トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、さまざまな分野で活動するアーティストたちへ活動の機会を提供しています。
私たちは、自然災害や環境破壊といった地球規模の問題から、経済格差、人種や文化、思想等の相違によって生まれる非対称な権力構造による社会的問題、またこのような複雑な状況が個人の生活や精神面に及ぼす影響など、急速な変動の中で日々さまざまな課題に直面しています。この不確実な日常を生きるには、その起因を問い直すとともに、物事を転換させるための主体的な活力や知性、そして既存の枠組みや価値観に捉われない、新たな方法論を編み出す想像力/創造力を共有することが、ひとつの糸口となりうるのではないでしょうか。
今回紹介する11名のアーティスト(第1期:6名)は、世界各国の都市でのレジデンス滞在をとおして、その鋭敏な感覚と多種多様なまなざしで、自身を取り巻く生態系を観察し、そこに潜むさまざまな生命の活動や創造的実践の息吹に耳を澄ませました。彼らの作品は、目の届かない場所で息づく小さなエネルギーの交換を掬い上げ、そこから形成される有機的な営みを手がかりとして、この多層的な世界の未来に向けた、共生の新たな様態を模索します。
本展の第1期では、TOKASレジデンシーに滞在した4名のアーティストがテーマ・プロジェクトとして「都市を取り巻くエコロジー」を主題に、対話や議論を重ねながら制作活動に取り組んだ成果を発表するほか、海外からの招聘作家2名の作品を展示します。
テーマ・プロジェクト「都市を取り巻くエコロジー」
TOKASレジデンシーに滞在したさまざまなバックグラウンドをもつ4名のアーティストが、「都市を取り巻くエコロジー」を共通のテーマとして、議論や意見交換をしながら制作を行いました。 多様なアイデンティティが交差する都市・東京において、自然と社会と人との関係性や、経済とエコロジーの均衡や課題等を多面的に考察し、その成果を発表します。
エド・カー | Edd CARR
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
環境に配慮した持続可能な写真プロセスを映像制作に応用し、生態系の危機と人間以外の世界との関係を描き出すカーは、キツネにまつわる神話に焦点を当て、現代の日本におけるアニミズムについてリサーチを行いました。本展では、東京の路上で見つけたヨモギなどの採集素材を用いた映像や、写真、彫刻作品をとおして、21世紀における架空のキツネ崇拝の物語を創出します。
前田耕平|MAEDA Kohei
国内クリエーター制作交流プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
「自然と人の関係や距離」をテーマに活動する前田は、TOKASレジデンシー周辺の人工運河を起点に手漕ぎ舟で川の中に入り、千葉の江戸川河口から、荒川、隅田川、神田川を経て、井の頭公園までの約50kmを遡上し、リサーチを行いました。本展では、その行為の過程と考察によってたどった都市河川の環境や歴史的背景を語る映像作品を軸とした装置を展開し、自身の「東京遡上体験」を再現することを試みます。
松本美枝子|MATSUMOTO Mieko
国内クリエーター制作交流プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
地質や地形などの自然環境を、社会の基盤のひとつとして捉え、風景がもつ政治性、社会性に関心をもつ松本は、都市の河川と地形をリサーチし、水資源と治水、歴史的な災害や戦争の側面から、都市のありようを考察しました。本展では、写真作品や映像によるインスタレーションをとおして、近現代における地形や河川の社会的な力や、地形のなかで翻弄されてきた民衆の歴史をひとつの生態系として可視化します。
助成:公益財団法人 野村財団
エドウィン・ロウ|Edwin LO
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
ロウは、地域固有の「技術(テクノロジー)」が、生態系を考える上で果たす役割の重要性を考察し、江戸中期〜後期に日本・中国・西洋の異文化の交錯によって発展した、日本の軍事面や医学面などにおける技術思想の継承と個別化について探索しました。本展では、思索的で実験的なビデオ・エッセイによって、技術の来歴と、歴史における技術思想の役割の再構築を試みます。
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ネストール・シレ|Nestor SIRÉ
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2024.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
革新的な地域的実践と創造性の多様な社会的表象を掘り下げる継続的なリサーチ・プロジェクト「CubaCreativa」を行うシレは、日本における社会的創造性や革新的な実践に関する2つの概念「珍道具」と「裏技」を探究しました。本展では、Tokyo Hacker Space と協働制作した、NFTを使用したパソコンの3Dプロトタイプや、ラテンアメリカのゲーム・コミュニティーから着想を得て開発したタイヤ型のパソコンのモジュラー版などを展開します。
キム・ウジン|KIM Woojin
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2024.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
社会的な枠組みを作り出す装置としての言語に取り組み、消滅しつつある言語に関する個人の記憶を収集するキムは、二度の世界大戦を経て、とりわけ多くの言語が失われたアジアに関心を寄せ、日本における少数言語や日本語政策の変遷について調査を行いました。本展では、日本の危機言語であるアイヌ語とうちなーぐち(沖縄語)に関するインタビューをもとに、演劇の構造を用いた映像作品を発表します。
私たちは、自然災害や環境破壊といった地球規模の問題から、経済格差、人種や文化、思想等の相違によって生まれる非対称な権力構造による社会的問題、またこのような複雑な状況が個人の生活や精神面に及ぼす影響など、急速な変動の中で日々さまざまな課題に直面しています。この不確実な日常を生きるには、その起因を問い直すとともに、物事を転換させるための主体的な活力や知性、そして既存の枠組みや価値観に捉われない、新たな方法論を編み出す想像力/創造力を共有することが、ひとつの糸口となりうるのではないでしょうか。
