無人島プロダクションは、小泉明郎展「祭壇|Altar」を開催いたします。
小泉明郎は近年、催眠術と仮想現実をテーマに、人間の認知システムの機械的な性質を探求し、機械と人間が融合する新たなビジョンを創造してきました。
これまで映像表現を中心に作品を発表してきた小泉ですが、本展では、日用品や家具、機械部品と人体とをつなぎ合わせた彫刻群と、19世紀の催眠術に関する歴史的記録写真を基にした絵画や版画といった新作を発表いたします。
小泉は彫刻というメディアを通じて、「人間は歴史を通じて進歩や発展と引き換えに、身体がデータやパターンに変換され、物体化されてきたのではないか」という身体の本質である物質性を問う実験行い、次のステージへ進もうとしています。
この展示を通じて、物に還元されてしまった私たちの身体から、本来持っている生の経験の本質や豊かな人間性の空間をいかにして取り戻すことができるのかを考え、小泉の提示する未来への予感を、ぜひ感じ取っていただきたいと思います。
無人島プロダクションでの個展は5年ぶりの開催であり、来年以降の海外プロジェクトにつながる初公開の作品展示でもあります。
ぜひこの貴重な機会をお見逃しなく、ご高覧ください。
【アーティストステイトメント】
「祭壇」 Altar
無意識の発見により、意識の外にあるメカニズムが私たちの精神活動の根底にあることを人間は知りました。
催眠によって知覚が操作されている時、あたかも自分は自由意志を失った機械のような存在になってしまっている様に感じます。さらにDNAの構造が研究され、また脳のメカニズムの知見が深まれば深まるほど、私たちの身体の深部には規則性を持ったメカニカルな機構が埋め込まれていることを人間は知ります。
そして現在私たちは、AIによる言語生成技術の高まりによって、精神活動の根本にある言語自体も、実はただの膨大なデータの組み合わせだった事実を突きつけられています。
このように、自分のことを知れば知るほど、テクノロジーが発展すればするほど、私たち人間もただの機械なのではないか、ただのデータを組み合わせただけのパターンなのではないかという人間像が支配的になってきます。しかし、データ化され得るのは私たちの生の現実の一部でしかありません。データ化され得ない領域は、データ化され得ないがゆえに、テクノロジーが書き換えていく未来の人間像からどんどん締め出されてしまうのではないか。そんな不安感に襲われることがあります。
近代テクノロジーの源流にある古代ギリシヤの神プロメテウスは、人間に火(テクノロジー)を与えることによって磔にされ、永遠の拷問を受け続けます。人類の進歩の裏にあるこのヒロイックな自己犠牲に対して、人間は返礼しなければなりませんでした。歴史を通じて返礼として人間が供犠してきた物、それこそが私たちの身体自体なのかも知れません。
戦争は私たちの身体を暴力的に物や画像に還元し、洗脳やプロパガンダは私たちの身体を従順な機械にします。人種差別は他者の身体を無関心な物に変換し、AIは私たちの身体をデータやパターンに矮小化します。私たちは歴史を通して自らの生にとって大切な何かを、利便性や進歩の返礼として、神に捧げ続けてきたのでしょう。合理的な近代とはこの壮大な儀式の別名なのかも知れません。戦争もその供犠の一部なのかも知れません。抽象芸術こそ、この儀式を装飾する宗教芸術なのかも知れません。
これらの大きな力に対抗する挑戦は、商品や物や画像やパターンに還元されてはならない、私たちの生の本質を取り戻すことにあります。それらは明確な形をもたないがゆえに、進歩から排除される運命にあります。しかしアートとは、形なきものに形を与える営みです。
物に帰されてしまった身体の中で、いかに豊かなる生命の空間を取り戻すことができるのか、これが私の大きな挑戦だと考えています。
2024年10月
小泉明郎
小泉明郎は近年、催眠術と仮想現実をテーマに、人間の認知システムの機械的な性質を探求し、機械と人間が融合する新たなビジョンを創造してきました。
これまで映像表現を中心に作品を発表してきた小泉ですが、本展では、日用品や家具、機械部品と人体とをつなぎ合わせた彫刻群と、19世紀の催眠術に関する歴史的記録写真を基にした絵画や版画といった新作を発表いたします。
