期 | 2025/07/05(土) - 08/10(日) |
| 時間 | 11:00-19:00(入場は閉館30分前まで) |
| 休み | 月曜日、7月22日(火) ※ただし、7月21日(月)は開館 |
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