矢野紗季 自主企画個展『1人2存3塁4家5時6葉』

【移転】オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』

2023/12/08(金) - 25(月)

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オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ-Nami Ita』は、2023年最後の企画として、12月8日(金)から12月25日(月)のあいだ、矢野紗季の自主企画個展『1人2存3塁4家5時6葉』 を開催致します。
鹿児島県出身の矢野は2021年に多摩美術大学を卒業し、活動をはじめたばかりの若い美術作家です。在学中は主に児童画のような感覚的色彩とフォルムを強調した絵画制作に励み、点描の集積とストロークによって奇怪な人型のイメージを描きだす卒業制作のための大作『どんなに遅くなっても/逆たち』『良い埃』は学内選考で高い評価を獲得し、優秀作品の一つに選ばれています。
本個展『1人2存3塁4家5時6葉』はそんな矢野がアーツカウンシル東京から「スタートアップ助成」を受け、作家として世に問う初の個展となります。俄かには判読の難しい奇妙なタイトルは作家が日々生きる時間や体験から生み出された言葉で、矢野によれば以下のような意味を表します。
「1人がいて2つ存在して3塁から4つの家に帰って5時に起きて6つの葉で獲得する、という感じで、全体的には円のイメージです」
矢野自身が「ちょっと何言ってるか分かんないと思うんですけど」と笑うその摩訶不思議なコンセプトは、「日雇いをやっていた時期にその日貰った給料の金額をその日やった仕事の内容といっしょに描いた」100枚超のドローイングを含む絵画、「ほうじ茶と阿波番茶と黒烏龍茶とエコーとハイライトとキャメルを紙粘土に混ぜ込んだ」立体、「ある時期からハマっている素振りの様子」をとらえた映像などの具体物となってナミイタの内外に展開され、作家の言葉を観る側に伝えます。
諸事情から会期は短く、さらに師走の時期でもありますが、極めて独自の世界観を持つ矢野の「スタートアップ」という貴重な機会を是非、お見逃しなく!


矢野紗季 自主企画個展
『1人2存3塁4家5時6葉』
■ 会期:2023年12月8日(金)→12月25日(月)
※ 金土日月オープン。火水木休み。
■ 時間:12時30分→20時
■ 会場:オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』
東京都町田市三輪町2036(アトリエ・トリゴヤ裏手)
徒歩=小田急線鶴川駅より徒歩約15分。バス=鶴川駅前3番乗り場より「奈良北団地」or「三菱ケミカル前」行き。
それぞれ『三輪入口』下車。バスを降り、目の前の坂を下りたすぐ右手の広場に建つ赤い掘っ立て小屋の奥。
トタン屋根の上に被さる古木が目印。所在場所の地図は下部QRコードをご参照下さい。
■ 入場:無料
*ご来場の方には矢野制作の「何か」、ナミイタ特製の木版画、ポストカードの返礼付き。
* 駐車スペースが極めて限られます。事前にご確認下さい。
■ 主催:矢野紗季
■ 助成:公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 [スタートアップ助成]
■ 協力:アトリエ・トリゴヤ、作庭工房
■ お問い合わせ: 090-1823-7330 / TinShackNamiIta@gmail.com(ナミイタ代表)
■ SNS:Twitter&FB→@Namiita2036 | Instagram→@tinshacknamiita
■ プレスリリースPDF
https://drive.google.com/file/d/1SJjYODhLeXotxTRJjhH-C_DNP7Y2pWNo/view?fbclid=IwAR3JPo0NL2JvaJFBq8upEN_0E5O8xRWPErkrniBggsIamuiCy35t9LPAzlw
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【アーティスト・ステイトメント】
1人がいて2つ存在して3塁から4つの家に帰って5時に起きて6つの葉を見つける。
数は時計のように円になる。
数は増えていく可能性がある。
数が増えると今より大きな円になる。
ーー矢野紗季

