吉村靖孝展 マンガアーキテクチャ――建築家の不在 Yasutaka Yoshimura:MANGARCHITECTURE――Absence of an Architect
TOTOギャラリー・間
2025/01/16(木) - 03/23(日)
TOTOギャラリー・間では、「吉村靖孝展 マンガアーキテクチャ――建築家の不在」を開催します。
吉村靖孝氏は建築活動の初期の頃より、建築が人びとのふるまいなどの自発的な動きと、社会制度や状況など多様な社会的条件との架け橋になれるよう、両者のさまざまな関係構築を試みてきました。
たとえば、既成のテント倉庫で木造建築を覆うことで、大きな一室空間の下で子どもがのびのびと過ごせる子育て支援施設を実現した「フクマスベース」(2016年)、建築を不動産と動産のあいだととらえ、土地に縛られずに住む場所の選択ができる生活を仮想した「半動産建築」の「ホームトゥーゴー#001」(2019年)、人間だけでなく動物もともに幸せな人生を送れるアニマル・ウェルフェア社会を構想した「滝ヶ原チキンビレジ」(2021年)など、これから日本が直面する人口減少社会における、新しい住まいや暮らしのあり方を模索しています。
吉村氏が探究するこれら現代社会における建築の拡張性をさらに進めるために、仮に建築家個人の作家性を「不在」にしたら何が起きるのか? 氏が自らの作品を題材に、本展覧会を通して問いかけます。
本展では、吉村氏の7つのプロジェクトを異なる漫画家が7つのストーリーとして描き下ろすことにより、建築の新たな解釈の可能性を探ります。二次元の絵画表現の中でも特に独自の発達を遂げ、私たちの日常生活にも馴染み深いものとなった漫画の世界。漫画が建築と出逢い、建築家の手を離れた先に描かれるものはなにか。建築と漫画のコラボレーションによって生まれるものを、発見していただければ幸いです。
TOTOギャラリー・間
展覧会コンセプト
マンガアーキテクチャ――建築家の不在
90年代の終わりに大学院を休学してMVRDV*1という設計事務所で働きはじめたとき、彼らがつくる模型がOMA*2の模型と似すぎていて驚いたのだが、のちにそれは同じ模型屋の仕事と知り、二度驚いた。模型をつくることが建築家の仕事ではなくなっていることにも、はたまた違う建築家同士が模型のテイストを共有しうることにも驚いたのである。
もはや模型は、建築家を表現するものとは言い切れなくなった。自らの手で図面を引く建築家も今では稀だろう。建築家の作家性というときの「作家性」とはいったい何なのだろうか?
そこでTOTOギャラリー・間での展覧会という、まさに作家の自己表現が問われる舞台で、あえて作家性を消してみることにした。今回注目したのは、模型でも図面でもなく「漫画」というメディアだ。僕が設計した7つのプロジェクトをとりあげ、7人の漫画家に依頼してそれぞれ建築から発想される世界を描いてもらった。
実は僕は2年前に脳出血を発症し、今も後遺症と格闘しているのだが、その病気が治癒する期間とTOTOギャラリー・間の展覧会をつくりあげる期間がぴったり重なってしまったことも、この展示案を後押ししたと言えるだろう。創意を尽くして描かれた漫画が建築家の想像を軽々と超えていくさまを、ぜひとも体験していただきたい。
吉村靖孝
*1 オランダのロッテルダムを拠点とする建築家集団。1991年に設立された。3名のボスが居るが、そのうち2名はOMA出身。
*2 オランダのレム・コールハースらによって1975年に設立された建築設計事務所。
出展者プロフィール
吉村靖孝(よしむら やすたか)
1972年愛知県豊田市生まれ。1995年早稲田大学理工学部建築学科を卒業、1997年同大学院修士課程修了。1999-2001年文化庁派遣芸術家在外研修員としてオランダのMVRDVに在籍。2005年吉村靖孝建築設計事務所を設立。2013-18年明治大学特任教授。現在、早稲田大学教授。
吉岡賞(2006年)、アジアデザイン賞(2009年)、グッドデザイン賞特別賞(2010年)、住宅建築賞金賞(2010年)、JCDデザインアワード大賞(2011年)、日本建築学会作品選奨(2011、2014、2018年)、AP賞(2014年)、WADA賞(2016年)、日本建築設計学会賞大賞(2018年)など受賞多数。
主な著作に『超合法建築図鑑』(2006年/彰国社)、『EX-CONTAINERS』(2008年/グラフィック社)、『ビヘイヴィアとプロトコル』(2012年/LIXIL出版)など。
吉村靖孝氏は建築活動の初期の頃より、建築が人びとのふるまいなどの自発的な動きと、社会制度や状況など多様な社会的条件との架け橋になれるよう、両者のさまざまな関係構築を試みてきました。
