Padograph Icon

松岡友「– 追悼展- 不可視の存在の捉え方」

新宿眼科画廊 スペースM、S、E

2024/03/01(金) - 13(水)

MAP
SHARE
Facebook share button
Image 2564
〔トークイベント〕
3月9日18時~
●TETTA(美術作家、藤沢市アートスペース学芸員)
●平林幸壽(松岡友追悼展キュレーター)


〔概要〕
本展示は2021年3月6日に不慮の事故で他界した松岡友の追悼展示である。

松岡友は生前、美術作家として活動を行う上で、単に「美術作家」と名乗ったことはない。ある時は「魔術系オカルト美術作家」、ある時は「美術作家・霊媒師」という風に、そこに《[1]不可視の存在》への強い関心が常にあった。

松岡友は多摩美術大学の油画専攻で絵画表現を習得、卒業後務めた美術造形の会社で立体作品制作の技術も身につけた作家である。2010年に少女時代に親しんだRPGゲーム「[2]Final FantasyⅦ」から、更にファンタジーゲームのイメージ源である「西洋錬金術」「西洋魔術」的世界観を『黄金の夜明け』(江口之隆:著)、『世界シンボル辞典』(ジーン・C・クーパー著)などの文献も調べ、そこに個人的な解釈を加えた上で村上隆の「スーパーフラット」以降の現代アート作品として制作する事から本格的に作家活動を開始した。

またこの時期に実際に国内の西洋魔術実践者のイベントを訪れ面識を得た後、その元で儀式魔術の手解きも受け始めた。

その後、2012年には密閉された容器の中で覚醒と睡眠をコントロールする「フローティングタンク」の体験を得て、《「稲荷の神使の狐」の上に[3]美少年としての松岡友が乗る図像》(松岡友自身はこれを「[4]バモイドオキ神」後に「アセファル」とも呼んでいた)を感得した。

松岡友の関心は更に「西洋魔術」的な範疇を超え、作品の世界観も神道や民間信仰的イメージ、インドネシアの民間信仰のイメージ、密教的図像まで広まっていく。関心の広まりと同時に、上座部仏教系の瞑想である「ヴィパサーナ瞑想」による1週間の無言行の体験、アーティストイン レジデンスで訪れた沖縄での琉球神道のシャーマンであるノロとの出会い、インドネシアのアーティスト イン レジデンスで地元のイスラームの精霊であるジン信仰との出会いetc.

文化人類学者がフィールドワークを行った上で論文を執筆するが如く、霊性を高める体験を重ねては制作を行なっていた。

今日、19世紀半ばに欧州で発生し19世紀末には世界的な影響となった「神霊主義」(心霊主義/Spiritualism)の人文知的方面からの再考が進んでいる。この「神霊主義」とも関わる「《不可視の存在》という領域と美術の関係」は、西洋美術の正史という枠組みで鑑みても古くは「幻視者」の異名を持つ英国人作家ウィリアム・ブレイク(1757〜1827)や、19世紀の「象徴主義」の一角まで遡る事ができる。更に20世紀初頭にはシューレアリスムの偉大な詩人アンドレ・ブルトン(1896~1966)は『魔術的芸術』という著作を残している。

国内の近年の現代アート上での展覧会を振り返れば
・2012 「魔術/美術」展(愛知県美術館 監修 / 中村史子・中西陽子 )
・2014 「The Spiritual World」展(東京都写真美術館 監修 / 石田哲郎)
・2014 「スサノヲの到来-いのち、いかり、いのり-」展(足利市美術館 / 他 監修:赤松祐樹)
・2023 「顕神の夢-幻視の表現者-」展(岡本太郎美術館 / 他 監修: 鎌田東二)
など各展示のフレーミングは少しずつ異なりながらも《不可視の存在》に関して焦点を当てた美術館展示がここ10年で開催されたことを記憶している。