【ディレクターズ・ノート】
「あの子はヤバいね!突き抜けてる!」
唖然とした表情で呟く長廻さんの汗ばんだ身体に、陽が落ちても一向に気温が下がらないナミイタの、茹だるような暑い空気を必死でかきまわす扇風機の風が吹きつけていた。視線の先には、夜の公園で素振りを繰り返す、ショートパンツにスニーカー履きの矢野さんが映るInstagram動画があった。画面にむかって一礼し、バット代わりの雨傘を勢いよく振り回すその様子は、端的に言って異様だった。
「最近、素振りにハマってるんです」
ニコニコではなくニヤアと書きたくなるような笑顔でわたしたちにそれを見せてくれた矢野さんによれば、五秒ほどの素振り動画は『野球選手への道』と名付けられた映像作品なのだという。
以上は、今年の七月末、ナミイタで開催中だった長廻亮個展『ゲリバラ課外授業(ナミイタ篇)』(7/28~8/28)に、矢野さんが本展示『1人2存3塁4家5時6葉』の相談がてら訪れたときのできごとだ。美術作家と公立高校美術教師を兼ねる長廻さんは、『ゲリバラ』と名付けたコンセプトに基づくハプニング行為の中で、奇声を発しながら飛び跳ねたり牛乳を撒き散らしたり本を食べたりする、ありていに言えば相当「ヘン」な人/アーティストなのだが、その長廻さんに「ヤバい」と感じさせるオーラが矢野さんからは漂っていた。長廻さん以外にも、矢野さん評して「天才的な才能の持ち主」と激賞する人もいた。て、天才…!
果たして、矢野さんは天才なのだろうか?あらゆる意味で凡人のわたしには到底判断がつかないが、多摩美内で高い評価を得た卒業制作、展示でも使われる奇妙な素振りの映像(『野球選手への道』)、展示のタイトル(『1人2存3塁4家5時6葉』)とそれが何を意味するか尋ねて返ってきた答え(「1人がいて2つ存在して3塁から4つの家に帰って5時に起きて6つの葉で獲得する、というかんじです。全体的には円のイメージです」)、来場者に渡す記念品として作っているという「何か」のアイデア…。それらの何れもから、尋常でない「なにごとか」を感じさせられたのは確かだ。頭の中に浮かぶイメージを言語化する過程にあらわれるただならぬ飛躍は、常人の想像を遥かに超えている(ような気がする)。
このテキストを書いているのは展示初日までほとん間が無い12月6日なのだが、現時点でも矢野さんがどういう展示設計を企てているのか、わたしは全く分からない状態にある(無責任?すいません!)。数点の絵画、映像、100枚ほどの「日雇いをやっていた時期の、その日貰った給料の金額をその日やった仕事の内容といっしょにその日のうちに描く」ドローイング、「ほうじ茶と阿波番茶と黒烏龍茶とエコーとハイライトとキャメルを紙粘土に混ぜ込んだ」立体が持ち込まれることは分かっている。それらが一体どのような造形物なのか、どういうインスタレーションとして空間を変容させるのか…。
果たして、師走の鶴川で、天才の仕事をわたしたちは目にできる/しているのだろうか?
それを評価するには、小屋へ足を運ぶしかない。是非とも、あなたの目で確認してください。
ーー東間嶺(代表、ディレクター)


【アーティスト・プロフィール】
1998年鹿児島県生まれ。2021年多摩美術大学美術学部絵画科卒業。
2021年 多摩美術大学卒業制作展にて展示。在学時から主に絵画を制作。
2022年 尾久ゆ~ランドにて販売パフォーマンス。
2022年 サブテレニアンにてパフォーマンス。

出典

作家・出演者矢野紗季
会場【移転】オルタナティブ掘っ立て小屋『ナミイタ Nami Ita』おるたなてぃぶ ほったてごや なみいた
住所
195-0054
東京都町田市三輪町2036
アクセス鶴川駅(小田急小田原線)南口 徒歩15分
鶴川駅より路線バスあり。3番乗り場より「奈良北団地」または「三菱ケミカル前」行きに乗車し、「三輪入口」下車。
会期2023/12/08(金) - 25(月)
時間12:30-20:00
休み火曜日、水曜日、木曜日
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