今回紹介する11名のアーティスト(第1期:6名)は、世界各国の都市でのレジデンス滞在をとおして、その鋭敏な感覚と多種多様なまなざしで、自身を取り巻く生態系を観察し、そこに潜むさまざまな生命の活動や創造的実践の息吹に耳を澄ませました。彼らの作品は、目の届かない場所で息づく小さなエネルギーの交換を掬い上げ、そこから形成される有機的な営みを手がかりとして、この多層的な世界の未来に向けた、共生の新たな様態を模索します。
本展の第1期では、TOKASレジデンシーに滞在した4名のアーティストがテーマ・プロジェクトとして「都市を取り巻くエコロジー」を主題に、対話や議論を重ねながら制作活動に取り組んだ成果を発表するほか、海外からの招聘作家2名の作品を展示します。
テーマ・プロジェクト「都市を取り巻くエコロジー」
TOKASレジデンシーに滞在したさまざまなバックグラウンドをもつ4名のアーティストが、「都市を取り巻くエコロジー」を共通のテーマとして、議論や意見交換をしながら制作を行いました。 多様なアイデンティティが交差する都市・東京において、自然と社会と人との関係性や、経済とエコロジーの均衡や課題等を多面的に考察し、その成果を発表します。
エド・カー | Edd CARR
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
環境に配慮した持続可能な写真プロセスを映像制作に応用し、生態系の危機と人間以外の世界との関係を描き出すカーは、キツネにまつわる神話に焦点を当て、現代の日本におけるアニミズムについてリサーチを行いました。本展では、東京の路上で見つけたヨモギなどの採集素材を用いた映像や、写真、彫刻作品をとおして、21世紀における架空のキツネ崇拝の物語を創出します。
前田耕平|MAEDA Kohei
国内クリエーター制作交流プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
「自然と人の関係や距離」をテーマに活動する前田は、TOKASレジデンシー周辺の人工運河を起点に手漕ぎ舟で川の中に入り、千葉の江戸川河口から、荒川、隅田川、神田川を経て、井の頭公園までの約50kmを遡上し、リサーチを行いました。本展では、その行為の過程と考察によってたどった都市河川の環境や歴史的背景を語る映像作品を軸とした装置を展開し、自身の「東京遡上体験」を再現することを試みます。
松本美枝子|MATSUMOTO Mieko
国内クリエーター制作交流プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
地質や地形などの自然環境を、社会の基盤のひとつとして捉え、風景がもつ政治性、社会性に関心をもつ松本は、都市の河川と地形をリサーチし、水資源と治水、歴史的な災害や戦争の側面から、都市のありようを考察しました。本展では、写真作品や映像によるインスタレーションをとおして、近現代における地形や河川の社会的な力や、地形のなかで翻弄されてきた民衆の歴史をひとつの生態系として可視化します。
助成:公益財団法人 野村財団
エドウィン・ロウ|Edwin LO
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2023.5–7
滞在場所:TOKASレジデンシー
ロウは、地域固有の「技術(テクノロジー)」が、生態系を考える上で果たす役割の重要性を考察し、江戸中期〜後期に日本・中国・西洋の異文化の交錯によって発展した、日本の軍事面や医学面などにおける技術思想の継承と個別化について探索しました。本展では、思索的で実験的なビデオ・エッセイによって、技術の来歴と、歴史における技術思想の役割の再構築を試みます。
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ネストール・シレ|Nestor SIRÉ
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2024.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
革新的な地域的実践と創造性の多様な社会的表象を掘り下げる継続的なリサーチ・プロジェクト「CubaCreativa」を行うシレは、日本における社会的創造性や革新的な実践に関する2つの概念「珍道具」と「裏技」を探究しました。本展では、Tokyo Hacker Space と協働制作した、NFTを使用したパソコンの3Dプロトタイプや、ラテンアメリカのゲーム・コミュニティーから着想を得て開発したタイヤ型のパソコンのモジュラー版などを展開します。
キム・ウジン|KIM Woojin
海外クリエーター招聘プログラム
滞在期間:2024.1–3
滞在場所:TOKASレジデンシー
社会的な枠組みを作り出す装置としての言語に取り組み、消滅しつつある言語に関する個人の記憶を収集するキムは、二度の世界大戦を経て、とりわけ多くの言語が失われたアジアに関心を寄せ、日本における少数言語や日本語政策の変遷について調査を行いました。本展では、日本の危機言語であるアイヌ語とうちなーぐち(沖縄語)に関するインタビューをもとに、演劇の構造を用いた映像作品を発表します。
作家・出演者 | エド・カー, キム・ウジン, ネストール・シレ, 前田耕平, 松本美枝子, エドウィン・ロウ |
会場 | トーキョーアーツアンドスペース 本郷 (Tokyo Arts and Space Hongo) |
住所 | 113-0033 東京都文京区本郷2-4-16 |
アクセス | 御茶ノ水駅(JR中央線・総武線)御茶ノ水橋口 御茶ノ水駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 水道橋駅(都営地下鉄三田線)A1出口 水道橋駅(JR総武線)東口 本郷三丁目駅(都営地下鉄大江戸線)3番出口 本郷三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線)1番出口 各駅より徒歩7分 |
会期 | 2024/06/29(土) - 08/04(日) |
時間 | 11:00-19:00(入場は閉館30分前まで) |
休み | 月曜日、7/16(火) ※ただし、7/15(月)は開館 |
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