九相図とは、死体が朽ちていく姿を九段階に分けて描いた仏教絵画のことで、ある夏の盛りの蒸せるような暑さの中、私は檀林皇后九相図を眺めていた。暑さで薄らいでいく意識は、ちょうど朽ちていく過程の死体の姿とシンクロし、死体そのものよりもむしろ、赤茶けた余白の方に、私の心は自然と吸い寄せられていた。
私は何もない原野になぜか惹かれる。私はそこで、消えていったものたちや、これから飛翔するものたちの存在を夢想する。私は余白にそのような原野の姿を重ね合わせていたのかもしれなかった。
九相図で描かれる死体は、消失しながら余白へと浸食する何かだった。どんなに写実的な、もしくは徹底したデザイン的な絵画でさえも、必ずやその画面には、制作を動機づかせた対象の純なるあり方の痕跡が、消失を免れ残留しているものなのだが、そういう意味では、全ての絵画は九相図なのである。絵画は、何かが消滅し続け、生まれ出ようとし続ける、魅惑的なフィールドでもあるのだ。まるで、原野のようではないか。私はそのような消滅しながらも生成する痕跡に興味がわき、私なりの原野を立ち上がらせようと思い至った。
IWASA Toru / 岩佐 融
〔Twitter〕
@tooru_iwasa
私は何もない原野になぜか惹かれる。私はそこで、消えていったものたちや、これから飛翔するものたちの存在を夢想する。私は余白にそのような原野の姿を重ね合わせていたのかもしれなかった。
九相図で描かれる死体は、消失しながら余白へと浸食する何かだった。どんなに写実的な、もしくは徹底したデザイン的な絵画でさえも、必ずやその画面には、制作を動機づかせた対象の純なるあり方の痕跡が、消失を免れ残留しているものなのだが、そういう意味では、全ての絵画は九相図なのである。絵画は、何かが消滅し続け、生まれ出ようとし続ける、魅惑的なフィールドでもあるのだ。まるで、原野のようではないか。私はそのような消滅しながらも生成する痕跡に興味がわき、私なりの原野を立ち上がらせようと思い至った。
IWASA Toru / 岩佐 融
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@tooru_iwasa
作家・出演者 | 岩佐融 |
会場 | 新宿眼科画廊 (Shinjuku Ophthalmologist(Ganka) Gallery) |
住所 | 160-0022 東京都新宿区新宿5-18-11 |
アクセス | 東新宿駅(都営大江戸線, 東京メトロ副都心線) 徒歩6分 新宿三丁目駅(東京メトロ丸ノ内線, 副都心線, 都営新宿線) 徒歩7分 新宿駅(JR)東口 徒歩12分 |
会期 | 2023/09/15(金) - 20(水) |
時間 | 12:00-20:00(水曜 12:00-17:00) |
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