生前の松岡友は絵画、彫刻、インスタレーションの制作、国内外のレジデンスプログラム参加のみならず、ライブペインティングや代価現実ゲーム、多様な内容のアートイベント開催など多種多様に渡っており、また単に「美術作家」と名乗ることはなかった。故にどこか“捉えどころのない存在”と思われていたように思う。

本展は松岡友の遺作の中から完成度の高い作品を厳選し、先行する識者による近代「神霊主義」再考の文脈、言い換えれば“不可視の存在の捉え方“を踏まえながら、鑑賞者に新たに《優れた現代アート作家としての松岡友の再考》を促す展示である。

[1] 「不可視の存在」西洋魔術、キリスト教や仏教、神道などのイメージ及び様々な民間信仰的イメージを本文では「不可視の存在」と呼ぶ。
[2] 「Final FantasyⅦ」スクウェア社のコンピューターRPG。西洋ファンタジー、SF、多文化的な世界観を持ち松岡作品へ与えた影響が大きい。
[3] 「美少年としての松岡友」ここでは心理学者C.G.,ユングのいう「アニムス(女性の中の理想の男性像)」としての美少年。
[4] 「バモイドオキ神」神戸児童連続殺傷事件の犯人である少年 酒鬼薔薇聖斗が信仰していた神、後に松岡は同名で作品化した後にフランスの文学者ジョルジュ・バタイユの西洋魔術系の結社であり、バタイユの幻視した「アセファル(無頭人)」の名を加え連ねている。

展示概要テキスト:平林幸壽(松岡友作品保存部キュレーター/元:美術作家/S-VA-HA)


MATSUOKA Tomo / 松岡 友

〔プロフィール〕
1984 千葉県生まれ
2007 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
2010 本格的に美術作家としての活動を開始
2021 不慮の事故により他界

〔個展〕
2012 「覚醒しながら夢を見る」(高円寺Amp café / 東京)
2014 「"HANTU” Love from invisible“」(Viaviajogla / インドネシア)
2016 「鬼道 シャーマニズム宣言」(momurag / 京都)
2016 「MYSTIC 神秘的な」(GARP Ruang Bandan Gerilya: / インドネシア)
2017 「霊媒の触れた現代実践魔術の世界」(トレスカーニ / 東京)

〔主なグループ展〕
2005 「東京Wonder Seed」入選者展(東京ワンダーサイト渋谷 / 東京)
2005 「東京コンペ#2」入選者展(丸ビル1Fアトリウム / 東京)
2010 「3331アンデパンダン」(3331アーツ千代田 / 東京)
2011 「Tokyo Wonder Seed」入選者展(東京ワンダーサイト渋谷 / 東京)
2011 「Tokyo Wonder Wall」入選者展(東京都現代美術館 / 東京)
2011 「匣(HAKO)」ART FIELD TOKYOスタジオ一期生展(3331アーツ千代田 / 東京)
2011 「3331アンデパンダン・スカラシップ(後期)」(3331アーツ千代田 / 東京)
2012 「南宇都宮石蔵秘宝祭」(宇都宮市内の石蔵 / 栃木)
2012 「TRANS ARTS TOKYO」
2013 「シブヤスタイル vol.7」(渋谷西武百貨店 / 東京)
2013 「Tokyo Wonder Seed」入選者展(東京ワンダーサイト渋谷 / 東京)
2013 「GEISAI寺子屋」Vo.2「パフォーマンス編」(GEISAI GALLERY / 東京)
2013 「Tokyo Wonder Wall」入選者展(東京都現代美術館 / 東京)
2013 「THUJI」(新宿眼科画廊 / 東京)
2013 「シブヤスタイル vol.7」(西武百貨店 渋谷店 美術画廊 / 東京)
2014 「こうさく展-アウラの逆襲-」(金沢21世紀美術館 / 石川)
2015 「日本新世代藝術小展 part.2」(藝風巷 / 台湾)
2015 「こうさく展-パンドーラ-」( 金沢21世紀美術館 / 石川)
2015 「Yogyakarta Open Studio2015」(インドネシア)
2018 「第2回オオカミ/狼展」(IGAO / 東京)
2018 「MASK EXHIBITION」(ANAGRA / 東京)
2018 「第2回オオカミ/狼展」(IGAO / 東京)
2019 「京都monurag大クロージング展(前期)」(monurag / 京都)
2019 「第3回オオカミ/狼展」(IGAO / 東京)
2019 「こうさくてん 鬼」(金沢21世紀美術館 / 石川)
2021 「UFOと人権」(ガンバネラBar / 東京)
2021 「第3回大阪アンデパンダン展」(アトリエ三月、gekilin / 京都)

