会場:艸居・艸居アネックス
住所:
艸居|京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町381-2
艸居アネックス|京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F
⾋居では美術家、梅津庸⼀と信楽で丸倍製陶を営む、伝統⼯芸⼠の職⼈、神崎倍充の⼆⼈展を開催いたします。本展は作家と職⼈の仕事を対等な形で提⽰し、「作品」と「製品」の違いについて考えます。是⾮ご⾼覧いただけましたら幸いです。
※誠に恐れ⼊りますが、以下の期間を冬季休廊とさせていただきます。
冬季休廊:12⽉23⽇(⼟)‒1⽉8⽇(⽉)
本展について(テキスト:梅津庸⼀)
本展は信楽で丸倍陶製を営む神崎倍充と美術家である梅津庸⼀による2⼈展です。通常の2⼈展とはやや趣向が異なります。というのも神崎は⼯⼈(職⼈)として、梅津は作家(美術家)として活動しています。したがって神崎は⾃分が作るものを「製品」、梅津は「作品」と認識しています。では「製品」と「作品」の違いとはなんでしょうか。ここには「⼈がものをつくるとはなにか」という本質的な問いが横たわっているように思います。ひとえに「焼き物」と⾔っても⽇常で使うもの、建材、伝統⼯芸、オブジェと⽤途や受容のされ⽅はさまざまです。また「製品」と⽐べて「作品」は⼀点ものであること、そして独⾃性が強調されがちです。けれども「製品」が必ずしも均質的で代替可能なものとは限りません。神崎と梅津が拠点とする信楽の現在の状況を辿りながら考えてみたいと思います。
周知の通り信楽は⽇本有数のやきものの産地であり六古窯のひとつに数えられます。古琵琶湖層から良質な粘⼟がとれ、さらに陶⼯たちの⾼い技術⼒も相まって「⼤物」を得意としてきました。⼟味を⽣かした素朴な味わいも特徴のひとつです。また信楽は時代のニーズに合わせ壺、たぬきの置物、傘⽴て、蘭鉢、花器、洗⾯鉢、浴槽など様々な物を⽣産してきました。昭和初期には、⽕鉢の国内⽣産シェアの80%を占めていました。信楽は他の産地と違い現在でも機械による⼤量⽣産ではなく職⼈の⼿によって⼀点⼀点作られています。つまり地元の粘⼟を使い職⼈たちの⼿で作られるという点が信楽焼のブランドを担保してきたと⾔えます。それは「製品」でありながら個体差があり「作品」的な特徴も兼ね備えていることを意味します。
しかし現在、質の良い粘⼟は枯渇しつつあり信楽の粘⼟を使っての⽣産は難しくなっています。また、その⼟地の粘⼟で職⼈の⼿によって作られる「⼈と⼟と炎の出会い」といった物語性を帯びた「信楽焼」は過去のものになろうとしています。それでも職⼈のノウハウ、⼤きな窯、粘⼟や釉薬の膨⼤なデータベースなどは健在であり、それを求めて多くの「作り⼿」が国内外から信楽を訪れています。最近では特に現代アートの作家が⽬⽴つようになりました。かつて量産品を作っていた信楽の窯業のインフラの⼀部は現代アート作品を⽣産するための下部構造となっているのです。という僕も丸倍製陶の⼀⾓を間借りさせてもらっています。
ところで本展のタイトルになっている「ひげさん」とは髭をたくわえた作家先⽣の呼称です。「ひげさん」はどちらかと⾔えば「作家」をやや否定的に捉えた蔑称でした。かつて信楽ではいわゆる個⼈で好きなものを作る陶芸家=作家よりも⼤きなのぼり窯や製陶所を有する職⼈の⽅が、強かったのです。それは現在の信楽の街並みを⾒ても⼀⽬瞭然でしょう。
このように「焼き物」をめぐる現在の状況はたいへん⼊り組んでいます。かつて絵画や彫刻などは「純粋美術」と呼ばれ、焼き物などの⼯芸は「応⽤美術」と分類されてきました。しかし近年では「伝統⼯芸」「クラフト」「現代アート」などの境界や定義は曖昧になりつつあり「焼き物」がどこに分類されるかは「作品/製品」⾃体の形式よりもそれが発表される場所や属するコミュニティーに規定されるようになりました。繰り返しになりますが本展は神崎と梅津による2⼈展ですがそれぞれの作った成果物を紹介するのみならず、美術/アートと産業をセットで捉え直すことで「ものをつくるとはなにか」「⽂化の担い⼿は誰か」という命題に少しでも近づきたいと考えています。
住所:
艸居|京都市東山区古門前通大和大路東入ル元町381-2
艸居アネックス|京都市中京区一之船入町375 SSSビル3F
