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The Fairest Fairs #2

TAV GALLERY

2023/11/17(金) - 12/03(日)

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この度 TAV GALLERY では、亜鶴・高橋鮎子・吉野俊太郎の3作家によるグループ展「The Fairest Fairs #2」を 11 月 17 日(金)~ 12 月 3 日(日)の日程で開催いたします。昨年8月の企画に続き2回目となる「The Fairest Fairs」は、あえてコンセプトを設けることをせず、キュレーションや作品のあいだの関係性よりも、それぞれの作品自体にご注目していただくことを目指した展覧会です。

亜鶴は、画家であると同時に彫師でもあり、タトゥーと絵画の両方から人間という存在にアプローチし続けています。人の間柄を表現するように、不特定の顔貌や視線を描いた身体装飾的なポートレート作品で知られていますが、近年は、アーティストの居住する空間と身体との関係から生まれる痕跡としての線をドローイング作品として展開しています。ペインティングの場合、最終的には塗り重ねた絵具の表層しか見ることができないのに対し、ドローイングは過程を覆い隠すことなく、作品が周囲の状況を反映します。また、絵画がタブローという持ち運び可能なかたちを前提とするのに対し、タトゥーは「支持体」が即ち作品の所有者になることから、美術作品を、単に鑑賞や研究、あるいは投資の対象としてだけではなく、それと共に生きるものとして見なおす視座を与えます。

高橋鮎子は、ルッキズムを主題に、美容やファッションにまつわる現象をモチーフにした様々な形式の作品を発表してきました。昨年 10 月に TAV GALLERY で個展を行った際は、エルメスの「ハンギング・システム」に取材し、壁に吊り下げて飾るスカーフ(カレ)を絵画の亜種として、曼荼羅のように美への執着を表現しました。また、先月 HIRO OKAMOTO で行われた新井碧との二人展「収縮と剥落」では、「女性同士の関係性」をコンセプトにした、古時計や刺繡枠を用いた作品で注目を集めました。今回は宝飾や服飾に対する果てしない欲望のかたちを描いたペインティング作品を発表します。装飾品への耽溺は楽しくも苦しくもあり、その「業の深さ」を高橋の本領である絵画で表現します。

彫刻を専門とする吉野俊太郎は、人形劇や奇術などを参照しながら、「操演」されるものとして彫刻をとらえ、その「舞台」である展示台座をモチーフとした作品を制作してきました。今年7月に行ったパフォーマンス「Helping Hands」では、アーティスト自身が展示台座を装い、露出させた両手を彫刻に見立てて街を歩くことで、美術展示の会場ではない空間において、彫刻の成立する条件を問い直しました。今回の展示では、吉野が演じた台座をアクリルスタンドに展開した作品を発表します。現代における台座でもあり、連れ歩くことができる人形としての側面をもつ──しかし側面はない── “アクスタ” という形式を援用することで、台座というものを二重どころか何重にも括弧に入れながら、彫刻の自律性について改めて疑問を投げかけます。

「The Fairest Fairs #2」は、各々の作家の現在地とともに新たな制作の展望をご覧いただける貴重な機会となります。万障お繰り合わせの上、是非とも TAV GALLERY に足をお運びください。

飯盛 希


出展作家プロフィール

亜鶴 AZU

1991年 兵庫県生まれ
2012年 大阪芸術大学附属大阪美術専門学校 美術工芸学科絵画専攻 卒業
2018年 タトゥースタジオ DIY ink 開業

主な個展
2021 「Nested structure」(D3 HOTEL)
2021 「line⇔out」(Medel Gallery Shu)
2020 「en(body/force)ment」(Medel Gallery Shu)
2019 「Pachydermata」(Medel Gallery Shu)

主なグループ展
2023年 「呱々くるめく」(SOIL MUSEUM SHIDO)
2022年 「EYES」(Medel Gallery Shu)
2021年 「Collectors’ Collective vol.4」(TEZUKAYAMA GALLERY)
2020年 「荒れ地のアレロパシー」(MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY)
2017年 「自営と共在」(BARRACK)
2016年 「現在戦争画展」(TAV GALLERY)
2016年 「私戦と風景」(丸木美術館)
2015年 「現在幽霊画展」(TAV GALLERY)

https://instagram.com/azuoiloncanvas



高橋鮎子 TAKAHASHI Ayuko

1994年生まれ
2018年 多摩美術大学美術学部油画専攻 卒業
2019年 パリ国立高等美術学校 交換留学
2021年 東京芸術大学大学院 美術研究科油画専攻 修了

個展
2022年 「Kalavinka」(TAV GALLERY)
2021年 「no exit」(JINEN GALLERY)

主なグループ展
2023年 「収縮と剥落」(HIRO OKAMOTO)
2021年 「シブヤスタイル vol.15」(西武渋谷店美術画廊)
2019年 「Tokyo Independent」(東京藝術大学陳列館)
2018年 「Cinematic scape」(Masataka Contemporary)

賞歴
2018年 O氏記念賞

掲載歴
ルッキズムの地獄に出口はあるか── 個展「no exit」レビュー 『アートコレクターズ』No. 151(2021年10月号)2021年9月(執筆:飯盛 希)

https://ayukotakahashi.com/



吉野俊太郎 YOSHINO Shuntaro

1993年 新潟県生まれ
2017年 東京芸術大学 美術学部彫刻科 卒業
2017年 Royal Academy Schools 交換留学
2019年 東京芸術大学大学院 美術研究科彫刻専攻 修了

個展
2021年 「Peripeteia」(駒込倉庫)
2021年 「Plinthess」(Gallery 美の舎)

主なグループ展
2023年 「General Museum|Site」
2023年 「漂流祝祭日」(横浜市民ギャラリー)
2022年 「POPPETRY」(クマ財団ギャラリー)
2021年 「DOLLMAGE」(TIERS GALLERY by Arakawagrip)
2020年 「本のキリヌキ」(瑞雲庵)
2020年 「WALLAby / ワラビー」(銀座蔦屋書店)

その他
2023年 企画・演出・出演:吉野俊太郎+鶴田理紗「明るすぎます」クマ財団ギャラリー
2021年 演出:公演「デスクトップ・シアター」ロームシアター京都
2021年 企画:「嘔吐学 vol.2 greenery efficacy」WALLA

https://shntryshn.com/

出典

作家・出演者亜鶴, 高橋鮎子, 吉野俊太郎
会場TAV GALLERYたゔ ぎゃらりー
住所
106-0031
東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布 4F
アクセス
表参道駅(東京メトロ銀座線, 千代田線, 半蔵門線)A5出口 徒歩10分
乃木坂駅(東京メトロ千代田線)5番出口 徒歩11分
六本木駅(東京メトロ日比谷線, 都営大江戸線)1a出口 徒歩13分
外苑前駅(東京メトロ銀座線)1a出口 徒歩13分
会期2023/11/17(金) - 12/03(日)
時間13:00-20:00
休み月曜日、火曜日
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