Maki Fine Artsでは、4月6日(土)より5月12日(日)まで、アレックス・ダッジの新作による個展 A Way With Words を開催いたします。Maki Fine Artsでは3回目の個展で、2021年以来、約2年半ぶりになります。本展覧会は2部構成になり、Maki Fine Artsでの展覧会をPart 1、銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUMでの展覧会をPart IIとして開催致します。
20年間にわたり、アレックス・ダッジは革新的な技術とプロセスによって、絵画という行為を再定義し続けてきました。さまざまなソフトウェアとコンピューターコードを駆使することにより、その作品はヴァーチャルとフィジカルの世界を横断します。さまざまな版画のテクニックからインスピレーションを得た独自のアプローチで、レーザーやその他のCNC加工よりカットされたステンシルを使用し、油絵の具の厚い層で、イメージをキャンバスに変換しています。ダッジの作品は、高度なデジタルツールと、伝統的技術とメディアを使った丹念な手仕事の融合によるものです。その技術的なプロセスに反映されているのは、テクノロジーそのものと、それが人間の経験をどのように再定義し続けるかという、長年にわたるテーマです。
本展覧会の新作は、言語とAIの接続性を総合的なテーマとしています。近未来、そして遠い未来を予感し、深く思索しながらも、作品はユーモアと軽快さを交えた遊び心に満ちています。
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A Way With Words
パート1: Maki Fine Arts(4月6日 – 5月12日)
パート2: GINZA SIX 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(4月26日 – 5月15日)
人間の経験は、ある本質的な矛盾を孕んでいる。私たちの最も深い感情や洞察は、しばしば言葉で表現しがたく、言語の手の届かないところにある。それにもかかわらず、このデジタル時代においては、言語、特にテキストが、私たちをつなぐ不可欠な手段となっているのだ。
言語は拡張可能で共有可能な仮想空間を人々に提供する主要な技術である。印刷された本、歌詞、コンパイルされたコードなどは、どれもその例だ。しかし、言語には限界もある。言語のみでは実現不可能な方法で人間の経験を拡張することを可能にするのが、たとえば絵画といった視覚的形式との融合だ。今回の展覧会では、アレックス・ダッジは自身の作品における確立されたテキストの使用方法を拡張し、独自のユーモアと形式的な遊びを活かしながら、言語が持つ命題性、手続き性、詩性、視覚性、触覚性などの様々な側面を探究している。ダッジは「A Way With Words」において、その表現力を称えると同時に、しばしば滑稽なまでの不十分さをも露わにする方法でテキストを扱っているのである。
今回の展覧会は、私たちの文明が言語とともに新たな未知の領域に踏み出そうとするこの時代に開催される。ChatGPTやGeminiなどのツールに見られるように、計算力、統計モデリング、アルゴリズム処理の進歩は、テキストとの関わり方に革命的な変化をもたらした。本来、視覚的処理のために開発されたGPU(画像処理装置)が、いまやニューラルネットワークや大規模言語モデルを駆動し、私たちの言語世界を抜本的に改変している皮肉な状況だ。この技術的飛躍は、西洋の哲学・言語学の伝統において、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインや言語学者のエドワード・サピア/ベンジャミン・ウォーフらが展開した議論を改めて呼び起こすものである。現実を定義し形作る上で言語が果たす中心的役割という彼らの議論の主題は、私たちがテキストとAIを融合して人間の経験を生成するにつれ、新たな意義を獲得しつつある。一方、東洋思想、特に仏教と道教では、言語は「現実を理解するための限定的な手段」として位置付けられている。仏教における座禅や道教における無為自然の追求に見られるように、言語を超越したより深い直接的な現実理解に到達することを目指しているのだ。銀座 蔦屋書店のGINZA ATRIUMは、書籍という形で言語を讃える聖域だ。本展の第二章にとって、まさにふさわしい会場と言えるだろう。
ダッジの絵画は、こうした哲学的論争を視覚的に表現したものである。歌詞や詩からの一節がふわふわした布製の枕のような文字へと姿を変え、幾何学的にタイリングされた空間に佇みながら、人体を思わせる存在感を醸し出している。数値的かつ計算論的にシミュレートされたこの空間は、(気怠げでぐにゃぐにゃして不完全な枕という姿をとった)言語が住まう理想的世界の表象なのだ。アルゴリズムによって生成された空間の完璧さと、ダッジの作品に描かれる有機的で自由奔放かつ不完全なものとしての言語との対比は、実に鮮烈だ。
本展では、新しい技術が芸術表現をどのように再定義するかを考察する。写真の登場によって絵画が解放され、新たな次元への挑戦が始まったように、テキストとAIの融合はこれまでにない芸術の地平を切り拓き、創作に刺激を与えている。ダッジの20年にわたる作品は、こうした探究の証であり、バーチャルシステムと絵画の交差点を検証し続けてきた。