⾋居では美術家、梅津庸⼀と信楽で丸倍製陶を営む、伝統⼯芸⼠の職⼈、神崎倍充の⼆⼈展を開催いたします。本展は作家と職⼈の仕事を対等な形で提⽰し、「作品」と「製品」の違いについて考えます。是⾮ご⾼覧いただけましたら幸いです。
※誠に恐れ⼊りますが、以下の期間を冬季休廊とさせていただきます。
冬季休廊:12⽉23⽇(⼟)‒1⽉8⽇(⽉)
本展について(テキスト:梅津庸⼀)
本展は信楽で丸倍陶製を営む神崎倍充と美術家である梅津庸⼀による2⼈展です。通常の2⼈展とはやや趣向が異なります。というのも神崎は⼯⼈(職⼈)として、梅津は作家(美術家)として活動しています。したがって神崎は⾃分が作るものを「製品」、梅津は「作品」と認識しています。では「製品」と「作品」の違いとはなんでしょうか。ここには「⼈がものをつくるとはなにか」という本質的な問いが横たわっているように思います。ひとえに「焼き物」と⾔っても⽇常で使うもの、建材、伝統⼯芸、オブジェと⽤途や受容のされ⽅はさまざまです。また「製品」と⽐べて「作品」は⼀点ものであること、そして独⾃性が強調されがちです。けれども「製品」が必ずしも均質的で代替可能なものとは限りません。神崎と梅津が拠点とする信楽の現在の状況を辿りながら考えてみたいと思います。
周知の通り信楽は⽇本有数のやきものの産地であり六古窯のひとつに数えられます。古琵琶湖層から良質な粘⼟がとれ、さらに陶⼯たちの⾼い技術⼒も相まって「⼤物」を得意としてきました。⼟味を⽣かした素朴な味わいも特徴のひとつです。また信楽は時代のニーズに合わせ壺、たぬきの置物、傘⽴て、蘭鉢、花器、洗⾯鉢、浴槽など様々な物を⽣産してきました。昭和初期には、⽕鉢の国内⽣産シェアの80%を占めていました。信楽は他の産地と違い現在でも機械による⼤量⽣産ではなく職⼈の⼿によって⼀点⼀点作られています。つまり地元の粘⼟を使い職⼈たちの⼿で作られるという点が信楽焼のブランドを担保してきたと⾔えます。それは「製品」でありながら個体差があり「作品」的な特徴も兼ね備えていることを意味します。
しかし現在、質の良い粘⼟は枯渇しつつあり信楽の粘⼟を使っての⽣産は難しくなっています。また、その⼟地の粘⼟で職⼈の⼿によって作られる「⼈と⼟と炎の出会い」といった物語性を帯びた「信楽焼」は過去のものになろうとしています。それでも職⼈のノウハウ、⼤きな窯、粘⼟や釉薬の膨⼤なデータベースなどは健在であり、それを求めて多くの「作り⼿」が国内外から信楽を訪れています。最近では特に現代アートの作家が⽬⽴つようになりました。かつて量産品を作っていた信楽の窯業のインフラの⼀部は現代アート作品を⽣産するための下部構造となっているのです。という僕も丸倍製陶の⼀⾓を間借りさせてもらっています。
ところで本展のタイトルになっている「ひげさん」とは髭をたくわえた作家先⽣の呼称です。「ひげさん」はどちらかと⾔えば「作家」をやや否定的に捉えた蔑称でした。かつて信楽ではいわゆる個⼈で好きなものを作る陶芸家=作家よりも⼤きなのぼり窯や製陶所を有する職⼈の⽅が、強かったのです。それは現在の信楽の街並みを⾒ても⼀⽬瞭然でしょう。
このように「焼き物」をめぐる現在の状況はたいへん⼊り組んでいます。かつて絵画や彫刻などは「純粋美術」と呼ばれ、焼き物などの⼯芸は「応⽤美術」と分類されてきました。しかし近年では「伝統⼯芸」「クラフト」「現代アート」などの境界や定義は曖昧になりつつあり「焼き物」がどこに分類されるかは「作品/製品」⾃体の形式よりもそれが発表される場所や属するコミュニティーに規定されるようになりました。繰り返しになりますが本展は神崎と梅津による2⼈展ですがそれぞれの作った成果物を紹介するのみならず、美術/アートと産業をセットで捉え直すことで「ものをつくるとはなにか」「⽂化の担い⼿は誰か」という命題に少しでも近づきたいと考えています。
作家・出演者 | 梅津庸一, 神崎倍充 |
会場 | 現代美術 艸居 (Sokyo Gallery) , 艸居アネックス |
住所 | 605-0089 京都府京都市東山区元町381-2 |
アクセス | 三条駅(京阪本線, 鴨東線)2番口 徒歩5分 三条京阪駅(京都市営東西線)2番口 徒歩7分 京都河原町駅(阪急京都本線)3番口 徒歩12分 |
会期 | 2023/12/14(木) - 2024/01/31(水) |
時間 | 10:00–18:00 |
休み | 日曜日、月曜日、12月23日(土)‒1月8日(月) |
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