たとえば、既成のテント倉庫で木造建築を覆うことで、大きな一室空間の下で子どもがのびのびと過ごせる子育て支援施設を実現した「フクマスベース」(2016年)、建築を不動産と動産のあいだととらえ、土地に縛られずに住む場所の選択ができる生活を仮想した「半動産建築」の「ホームトゥーゴー#001」(2019年)、人間だけでなく動物もともに幸せな人生を送れるアニマル・ウェルフェア社会を構想した「滝ヶ原チキンビレジ」(2021年)など、これから日本が直面する人口減少社会における、新しい住まいや暮らしのあり方を模索しています。
吉村氏が探究するこれら現代社会における建築の拡張性をさらに進めるために、仮に建築家個人の作家性を「不在」にしたら何が起きるのか? 氏が自らの作品を題材に、本展覧会を通して問いかけます。
本展では、吉村氏の7つのプロジェクトを異なる漫画家が7つのストーリーとして描き下ろすことにより、建築の新たな解釈の可能性を探ります。二次元の絵画表現の中でも特に独自の発達を遂げ、私たちの日常生活にも馴染み深いものとなった漫画の世界。漫画が建築と出逢い、建築家の手を離れた先に描かれるものはなにか。建築と漫画のコラボレーションによって生まれるものを、発見していただければ幸いです。
TOTOギャラリー・間
展覧会コンセプト
マンガアーキテクチャ――建築家の不在
90年代の終わりに大学院を休学してMVRDV*1という設計事務所で働きはじめたとき、彼らがつくる模型がOMA*2の模型と似すぎていて驚いたのだが、のちにそれは同じ模型屋の仕事と知り、二度驚いた。模型をつくることが建築家の仕事ではなくなっていることにも、はたまた違う建築家同士が模型のテイストを共有しうることにも驚いたのである。
もはや模型は、建築家を表現するものとは言い切れなくなった。自らの手で図面を引く建築家も今では稀だろう。建築家の作家性というときの「作家性」とはいったい何なのだろうか?
そこでTOTOギャラリー・間での展覧会という、まさに作家の自己表現が問われる舞台で、あえて作家性を消してみることにした。今回注目したのは、模型でも図面でもなく「漫画」というメディアだ。僕が設計した7つのプロジェクトをとりあげ、7人の漫画家に依頼してそれぞれ建築から発想される世界を描いてもらった。
実は僕は2年前に脳出血を発症し、今も後遺症と格闘しているのだが、その病気が治癒する期間とTOTOギャラリー・間の展覧会をつくりあげる期間がぴったり重なってしまったことも、この展示案を後押ししたと言えるだろう。創意を尽くして描かれた漫画が建築家の想像を軽々と超えていくさまを、ぜひとも体験していただきたい。
吉村靖孝
*1 オランダのロッテルダムを拠点とする建築家集団。1991年に設立された。3名のボスが居るが、そのうち2名はOMA出身。
*2 オランダのレム・コールハースらによって1975年に設立された建築設計事務所。
出展者プロフィール
吉村靖孝(よしむら やすたか)
1972年愛知県豊田市生まれ。1995年早稲田大学理工学部建築学科を卒業、1997年同大学院修士課程修了。1999-2001年文化庁派遣芸術家在外研修員としてオランダのMVRDVに在籍。2005年吉村靖孝建築設計事務所を設立。2013-18年明治大学特任教授。現在、早稲田大学教授。
吉岡賞(2006年)、アジアデザイン賞(2009年)、グッドデザイン賞特別賞(2010年)、住宅建築賞金賞(2010年)、JCDデザインアワード大賞(2011年)、日本建築学会作品選奨(2011、2014、2018年)、AP賞(2014年)、WADA賞(2016年)、日本建築設計学会賞大賞(2018年)など受賞多数。
主な著作に『超合法建築図鑑』(2006年/彰国社)、『EX-CONTAINERS』(2008年/グラフィック社)、『ビヘイヴィアとプロトコル』(2012年/LIXIL出版)など。
作家・出演者 | 出展者=吉村靖孝, 参加漫画家=コルシカ, 川勝徳重, 徳永葵, 三池画丈, 宇曽川正和, メグマイルランド, 座二郎 |
会場 | TOTOギャラリー・間 (TOTO GALLERY·MA) |
住所 | 107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル 3F |
アクセス | 乃木坂駅(東京メトロ千代田線)3番出口 徒歩1分 六本木駅(都営大江戸線)8番出口 徒歩6分 六本木駅(東京メトロ日比谷線)4a番出口 徒歩7分 青山一丁目駅(東京メトロ銀座線半蔵門線, 都営大江戸線)4番出口 徒歩7分 |
会期 | 2025/01/16(木) - 03/23(日) |
時間 | 11:00-18:00 |
休み | 月曜日、2/11(火・祝)、3/20(木・祝) |
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