「A Way With Words」展は、鑑賞者を言語、テクノロジー、視覚的形式の間の繊細な相互作用についての考察に誘う。ダッジはユーモアや遊び心、思慮深い探究心を織り交ぜながら、鑑賞者にこれらのテーマに向き合うことを促し、私たちと言語、そして言語が描写しようとする現実との間にある、複雑で絶え間なく変化する関係を映し出す鏡を差し出しているのだ。
アレックス・ダッジ
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アレックス・ダッジ | Alex Dodge
1977 年アメリカ合衆国コロラド州デンバー生まれ、現在ブルックリン(ニューヨーク)と東京を拠点に活動している。
近年の主な展示として、個展「Daemon-Haunted World」(2023年/ Klaus von Nichtssagend Gallery)、個展「Personal Day」(2023年 / BB&M)、個展「Laundry Day : It all comes out in the Wash」(2021年/ Maki Fine Arts)、「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」(2018-19 年 / ホイットニー美術館)など。ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などに作品が収蔵されている。
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パート1 :
アレックス・ダッジ A Way With Words
2024年4月6日(土) – 5月12日(日)
Maki Fine Arts
東京都新宿区天神町77-5 ラスティックビルB101
水曜 – 土曜 12:00 – 19:00 / 日曜 12:00 – 17:00
定休日 月曜・火曜
パート2 :
アレックス・ダッジ A Way With Words
2024年4月26日(金) – 5月15日(水)
銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM
東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F
営業時間 11:00 – 20:00
20年間にわたり、アレックス・ダッジは革新的な技術とプロセスによって、絵画という行為を再定義し続けてきました。さまざまなソフトウェアとコンピューターコードを駆使することにより、その作品はヴァーチャルとフィジカルの世界を横断します。さまざまな版画のテクニックからインスピレーションを得た独自のアプローチで、レーザーやその他のCNC加工よりカットされたステンシルを使用し、油絵の具の厚い層で、イメージをキャンバスに変換しています。ダッジの作品は、高度なデジタルツールと、伝統的技術とメディアを使った丹念な手仕事の融合によるものです。その技術的なプロセスに反映されているのは、テクノロジーそのものと、それが人間の経験をどのように再定義し続けるかという、長年にわたるテーマです。
本展覧会の新作は、言語とAIの接続性を総合的なテーマとしています。近未来、そして遠い未来を予感し、深く思索しながらも、作品はユーモアと軽快さを交えた遊び心に満ちています。
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A Way With Words
パート1: Maki Fine Arts(4月6日 – 5月12日)
パート2: GINZA SIX 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(4月26日 – 5月15日)
人間の経験は、ある本質的な矛盾を孕んでいる。私たちの最も深い感情や洞察は、しばしば言葉で表現しがたく、言語の手の届かないところにある。それにもかかわらず、このデジタル時代においては、言語、特にテキストが、私たちをつなぐ不可欠な手段となっているのだ。
言語は拡張可能で共有可能な仮想空間を人々に提供する主要な技術である。印刷された本、歌詞、コンパイルされたコードなどは、どれもその例だ。しかし、言語には限界もある。言語のみでは実現不可能な方法で人間の経験を拡張することを可能にするのが、たとえば絵画といった視覚的形式との融合だ。今回の展覧会では、アレックス・ダッジは自身の作品における確立されたテキストの使用方法を拡張し、独自のユーモアと形式的な遊びを活かしながら、言語が持つ命題性、手続き性、詩性、視覚性、触覚性などの様々な側面を探究している。ダッジは「A Way With Words」において、その表現力を称えると同時に、しばしば滑稽なまでの不十分さをも露わにする方法でテキストを扱っているのである。