小泉は彫刻というメディアを通じて、「人間は歴史を通じて進歩や発展と引き換えに、身体がデータやパターンに変換され、物体化されてきたのではないか」という身体の本質である物質性を問う実験行い、次のステージへ進もうとしています。
この展示を通じて、物に還元されてしまった私たちの身体から、本来持っている生の経験の本質や豊かな人間性の空間をいかにして取り戻すことができるのかを考え、小泉の提示する未来への予感を、ぜひ感じ取っていただきたいと思います。
無人島プロダクションでの個展は5年ぶりの開催であり、来年以降の海外プロジェクトにつながる初公開の作品展示でもあります。
ぜひこの貴重な機会をお見逃しなく、ご高覧ください。
【アーティストステイトメント】
「祭壇」 Altar
無意識の発見により、意識の外にあるメカニズムが私たちの精神活動の根底にあることを人間は知りました。
催眠によって知覚が操作されている時、あたかも自分は自由意志を失った機械のような存在になってしまっている様に感じます。さらにDNAの構造が研究され、また脳のメカニズムの知見が深まれば深まるほど、私たちの身体の深部には規則性を持ったメカニカルな機構が埋め込まれていることを人間は知ります。
そして現在私たちは、AIによる言語生成技術の高まりによって、精神活動の根本にある言語自体も、実はただの膨大なデータの組み合わせだった事実を突きつけられています。
このように、自分のことを知れば知るほど、テクノロジーが発展すればするほど、私たち人間もただの機械なのではないか、ただのデータを組み合わせただけのパターンなのではないかという人間像が支配的になってきます。しかし、データ化され得るのは私たちの生の現実の一部でしかありません。データ化され得ない領域は、データ化され得ないがゆえに、テクノロジーが書き換えていく未来の人間像からどんどん締め出されてしまうのではないか。そんな不安感に襲われることがあります。
近代テクノロジーの源流にある古代ギリシヤの神プロメテウスは、人間に火(テクノロジー)を与えることによって磔にされ、永遠の拷問を受け続けます。人類の進歩の裏にあるこのヒロイックな自己犠牲に対して、人間は返礼しなければなりませんでした。歴史を通じて返礼として人間が供犠してきた物、それこそが私たちの身体自体なのかも知れません。
戦争は私たちの身体を暴力的に物や画像に還元し、洗脳やプロパガンダは私たちの身体を従順な機械にします。人種差別は他者の身体を無関心な物に変換し、AIは私たちの身体をデータやパターンに矮小化します。私たちは歴史を通して自らの生にとって大切な何かを、利便性や進歩の返礼として、神に捧げ続けてきたのでしょう。合理的な近代とはこの壮大な儀式の別名なのかも知れません。戦争もその供犠の一部なのかも知れません。抽象芸術こそ、この儀式を装飾する宗教芸術なのかも知れません。
これらの大きな力に対抗する挑戦は、商品や物や画像やパターンに還元されてはならない、私たちの生の本質を取り戻すことにあります。それらは明確な形をもたないがゆえに、進歩から排除される運命にあります。しかしアートとは、形なきものに形を与える営みです。
物に帰されてしまった身体の中で、いかに豊かなる生命の空間を取り戻すことができるのか、これが私の大きな挑戦だと考えています。
2024年10月
小泉明郎
作家・出演者 | 小泉明郎 |
会場 | 無人島プロダクション (MUJIN-TO Production) |
住所 | 130-0022 東京都墨田区江東橋5-10-5 |
アクセス | 菊川駅(都営新宿線)A3出口 徒歩6分 住吉駅(東京メトロ半蔵門線, 都営新宿線)B2出口 徒歩8分 錦糸町駅(JR総武線)南口 徒歩10分 錦糸町駅(東京メトロ半蔵門線)1番出口 徒歩10分 |
会期 | 2024/11/05(火) - 12/15(日) |
時間 | 水曜日-金曜日 13:00-19:00 土曜日・日曜日 12:00-18:00 ※Art Week Tokyo期間中 (11/5(火)-10(日))は開廊時間が10:00-18:00となりますのでご注意ください。 |
休み | 月曜日、火曜日 ※ただし、11/5(火)はオープン |
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