「描きたいと思ったときには出来てるの」。岡本敏子がよくそう言っていました。
エスキースを積み重ね、階段をのぼっていくように構想を固めていく一般的な作画プロセスとはまったく逆で、描きたいという衝動が湧きあがった段階で、岡本太郎の頭のなかにはほぼ完成形が立ちあがっているというのです。
逆にいえば、なんとなく描きたい、なんでもいいから描きたい、ということがない。じっさい太郎はこう記しています。
「“こういうもの”を表現したい、という最初の衝動がある。描きたいという衝動じゃない。“こういうもの”を、である」「何べんも何べんも自分に問うてみる。“そういうもの”を確かめる」。
だから太郎は、何度も描きました。描きながら検討しているわけではなく、頭のなかにある完成形に手が追いつくまで、繰り返し描き、“再現精度”を高めていったのです。はたから見るとなにが違うのかわからない、同じような絵が何枚もあるのはそのためです。そこにはきっと、ぼくたちにはわからない微妙な違いがあるのでしょう。
アトリエの棚にはそんな絵がたくさん残されています。完成した作品ではないし、そもそも作品と呼んでいいのかどうかもわからないけれど、太郎の創作過程を証言する貴重な資料であることはたしかです。
本展では、そうした“衝動の爪あと”をとおして、岡本太郎の創造のプロセスを追体験していきます。
岡本太郎記念館館長 平野暁臣
エスキースを積み重ね、階段をのぼっていくように構想を固めていく一般的な作画プロセスとはまったく逆で、描きたいという衝動が湧きあがった段階で、岡本太郎の頭のなかにはほぼ完成形が立ちあがっているというのです。
逆にいえば、なんとなく描きたい、なんでもいいから描きたい、ということがない。じっさい太郎はこう記しています。
「“こういうもの”を表現したい、という最初の衝動がある。描きたいという衝動じゃない。“こういうもの”を、である」「何べんも何べんも自分に問うてみる。“そういうもの”を確かめる」。
だから太郎は、何度も描きました。描きながら検討しているわけではなく、頭のなかにある完成形に手が追いつくまで、繰り返し描き、“再現精度”を高めていったのです。はたから見るとなにが違うのかわからない、同じような絵が何枚もあるのはそのためです。そこにはきっと、ぼくたちにはわからない微妙な違いがあるのでしょう。
アトリエの棚にはそんな絵がたくさん残されています。完成した作品ではないし、そもそも作品と呼んでいいのかどうかもわからないけれど、太郎の創作過程を証言する貴重な資料であることはたしかです。
本展では、そうした“衝動の爪あと”をとおして、岡本太郎の創造のプロセスを追体験していきます。
岡本太郎記念館館長 平野暁臣
作家・出演者 | 岡本太郎 |
会場 | 岡本太郎記念館 (The Taro Okamoto Memorial Museum) |
住所 | 107-0062 東京都港区南青山6-1-19 |
アクセス | 表参道駅(東京メトロ銀座線, 千代田線, 半蔵門線) 徒歩8分 |
会期 | 2023/03/24(金) - 07/09(日) |
時間 | 10:00-18:00 ※最終入館は17:30 |
休み | 火曜日 |
観覧料 | 一般 ¥650 小学生 ¥300 |
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