〔アーティスト イン レジデンスへの参加〕
2013 「イチハナリアートプロジェクト2013」(沖縄)
2014 「Pan Brothers Green Officeコミッションワーク」(インドネシア)
2014 「イチハナリアートプロジェクト2014」(沖縄)
2016 (GARP)「Ruang Gerilya」によるレジデンスプログラム(インドネシア)

〔主な入選、賞歴〕
2005 Tokyo wonder seed(入選)
2005 東京コンペ#2(入選)
2010 3331アンデパンダン展「いとうせいこう」(セレクト賞)
2013 Tokyo wonder wall 賞(入選)
2013 Tokyo wonder seed賞(入選)

〔主催イベント〕
2012 「ある家の肖像」企画:アートパーティるくる(千葉県)
-松岡友の実家を会場とし、代価現実ゲーム的要素を取り入れ一夜のイベントとして開催-
(参加作家:松岡友、田中良典、桜井貴、隊長檸檬)
2014 観客参加型パフォーマンスアート「僕に鍵がかかっている」(玉井病院 / 東京)
-初台玉井病院B1階バースペースにて観客参加型のパフォーマンスアートとして発表-
2015 アートイベント「鬼市」(カフェギャラリー幻 / 東京)
-会期中、会場では多くの作家による作品、グッズの販売、各種パフォーマンスが繰り広げられた-
2016 アートイベント「鬼市vol.2 異次元屋敷編」(世田谷区民家 / 東京)開催
-会期中、様々な作家の作品/グッズの展示、インスタレーション、各種パフォーマンスが繰り広げられた-
2016 アートイベント「誰もいない家」(千葉県)
-松岡友の自宅全体を使い、家そのものをインスタレーション空間として展示した一晩のイベント-

〔ワークショップ〕
2015 「PSYCHO ACTIVE PORTRAIT」開始
-松岡友が赤・青・黄色の三原色で参加者のアウラを感じながら対面でライブペインティングを行うワークショップ-

〔イベント〕
2015 (観客参加型パフォーマンス「どろろ〜ん!」)「ナゾガクEX」(廃校さる小 / 群馬県)
-松岡友はシェークスピアの「リア王」と昔話「浦島太郎」をモチーフとし達磨を主人公としたCGを用いた紙芝居作品CGを用いた紙芝居作品「神芝居」を用いたパフォーマンスをHACHA(メディアアーティスト)と共に発表-2017 謎解きイベント「ナゾガクEX」にて映像インスタレーション「日本神話 地獄編」発表
-「地獄」編、「煉獄編」、「天国編」が構想されたが、「地獄編」の完成発表のみで未完の作品となっている-
2017 アートイベント「HIKARI FESTIVAL2」(岡山)に参加
-岡山県にある心療内科HIKARI CLINICで開催された展示、ライブパフォーマンスなどからなるイベント-
2018 「maNDal」
-現代アート展示、西洋魔術実践者や魔女による公開儀式、ディスカッション、電子音楽ライブなどからなるイベント-
2019 「お変路さん 東京行脚」(カフェリウイ / 東京)
-即興演奏、舞踏、松岡友の作品展示などからなるイベント-
2021 「Book Lovers」参加(MOTOYA BOOK CAFÉ GALLERY / 東京)
2020 「未来魔女会議」(新宿NEKED LOFT / 東京)
-鍵谷 明子(文化人類学者・東京造形大名誉教授),河西 瑛里子(文化人類学者)、円香(映像作家/魔女)らのトーク
松岡友、宇城飛翔(陶芸家)らの作品展示からなるイベント
-アートブックイベント、松岡友は2015年に発表した紙芝居作品「神芝居」を製本化し発表-
《参加作家:松岡友、あおい、akane、天森檜、あゆきのこ、うさうらら、大山美穂、オグラチカコ、KaoPok Bookbinsing、かくら こう,KAZUMI SEKI、カチナツミ、かどいひろみ他》

