植物にも痛覚があるかもしれない。「悲鳴物質」と名付けられた揮発性のあるホルモンを放出するのだ。隣接個体がホルモンからシグナルを受容し応答することもある。
人間は、例えば魚類よりも哺乳類といった、足の数や体色、意思疎通の手段など近い種族に対してシンパシーを感じやすい。そのため、活け造りされてきた魚類の様に、植物も痛みを感じないと仮定し「発見」されるまで無いとされてきた。人間は歴史の中で常に他者を「発見」してきた。女性という存在やその痛みが客体化され無いとされていたがフェミニズムにより「発見」し直されたように、差別も他者も常に「発見」のし直しで認知が可能となるのではないだろうか。
「悲鳴物質」という名前で想起されるのは痛みだが、植物が必ずしも人間が知覚するような痛みを感じるとも限らない。なぜなら、彼らは足がないため、生殖をするには他者に依存しなければならず、場合によってはその過程で自身の身体の一部を消費させたりもする。そういった生態系の中で人間のような「痛覚」を持っていない可能性も大きい。
古来より人間は植物を様々な方法で「利用」してきた。薬、料理、お酒、果ては放射性物質除去に・・・今回のモチーフとなっているコショウやサンスベリア、ニガヨモギもその一つだ。それぞれ香辛料貿易による地球規模の取引が行われたり、生薬、アブサン、テキーラなどといった薬やアルコール飲料として利用されてきた。それらが、人間による植物の搾取と安易に断罪できるものではなく、他の生物の手を借りて繁殖する植物たちの、他の生物にとって魅力的に、利用しやすく進化するというサバイブ方法の結果かもしれない。
そういった人間と植物の関係性について、本展では鑑賞者との接触により発生する植物の「声」として知覚化する。ナラティブな語りを通して、日常に溶け込む他者である植物、鑑賞用に客体化された観葉植物、香辛料として大量生産される植物、お酒の原料として使用される植物・・・の知覚を切り口とし想像力を喚起し、人間中心主義を超えた認知や知覚を拡張し「発見」し直すことを試みる。
●プロフィール
小宮りさ麻吏奈
アーティスト / アーター
1992 年アトランタ出身
自身の身体を起点とし、クィア的視座から浮かび上がる新たな時間論への関心から「新しい生殖・繁殖の方法を模索する」ことをテーマにパフォーマンスや映像、 場所の運営などメディアにとらわれず活動している。
近年の主なプロジェクトに1年間花屋を経営する「小宮花店」、オルタナティブスペース「野方の空白」 の運営。共同プロジェクトに制度における同性婚不可と建築法の問題を重ね合わせ、再建築不可の土地に庭をつくるプロジェクト「繁殖する庭」の運営、映画制作を鈴木千尋とともに行う。また、クエスチョニングを続けるためのクィア・フェミニズムアートプラットフォーム「FAQ?」をアーティストの谷川果菜絵(MES)と共に運営。
近年の主な個展に「-ATCG」(TAV GALLERY)、繁殖する庭」(繁殖する庭プロジェクト名義, TOH, 東京)、グループ展に「REBORN ART FESTIVAL 2019」(宮城県)、「惑星つきのコミュウ」(TALION GALLERY, 東京)、「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」(新宿歌舞伎町能舞台)など。
ZAMA
ファッションのデザインに携わるかたわら、素材への関心から、環境負荷の少ない繊維を生み出すべくバイオ領域での研究を開始。
遺伝子組み換えにより、元々染料を使って人工染料をつかわないことで、環境負荷の低いカラードコットンの研究を行っている。
同時に、遺伝子組み換えによって人間や自然界との調和を図ることができるのか、といった技術自体への疑問やといかけも抱き、それを社会へ投げかける方法として、バイオアート作品の制作も行うなど、植物の人間の共生をコンセプトに領域横断的に制作を行っている。
人間は、例えば魚類よりも哺乳類といった、足の数や体色、意思疎通の手段など近い種族に対してシンパシーを感じやすい。そのため、活け造りされてきた魚類の様に、植物も痛みを感じないと仮定し「発見」されるまで無いとされてきた。人間は歴史の中で常に他者を「発見」してきた。女性という存在やその痛みが客体化され無いとされていたがフェミニズムにより「発見」し直されたように、差別も他者も常に「発見」のし直しで認知が可能となるのではないだろうか。