今回の展覧会は、私たちの文明が言語とともに新たな未知の領域に踏み出そうとするこの時代に開催される。ChatGPTやGeminiなどのツールに見られるように、計算力、統計モデリング、アルゴリズム処理の進歩は、テキストとの関わり方に革命的な変化をもたらした。本来、視覚的処理のために開発されたGPU(画像処理装置)が、いまやニューラルネットワークや大規模言語モデルを駆動し、私たちの言語世界を抜本的に改変している皮肉な状況だ。この技術的飛躍は、西洋の哲学・言語学の伝統において、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインや言語学者のエドワード・サピア/ベンジャミン・ウォーフらが展開した議論を改めて呼び起こすものである。現実を定義し形作る上で言語が果たす中心的役割という彼らの議論の主題は、私たちがテキストとAIを融合して人間の経験を生成するにつれ、新たな意義を獲得しつつある。一方、東洋思想、特に仏教と道教では、言語は「現実を理解するための限定的な手段」として位置付けられている。仏教における座禅や道教における無為自然の追求に見られるように、言語を超越したより深い直接的な現実理解に到達することを目指しているのだ。銀座 蔦屋書店のGINZA ATRIUMは、書籍という形で言語を讃える聖域だ。本展の第二章にとって、まさにふさわしい会場と言えるだろう。
ダッジの絵画は、こうした哲学的論争を視覚的に表現したものである。歌詞や詩からの一節がふわふわした布製の枕のような文字へと姿を変え、幾何学的にタイリングされた空間に佇みながら、人体を思わせる存在感を醸し出している。数値的かつ計算論的にシミュレートされたこの空間は、(気怠げでぐにゃぐにゃして不完全な枕という姿をとった)言語が住まう理想的世界の表象なのだ。アルゴリズムによって生成された空間の完璧さと、ダッジの作品に描かれる有機的で自由奔放かつ不完全なものとしての言語との対比は、実に鮮烈だ。
本展では、新しい技術が芸術表現をどのように再定義するかを考察する。写真の登場によって絵画が解放され、新たな次元への挑戦が始まったように、テキストとAIの融合はこれまでにない芸術の地平を切り拓き、創作に刺激を与えている。ダッジの20年にわたる作品は、こうした探究の証であり、バーチャルシステムと絵画の交差点を検証し続けてきた。
「A Way With Words」展は、鑑賞者を言語、テクノロジー、視覚的形式の間の繊細な相互作用についての考察に誘う。ダッジはユーモアや遊び心、思慮深い探究心を織り交ぜながら、鑑賞者にこれらのテーマに向き合うことを促し、私たちと言語、そして言語が描写しようとする現実との間にある、複雑で絶え間なく変化する関係を映し出す鏡を差し出しているのだ。
アレックス・ダッジ
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アレックス・ダッジ | Alex Dodge
1977 年アメリカ合衆国コロラド州デンバー生まれ、現在ブルックリン(ニューヨーク)と東京を拠点に活動している。
近年の主な展示として、個展「Daemon-Haunted World」(2023年/ Klaus von Nichtssagend Gallery)、個展「Personal Day」(2023年 / BB&M)、個展「Laundry Day : It all comes out in the Wash」(2021年/ Maki Fine Arts)、「Programmed: Rules,Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」(2018-19 年 / ホイットニー美術館)など。ニューヨーク近代美術館、ホイットニー美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館などに作品が収蔵されている。
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パート1 :
アレックス・ダッジ A Way With Words
2024年4月6日(土) – 5月12日(日)
Maki Fine Arts
東京都新宿区天神町77-5 ラスティックビルB101
水曜 – 土曜 12:00 – 19:00 / 日曜 12:00 – 17:00
定休日 月曜・火曜
パート2 :
アレックス・ダッジ A Way With Words
2024年4月26日(金) – 5月15日(水)
銀座蔦屋書店 GINZA ATRIUM
東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F
営業時間 11:00 – 20:00
作家・出演者 | アレックス・ダッジ |
会場 | Maki Fine Arts (マキファインアーツ) |
住所 | 162-0808 東京都新宿区天神町77-5 ラスティックビル B101 |
アクセス | 神楽坂駅(東京メトロ東西線)2番出口 徒歩5分 江戸川橋駅(東京メトロ有楽町線)2番出口 徒歩7分 |
会期 | 2024/04/06(土) - 05/12(日) |
時間 | 12:00-19:00 ※日曜日は17:00閉廊 |
休み | 月曜日、火曜日 |
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