〔その他〕
2012 「いち311この日失われたものと、生まれたものへの祈り」式典「聖交の間」(岡山市)
-地域創生チーム「いち」による東日本大震災慰霊式典にて参加型インスタレーション「聖交の間」を開催-
2012 代価現実ゲーム「名もなき少女」TRANS ARTS CHIYODA及びTwitter上(東京)
-Twitter(現X)上で松岡友が匿名アカウント「名もなき少女」として呟き、呟きのヒントを解き明かしたものがTRAS ARTS TOKYOで発表されたパフォーマンス「SNS GHOST」に導かれる。この間、会場を呟きから導き出したものから届けられた生活必需品のみで一ヶ月過ごす。
2012 「鬼籍」結成
-ノイズアヴァンギャルドバンドZOTOのYoshitaka S.T.と松岡友により結成、その後、メンバーを増やし最終的に魔術的儀式、即興遠征、パフォーマンスが交差するバンドに発展。2019年に解散。音源VA「盤魔殿」(Live Archives2019~2020)解散ライブ音源を収録-
2013 ライブペインティンググループ「Shrine Maiden」(松岡友、万美、宮川あゆみ)を結成
-《松岡友、万美(書家)、宮川あゆみ(巫女、ライブペインター)の3名で結成
「Live Painting Dojo」(主催:arahabaki)に2013年、2014年他、多くのイベントに参加-
2014 「APA KABAR」結成
-アヴァンギャルドロックトリオ、メンバーは米国のフィールドレコーディング作家ジェシー・ポール・ミューラー、インドネシアの実験ギター奏者ソニ・イラクン。2015年に「We are APA KBAR」を発売-

※松岡友のアーティストとしての活動歴を編纂するに辺り、便宜上、ギャラリースペースやそれに準じたオルタナテティブスペースでの個展、グループ展を分類し、そして代価現実ゲーム/ARGや個人宅でのアートイベントや音楽活動を分類した。
松岡友はポートフォリオなどでも全ての入賞入選履歴、展示履歴を網羅して記載することがなく、また多くのアートグループやアートユニット、音楽ユニットを結成し様々なイベントに参加していた。
それらを全て網羅することは難しく残された断片的な資料とインターネットに残された情報を元に“美術作家としての松岡友”を再考する上で必要性の高い展示情報を優先し展示履歴として本プロフィールを作成した。

プロフィール作成:「松岡友作品保存部」キュレーター平林幸壽(S-VA-HA/元現代美術作家/僧侶)

〔故:松岡友Instagram〕
@tomomatsuoka

〔松岡友作品保存部Instagram〕
@tomomatsuoka_sakuhinhozonbu

〔松岡友作品保存部Twitter〕
@Tomo_artstorage

出典

作家・出演者松岡友
会場新宿眼科画廊しんじゅく がんか がろう (Shinjuku Ophthalmologist(Ganka) Gallery) スペースM、S、E
住所
160-0022
東京都新宿区新宿5-18-11
アクセス
東新宿駅(都営大江戸線, 東京メトロ副都心線) 徒歩6分
新宿三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線, 副都心線, 都営新宿線) 徒歩7分
新宿駅(JR)東口 徒歩12分
会期2024/03/01(金) - 13(水)
時間12:00-20:00(水曜日 12:00-17:00)
休み木曜日
SNS
    ウェブサイト