「悲鳴物質」という名前で想起されるのは痛みだが、植物が必ずしも人間が知覚するような痛みを感じるとも限らない。なぜなら、彼らは足がないため、生殖をするには他者に依存しなければならず、場合によってはその過程で自身の身体の一部を消費させたりもする。そういった生態系の中で人間のような「痛覚」を持っていない可能性も大きい。
古来より人間は植物を様々な方法で「利用」してきた。薬、料理、お酒、果ては放射性物質除去に・・・今回のモチーフとなっているコショウやサンスベリア、ニガヨモギもその一つだ。それぞれ香辛料貿易による地球規模の取引が行われたり、生薬、アブサン、テキーラなどといった薬やアルコール飲料として利用されてきた。それらが、人間による植物の搾取と安易に断罪できるものではなく、他の生物の手を借りて繁殖する植物たちの、他の生物にとって魅力的に、利用しやすく進化するというサバイブ方法の結果かもしれない。
そういった人間と植物の関係性について、本展では鑑賞者との接触により発生する植物の「声」として知覚化する。ナラティブな語りを通して、日常に溶け込む他者である植物、鑑賞用に客体化された観葉植物、香辛料として大量生産される植物、お酒の原料として使用される植物・・・の知覚を切り口とし想像力を喚起し、人間中心主義を超えた認知や知覚を拡張し「発見」し直すことを試みる。
●プロフィール
小宮りさ麻吏奈
アーティスト / アーター
1992 年アトランタ出身
自身の身体を起点とし、クィア的視座から浮かび上がる新たな時間論への関心から「新しい生殖・繁殖の方法を模索する」ことをテーマにパフォーマンスや映像、 場所の運営などメディアにとらわれず活動している。
近年の主なプロジェクトに1年間花屋を経営する「小宮花店」、オルタナティブスペース「野方の空白」 の運営。共同プロジェクトに制度における同性婚不可と建築法の問題を重ね合わせ、再建築不可の土地に庭をつくるプロジェクト「繁殖する庭」の運営、映画制作を鈴木千尋とともに行う。また、クエスチョニングを続けるためのクィア・フェミニズムアートプラットフォーム「FAQ?」をアーティストの谷川果菜絵(MES)と共に運営。
近年の主な個展に「-ATCG」(TAV GALLERY)、繁殖する庭」(繁殖する庭プロジェクト名義, TOH, 東京)、グループ展に「REBORN ART FESTIVAL 2019」(宮城県)、「惑星つきのコミュウ」(TALION GALLERY, 東京)、「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」(新宿歌舞伎町能舞台)など。
ZAMA
ファッションのデザインに携わるかたわら、素材への関心から、環境負荷の少ない繊維を生み出すべくバイオ領域での研究を開始。
遺伝子組み換えにより、元々染料を使って人工染料をつかわないことで、環境負荷の低いカラードコットンの研究を行っている。
同時に、遺伝子組み換えによって人間や自然界との調和を図ることができるのか、といった技術自体への疑問やといかけも抱き、それを社会へ投げかける方法として、バイオアート作品の制作も行うなど、植物の人間の共生をコンセプトに領域横断的に制作を行っている。
作家・出演者 | 小宮りさ麻吏奈+ZAMA |
会場 | デカメロン (Decameron) |
住所 | 160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-12-4 2F |
アクセス | 西武新宿駅(西武新宿線) 徒歩3分 新宿駅(JR) 徒歩5分 新宿3丁目駅(東京メトロ丸ノ内線, 副都心線, 都営新宿線) 徒歩6分 |
会期 | 2023/03/07(火) - 26(日) |
時間 | 3/7のみ18:00~ 3/8以降16:00~ |
観覧料 | ¥1,000-1drink付き(absinthe、tequila、ginの内1種類) |
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